朝、目覚めてカーテンを開ける。
窓の向うに見渡す限り海と空が見える。
そんな家に住みたくて、引越しをした人がいる。
「なるほど。気持ちはわかるなぁ」
10日の朝、いつもの通り、5時30分には起き上がった。
自宅では、窓を開け、新聞を取りにいって、ざっと目を通す。
6時すこし前から味噌汁をつくり始める。
冷蔵庫の中から夕飯の残り物や、朝食用の食べ物を見つけ出し、簡単な調理をして、朝ごはんを食べるのは、6時すこしまわったころ。
それが私の一日の始まりである。
ところが高槻では、何もすることはない。
仕方なしに、枕もとにある音楽が聴けるボタンをまわす。
夕べから聴いているのは、“名曲”や“イージーリスニング”チャンネル。
チャンネルを交互に替える。
そして、できるだけ音は絞っておく。BGMとしてご機嫌な状況を作り出すためだ。
それから、枕をクッション代わりにして、ベッドの上で新幹線のなからの続きを読み始めた。
しばらくして本から顔を上げると、太陽光線が遠慮会釈なく目のなかに飛び込んできた。
「おぉ~、この部屋は南東向きだったのか」
心が膨張する。いや、からだが解かれた感じだ。
空が見える。雲も浮かんでいる。朝日を斜めから浴びて、透かされる雲の形が僅かな時間で崩れていく。
たかだか四階でもこの空間が広がってくれるのだから、10階建てのマンションや、高台の家はきっと気持ちがいいのだろう、と想像する。
こんな気持ちよい朝を過すのは、久しぶりだ。
「たまだから、有り難いのよ」と、誰かがささやくのが聞こえた。
「はい。。はい。。。。。。。。」
再び、本の活字に、目を落とす。
「これだ。今日のテーマはこれにしよう。せっかく鞭を持ってきたのだから」
付箋を貼って、線を引き、行間にメモを入れた。
講習会のイントロの言葉は、これにしよう。声にしてみる。
「ばっちりだ!」
時計を見ると7時をすこし廻っていた。
もう一度、空を見る。
「海の見える家に引っ越されたのは、フランス文学者の内田樹さん。ちょっと、うらやましいわ~」
そんな気持ちを抱いてエレベーターで、一階へ降りていく。
カフェレストランには、誰もいない。一番乗りである。
バイキングの皿に、最初に箸を入れた。
なんだかちょっと緊張したたったひとりでの朝食だった。
窓の向うに見渡す限り海と空が見える。
そんな家に住みたくて、引越しをした人がいる。
「なるほど。気持ちはわかるなぁ」
10日の朝、いつもの通り、5時30分には起き上がった。
自宅では、窓を開け、新聞を取りにいって、ざっと目を通す。
6時すこし前から味噌汁をつくり始める。
冷蔵庫の中から夕飯の残り物や、朝食用の食べ物を見つけ出し、簡単な調理をして、朝ごはんを食べるのは、6時すこしまわったころ。
それが私の一日の始まりである。
ところが高槻では、何もすることはない。
仕方なしに、枕もとにある音楽が聴けるボタンをまわす。
夕べから聴いているのは、“名曲”や“イージーリスニング”チャンネル。
チャンネルを交互に替える。
そして、できるだけ音は絞っておく。BGMとしてご機嫌な状況を作り出すためだ。
それから、枕をクッション代わりにして、ベッドの上で新幹線のなからの続きを読み始めた。
しばらくして本から顔を上げると、太陽光線が遠慮会釈なく目のなかに飛び込んできた。
「おぉ~、この部屋は南東向きだったのか」
心が膨張する。いや、からだが解かれた感じだ。
空が見える。雲も浮かんでいる。朝日を斜めから浴びて、透かされる雲の形が僅かな時間で崩れていく。
たかだか四階でもこの空間が広がってくれるのだから、10階建てのマンションや、高台の家はきっと気持ちがいいのだろう、と想像する。
こんな気持ちよい朝を過すのは、久しぶりだ。
「たまだから、有り難いのよ」と、誰かがささやくのが聞こえた。
「はい。。はい。。。。。。。。」
再び、本の活字に、目を落とす。
「これだ。今日のテーマはこれにしよう。せっかく鞭を持ってきたのだから」
付箋を貼って、線を引き、行間にメモを入れた。
講習会のイントロの言葉は、これにしよう。声にしてみる。
「ばっちりだ!」
時計を見ると7時をすこし廻っていた。
もう一度、空を見る。
「海の見える家に引っ越されたのは、フランス文学者の内田樹さん。ちょっと、うらやましいわ~」
そんな気持ちを抱いてエレベーターで、一階へ降りていく。
カフェレストランには、誰もいない。一番乗りである。
バイキングの皿に、最初に箸を入れた。
なんだかちょっと緊張したたったひとりでの朝食だった。