萬蔵庵―“知的アスリート”を目指すも挫折多き日々―

野球、自転車の旅、山、酒、健康法などを徒然に記載

インドカレーの話(その2)「天竺屋」

2009年03月15日 | 酒食・グルメ?

<写真はイメージ。天竺屋のものではありません。>

そもそも「天竺屋」という店を知ったのは「ビッグコミック・オリジナル」だったと思うが、『非常に美味しい店であるが、店主の意向で地図は掲載できない。最寄の駅は西武池袋線の「東長崎」。あとは勝手に探すべし。』というような記事が載っていて、興味を持った。そして、友人を誘って探し当てたのは、1996年のやはりこの時期、3月8日だった。

以下は当時の日記から。

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Fri 8, Mar

昨晩、かねてより行きたいと思っていたインドカレー店の「天竺屋」へ行って来た。テーブルは5つ、カウンターが4?程度の小さい店だ。マスターは髯(髭?鬚?何でこんなに漢字があるの?生えかたで違うのか?)を蓄えた大柄な人。猫好きらしく、その店を発見した時に玄関で黒猫に餌をくれていた。また、店内にも何枚か猫の写真が貼ってあった。

注文したのは「マハラジャグリル」1450円也。ビールとすっきりとして呑みやすい赤ワインをちびちびやりながら待つこと20分。キタキタ。大きめの皿にカレー風味のバターライス。その上に「本日のCurry(この日はVegetable Curry)」(本格的なカレーを「カレー」と書くと安っぽくなる。社員食堂のカレーと同じレベルに見えてしまうので、「Curry」と記すことにする。)がかけてある。その横にシシカバブ一本、シシカバブとバターライスに橋を架けるようにタンドリーチキン(紅くない)。Curryの横にミニサラダ。

そしてなんと、さらにその上に、全体の半分を覆い隠すようにプーリー(チャパティを油で揚げて膨らませたもの)が乗せてある。ワインのおかわりをして、食べはじめる。まずは、シシカバブだ。香辛料が効いたあっさり味。噛み締めていくと滋味が出てくる。いい味である。続いて地鶏のタンドリーを一口。臭くなく、身がしまっているが柔らかく、食べた瞬間から豊穣でいて、どこかすっきりとした味が口内に広がる。とてつもなく旨い。絶品である。

いままで食べたタンドリーチキンの中ではもちろん一番。Curryもちょっと日本風(ライスはインディカ米ではなかった)だが、美味しかった。プーリーは味は良いのだが、もう少しカラっと揚げてあるとなおよかった。

だがしかし、これだけ、盛沢山で1450円という値段は驚異である。よって、本日の店は★★★★★である。(^o^)

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と、絶賛している。マスターは髭を生やした大柄な人で、なんでもインドで料理の修業をしてきて、日本で開業したという。“日本人の舌に合うインド料理”を目指し、それが、ほぼ完璧に仕上がっていた。

すっかり、この店が気に入った小生は何度か足を運んだ。タイ在住のドラゴン氏とも行ったことがある。氏も口を極めて褒めていた。マスターもまだ若いし、Curryを楽しめる頼もしい店を探し当てたもんだと己の幸運を喜んでいた。

ところがある日のこと。「東長崎に旨いカレーを食わすところがあるぜ。」と友人を誘って行ったみたが、「都合により本日閉店」の張紙がドアに貼ってある。「ついてないなぁ」とその日はあきらめた。その後も幾たびか「今日は開いているのではないか」と期待して足を運ぶのだが、いつも“閉店”であった。

やがて、ドラゴン氏から一報。「ネット情報によると天竺屋のマスターは交通事故で亡くなったらしい。」という。なんと。そんな不幸があったのか。あんなに一所懸命で腕のいいマスターが・・・。まだ、食べていないメニューが沢山あったのに・・・。

以後、2009年の今に至るまで、インド料理は結構食べ歩いているが、天竺屋ほどの旨さと感動を与えてくれる店は、まだ無い。
コメント (2)
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