萬蔵庵―“知的アスリート”を目指すも挫折多き日々―

野球、自転車の旅、山、酒、健康法などを徒然に記載

WBC、日本、韓国に惜敗!野球は恐いね。

2009年03月10日 | 野球

<四番金泰均のタイムリーツーベースはサード村田のわずか右を抜けた。>

わずか2日前に同じカードで14点も取ったチームが昨日は1点も取れない。これだから、野球は恐い。日本は岩隈、韓国は左腕のエース奉重根の先発。M君の情報によると「奉重根」の名は伊藤博文を暗殺して、韓国では英雄視されている「安重根」からとっているという。いわばアンチジャパンの申し子的投手である。その不敵な面構えにその執念は表れていた。試合は最初から前回とはうって変わって息詰まる投手戦。岩隈は3回までパーフェクトピッチング。奉重根も3回まで1安打で日本打線を抑え込む。

均衡は4回表に破れた。岩隈が一番李をあっさりと四球で出してしまう。続く二番鄭がセンター前ヒットで無死1、2塁のチャンスを作られる。三番金賢洙を三振に打ち取るも、四番金泰均にサード村田の右を抜くレフト線二塁打で先制点を許す。結局、この一点が決勝点となる。

金泰均(かわいい顔と大きな体から“金太郎”と呼びたい)は第一打席、岩隈に徹底的にインコースを攻められ凡退した。彼はチャンスで迎えた4回表のこの打席は迷わずインコースに的を絞っていた。初球のインコースのボールを待ってましたとばかりに開き気味で捉えた。当たりはファールになったが、インコースを意識していたことは間違いない。続く二球目も岩隈・城島のバッテリーはインコースを攻める。キム太郎はこの球を見逃さず、三塁線を破るタイムリーを放つ。結果論ではあるが、好打者に対しあまりにも“攻め”が単純だった気がする。

「失点1ぐらいは投手の責任ではない」という人もいるが、それは長いペナントレースを見据えた場合にはそうであろうが、トーナメント戦ではその考えは甘い。なぜなら、その一点で試合に負けてしまうからである。その点、韓国投手陣はよく頑張った。奉重根、鄭現旭、柳賢振、林昌勇の四人の投手の前に日本打撃陣はいいところ無く、零封されてしまった。

源平合戦に例えると、日本は平家の公達、韓国は源氏の坂東武者だ。顔つきとハングリー精神で負けている。思わぬ大量点で有利に立たないと都の公達は坂東武者には勝てないようだ。

敗因はまだある。前に日本は“戦術”、つまり現場の選手の技量に頼りすぎている、というようなことを書いたが、そのいい例が、使用球の問題だ。日本のボールはMLBで使っているボール(=WBCのボール)とは違う。その違いに日本の選手達は戸惑っている、ということを解説者たちがよく口にする。突然、制球を乱してファーボールを出したり、微妙な変化球がコントロールできないなどと論じている。もし、4回表の岩隈の先頭打者を歩かせた場面やキム太郎のタイムリーの微妙に甘いボールがその所為だとしたら・・・。

解決策として誰もが考えるのが、日本のプロ野球でも普段からMLBと同じボールを使用球にすればいい、ということだ。そのボールに慣れ親しんでいるのとそうでないのとでは雲泥の差である。当然のことだと思うが、日本プロ野球界はそれをしない。短期間の間にMLBのボールに慣れてくれろ、と選手の技量に頼るのみである。

WBCやオリンピックで、必ず勝たなくてはならない使命を負わせながら、肝心のボールが普段使い慣れて無いものであれば、ギリギリの試合展開になった時にその影響は大きいだろう。小生が日本側に“戦略性”が欠けていると思う一例である。

ちなみに韓国のプロ野球ではMLBと同じボールを使用しているという。韓国の投手陣はボールの違いに悩むことなく、投球に専念できる。この差は非常に大きい。昨日のような息き詰る投手戦では日本にとって大きなハンデとなったに違いない。

ま、昨日すんなり日本が勝って、慢心して米国に渡ってから泣くよりは、褌締めなおして出陣してくれたようなので、その方がいい結果が出ると思う。平家の公達らしく華麗に連覇を遂げて欲しいものだ。
コメント
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