まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

広島大衆酒場「源蔵本店」

2019年06月29日 | 旅行記F・中国

竹原13時53分発の広行きに乗車する。今度は227系の2両編成。この形式は2両もしくは3両で運用されており、朝夕のラッシュ時には連結も可能である。かつての主力だった115系も「万能選手」のような評価があったが、この227系もそれを受け継いでいる。

2018年7月の西日本豪雨では呉線も各所で被害を受けた。竹原~広間でも土砂の流入や路盤の崩壊、駅の冠水があったが、約5ヶ月で全面復旧にこぎつけた。それでも修復した区間では今でも時速25キロに落としてのゆっくり走行である。まあ、急ぐわけでもなく、時折見える瀬戸内の島々、牡蠣の養殖いかだの車窓を楽しむ。

1時間ほどで広に到着。ここからも227系への乗り継ぎである。次は15時03分発の快速広島行きである。次の新広は2002年にできた簡易委託駅だが、その後年々乗客が増え、立派な駅舎ができていた。中国労災病院に接していることもあるし、呉の市街地の広がりということで近くには高層マンションや大型店舗もできている。ここから駅ごとに乗客が増える。

呉を発車。今回の広島行きの前泊の場所の候補の一つでもあった。呉の夜グルメとして屋台通りというのもある。その呉市内を抜けていくが、冠水した駅もあるし、山の手のほうにはまだブルーシートがかけられたところもある。坂~呉の間も2ヶ月ほど運休していた。

あの豪雨のあった翌朝、テレビで広島、岡山各地の被害状況が映し出されていたが、坂駅近辺の被害も大きく、そこら中が泥水になっていたのを今も覚えている。今は町も普通に動いているが、ところどころに更地になった箇所も見える。あの豪雨から間もなく1年である。今年の夏はあのような被害が各地で出ないことを願うばかりである。

海田市を過ぎて山陽線に入る。そろそろ広島駅に近づくということは、その前にマツダスタジアムの横を通ることになる。この22日はバファローズ対カープの2回戦の最中で、多くの観客が入っているのが見える。このスタジアムは外に向けて(電車の乗客に向けて)スコアを表示しているが、通過時は6回まで進んで3対0、バファローズがカープに対して先制している。前日は9回に吉田正の逆転2ランで勝利しており、この日も先制。何とか逃げ切ってほしいものだ。

広島に到着。コンコースもすっかり新しくなり、昔の姿とは全くイメージも異なっている。まだ試合中ということでカープファンの姿はなく、駅前も落ち着いた雰囲気だ。

また駅前も装いを新たにしている。いずれもマツダスタジアムの建設とも合わせて広島駅周辺エリアの再開発によるものであるが、玄関駅が賑わうというのは来る人にもいい印象を与えるのではないかと思う。私がいた15年より前の時期というのは、駅に降り立っても「これでも中国地方を代表する町の玄関なのか」とがっかりした思いを持ったこともあったので・・(まあ、今でも通りを一つ入るとまだまだ昔の風情を残すところはいろいろあるが)。

この日の宿泊は5分ほど歩いたアークホテル広島。広島駅周辺も最近新たなホテルが建てられるようになったが、時季柄かいずれも結構な値段がする。このアークホテルも朝食つきで8000円ほどしたが、大浴場もあることを考えるとまだ良心的なのかもしれない。広島の宿泊事情も、結構な値段のいいホテルか、格安のカプセルホテル・ゲストハウスの二極化が進んでいるようだ。

大浴場は夜の楽しみとして、早めの夕食ということで外に出る。向かったのはホテルにも近い「源蔵本店」。ベースは食堂、定食屋なのだが酒や一品も出す。そうなると昼間から、いやこの店は朝からやっているので一杯やろうかという客層もいる。実は入るのは初めてだがのれんをくぐる。

