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「民間と政府が共に参加する鉄道総会を開き上下統合を決めたフランスの事例を参考にする必要がある」

2018-12-13 | マスコミ報道をそのまま掲載・資料
施工と運営が別々…
繰り返されるKTX事故、責任の所在は不明

登録:2018-12-11 10:59 修正:2018-12-11 17:23


「上下分離」政策が安全を脅かす 
運営・補修はKORAIL、建設は施設公団 
権限・責任の二元化で責任のなすり合い 
 
「公共機関の効率化」10年のツケ 
利潤追求政策で30%以上が外注化 
運行線は増えたが予算・人員は削減 
 
鉄道政策のガバナンス構造が崩れる 
国土部・KORAIL・鉄道労組の葛藤深まる
公共性回復のための総括的政策構造が急がれる

          
9日午前,江原道江陵市雲山洞の江陵線KTX列車脱線事故現場でKORAIL関係者らがクレーンを利用し,線路に横たわっている客車を移す作業を進めている//ハンギョレ新聞社

 8日、江陵(カンヌン)線で脱線したKTXの列車は、丸2日後に運行を再開したが、鉄道の安全に対する疑問は当分続きそうだ。安全を度外視した公共機関の効率化の影が濃いうえ、鉄道輸送に関与する関係機関は互いに責任転嫁ばかりしているのが実情だからだ。

 専門家らは、列車の運行と線路の建設を区分した「上下分離」政策を鉄道の安全を脅かす第一原因に挙げている。列車を運営して線路を維持・保守する韓国鉄道公社(KORAIL)と、線路を施工・所有する韓国鉄道施設公団(施設公団)が分離しており、安全管理が二元化するなど問題が現れているということだ。実際、線路と隣接した鉄道保護地区(30メートル以内)の場合、所有権を保有している公団が1次管理権限を持つが、安全点検人員は維持・保守を担当するKORAILに配置されている。権限と責任が一致しない「ミスマッチ」が発生するわけだ。

 このため、これらの機関は事故が発生すると、一緒に対策をとるよりも「責任逃れ」に没頭する姿を見せている。これに先立って、KORAILは五松(オソン)駅の断電事故当時、「鉄道施設公団の承認を受けて施行された工事の手抜きで電線路に問題が生じた」とし、施設公団の責任を提起している。施設公団と施工主体だった忠清北道はこれに対し「KORAILに工事を引き受けてほしいと要請したが受け入れられなかった」と反発した。結局、両機関は責任の所在を追及するために訴訟戦を繰り広げることになった。

          
KORAILの外注化の現況//ハンギョレ新聞社 

 今回の江陵線脱線事故の第1原因とされた線路転換機の誤作動をめぐっても、両機関は水面下で綱引きをしているのが実情だ。線路転換機の誤作動申告回線が最初から誤って施工されたのか、維持・保守の過程で誤って連結されたのかによって、両機関の責任の所在が明らかに異なるためだ。今回の事故とは関係ないが、水西(スソ)高速鉄道を運営するSRで事故が発生すれば、対立構図はさらに複雑になる。SRは列車の修繕と維持・保守、管制をKORAILに委託しているため、「運行、列車および管制、線路」の三角構図のもとで責任の所在を明らかにしなければならない。

 最近頻発している鉄道事故は、過去10年間に及ぶ「公共機関の効率化」のツケだという見方もある。公共機関の負債削減と利潤追求のみを強調した結果、安全と公共性という価値は後回しにされた。KORAILが運行する線路は、2015年の8465キロメートルから2017年には9364キロメートルに増えたが、整備予算と人員はむしろ減っている。KORAILの人員は2008年の3万910人から2018年には2万6321人へと約4千人減った。その代わり、外注化の割合は急増した。2010年に6983人(現員比23.3%)だった外注化の割合は、2016年には8196人(現員比30.8%)へと増えた。特にKORAILは、鉄道施設と電気、車両維持・保守および管理など、安全管理の重要な業務を子会社と民間会社に任せた。

 総括的な鉄道政策を立案できるガバナンスの構造が失われた点も痛手だ。李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政府当時、鉄道民営化政策を推し進め、傘下機関のKORAILと主務省庁の国土交通部が対立することが多かった。鉄道労組とKORAIL経営陣の対立の溝も深かった。また、施設公団は管制権回収など立場強化のため国土部の「第二勢力」役を担い、競争体制を導入するために誕生したSRは、江南圏を運行する「実利ある路線」だけを占めている。鉄道の安全のために協力しなければならない機関たちが、打算によって自分の立場ばかり強調する構造が作られたわけだ。

 国会国土交通委員会所属のアン・ホヨン共に民主党議員は、「事故原因は綿密に検討しなければならないが、李明博、朴槿恵政府時代に推進した鉄道民営化政策で安全力が弱まったことも影響したと見られる」とし、「今後再発防止および安全確保のために政府支援を増やすべきであり、総合的な対策づくりも急がれる」と指摘した。社会公共研究院のイ・ヨンス研究員は「主務省庁の国土部が中心となり、ガバナンスの回復に力を注がなければならないが、鉄道民営化を推進した慣性がまだ職業官僚らのDNAに残っているようだ」とし、「民間と政府が共に参加する鉄道総会を開き上下統合を決めたフランスの事例を参考にする必要がある」と助言した。
ノ・ヒョンウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )