「それ」

2020-11-17 20:43:45 | Weblog

俺達は特に成功したわけではないが、別に…失敗したわけでもなかった。

 

それぞれの人生のある特定の時期に、ある種の人間(メンバー)でしか成立し得ないものを

現実的に、作り上げていただけの話だからだ。

 

つまり、目論見は 果たしたことになる。

 

「それ」を、利用したりすることも考えていなかった。

 

利用できないものは無価値、と判断される世界においては「それ」は無意味だ。

 

でも俺達はそんな世界の住人ではなかった。

 

今はもう消えてしまった物事について考えたり、語ったりすることは

消耗でしかないだろうか?

…俺はそんな風には考えない。

でもまあ、現実問題として

「それ」がもう消失してしまったことは確かだ。

 

もう生でそれを君に、見せてあげられないのだ。

そのことは置いておくとして・・・。

 

俺は「それ」が俺達をどのような場所に連れてきてくれたか、ということのほうが重要な

事のように思う。

 

「それ」は比類なき強力なエンジンであり、

年代物のバイクでもあり、

ワープ航法すら可能な宇宙船のようなものであったからだ。

 

もちろん、そういう姿をしていたわけでもない。

 

っていうか、姿は・・・・なかった。

 

実体と言うものを持たなかったからだ。

 

それはつまり、概念でしかなかった、ということになるのかもしれない。

 

たかだかロックバンド風情に概念とは大げさだ、と思われるかもしれないけど、そうなのだ。

 

 

「幻の人格」みたいなものが、確かにあった。

 

 

あった、というか・・・・・・そういう奴が確かに、いた。

 

我々が「それ」の名のもとに集まって、音を出すときにのみ、現れた人格。

 

誰にも似ていなかったし、

 

誰にもコントロール出来なかった「それ」。

 

 

奴は今、どこにいるのだろう?と思う。

 

 

下水に流されて行ったかもしれないし、

 

 

高熱の窯で焼かれてしまったのかもしれない。

 

 

もしかして・・・・剝製になって大英博物館に展示されているかもしれない。

 

 

でももしかしたらまだ生きていて、

 

 

ずっと君の後ろからついて来ているのかもしれない。

 

 

「死角」にいたから、君には気づくことが出来なかっただけの話なのだ。

 

 

 

 

 

そいつの名は「ばるぼら」という。

 

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4 コメント

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Unknown (真鹿子)
2020-11-18 08:37:38
道郎さん☆
おはようございます♪

「それ」は、
まるで
musicの詩神
ミューズ神でもありますね♪

ミューズ神は、
常に宇宙と一体
文芸・学術・音楽・舞踏などを
つかさどる女神ムーサ
なのだそうですけれど、

私などはオッチョコチョイ
有ると同時に無く
無いと同時に有る
色即是空空即是色体ですから、

時には、
記憶も光速も超超越!
オッチョコチョイ宇宙ワープ
していそうですよ^^;

いつもありがとうございます。
今日も良い1日を✨
お過ごしくださいね🍀

感謝一念
真鹿子 拝
Unknown (片山道郎)
2020-11-18 21:12:49
真鹿子さん、コメントありがとうございます!

ここでミューズの名前が出てくるとはさすが鋭い。ちょっとびっくりしましたよ。

ばるぼら は、実はミューズの末娘の名前なのです。

よって、ばるぼら 本人も、芸術に関して我々に、多大なインスピレーションを与えてくれました。

いや、今でもきっとどこか「死角」にいて、

インスピレーションを与え続けてくれているのだと思っています。

しかし、オッチョコチョイ宇宙ワープは楽しそうでいいですが、
確実に迷子になりそうです笑。
Unknown (真鹿子)
2020-11-19 08:19:01
道郎さん☆
おはようございます♪
こちらこそコメント返信
ありがとうございます!

「ばるぼら」ですけれど、
名前からあたたかい
光明音響を感じていましたが、

ミューズ神の末娘さん👀!
奥深いですね。
まさに深遠神秘☆
インスピレーションの
根源ですね!

今ここ地球は
常に宇宙ただ中、
私などはますます
舞い舞い迷子?
真鹿子風宇宙ワープを
しているようですよ^^;;

今日も素敵な1日を✨
お過ごしくださいね🍀

感謝一念
真鹿子 拝
Unknown (片山道郎)
2020-11-19 21:02:33
「ばるぼら」の名前から暖かい光明音響!

そう言われたらそんな気もします。嬉しいです。

そういえば何年か前の日食の時に、今、自分は

宇宙にいるんだ、ということがリアルに実感できて、

すごく不思議でワクワクする気分になったことを思い出しました。

いつもありがとうございます!

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