ベースは食堂なのでカウンターはなくテーブル席が並び、混雑したら相席でということになる。奥の席が空いていたので通され、ビールのジョッキをあおる。角にはテレビが置かれていて、すぐ近くでやっている試合の中継の最中だ。先ほど車窓のスタジアムでは3対0だったが、3対2とカープが追い上げてきている。この日の先発はプロ初勝利を目指すルーキーの荒西だったが、勝ちをつけてやることができるか。食堂でビールを飲みながら野球のテレビを見るとは、やっていることは完全にオヤジ。広島にいた20歳代は大衆酒場に入る習慣がなかったので、実は広島の居酒屋といっても多くを知っているわけではない。「源蔵」はその筋では有名で地元のファンも結構多い名店だという。

刺身は自分でショーケースから取ることもできるが、注文で小いわしとタコを注文。小いわしは広島の夏の味覚であり、最近になって入荷が始まったもの。広島の酒場で小いわしはなくてはならないもので、かつ人気の一品。早くから売れる。この刺身もどうやらこの日最後の一皿だったようだ。臭みもなくいわしのいいところがのどに入ってくる。タコも厚く切っており食べごたえがある。

サザエの煮つけもいただく。一つ一つは小ぶりだが酒のつまみにはちょうどよい。「昭和のガラ入れです」と、チラシを折って作った紙箱をつけてくれる。

さて試合のほうだが、バファローズがリードのまま、17時前に地上波の放送は終了となった。あらあら、後はスマホで結果を見るとするか。

この後は呉の酒「雨後の月」の冷酒と、鯛ちりをいただく。鯛ちりは鯛の切り身と豆腐が入った小鍋で、夏に食べてもいける。これらをちびちびいただく間に試合は終了した。3対2でバファローズが逃げ切り、カープ相手に連勝となった。荒西が初勝利。翌日私も観に行く試合に向けて弾みがついた。

しばらくするとこの店にも赤いユニフォーム姿の人がぞろぞろと入ってきて、多くのテーブルが相席で埋まった。これは私もそろそろ席を立つ頃かなと、料理の片付けにかかる。この日はバファローズのユニフォーム姿でも何でもなかったのだが、接客してくれた店の大将からは、「これからこの辺り、無法地帯になるんで気をつけてくださいね」と送り出される。これは特に深い意味はなく、単に駅に向かう人が道一杯にあふれるから気を付けてということだと思うが、ひょっとしたら野球の結果を見てニヤついていたように見えたのかな・・・。

その駅前はスタジアムから帰途に着くのか、あるいはその前に一杯やるか、多くのカープファンであふれかえっている。

駅のすぐ横のフタバ図書GIGA(広島勤務時にはよく立ち寄っていた)は、今や書店スペースは上の階にやられ、1階は広島市内でも最大級のカープグッズ売り場である。また上の書籍売り場にもカープ関連本が並び、おまけに非売品扱いの雑誌のバックナンバーもあり、カープの歴史の展示場にもなっている。(この上階にはネットカフェがあり、確か1年前は、愛媛の刑務所から脱獄して、向島に潜伏したり、尾道水道を泳いで渡ったH受刑者が身柄を捕獲されるつながりとなった場所だったか)

時刻はまだ18時。外も明るいし、中心部に出ることにしよう。駅前から広電に乗車して八丁堀に向かう。この辺りをぶらつくのも久しぶりである。居酒屋はもういいかなと思うが、「源蔵」では締めのものはいただかなかったので、お好み焼などどうか。

お好み焼の店舗はいくらでもあり、人によってそれぞれ好みの店があるものだが、私の場合このエリアだと、あのお好み村の斜向かいでやっている「へんくつや」に入る。広島の中心部にありながらなぜか「タイガース御用達」として知られる店である。私がタイガースファンではないのはブログで何度となく触れていることだが、それはそれとして。店がタイガース御用達になったのは村山実の現役時代にまでさかのぼるというから、その意味では老舗である。こちらでも美味しく1枚いただいた。

帰りはこのままぶらぶらとホテルまで歩いて帰る。流川、胡町・・・20歳代にはそこまで飲み歩いていたわけではなく、会社の付き合いとかお供で来ることがほとんどだったが、何となくちょうどよい規模感というのが今でも思い出としてある。

ホテルに戻って大浴場に入り、後は部屋でリラックスする。翌日23日は13時30分試合開始だが、それまで半日どのように過ごそうか・・・。

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