まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

松山行き「シーパセオ」乗船

2024年07月14日 | 旅行記G・四国

7月7日、松山に向かうべく呉から乗船したのは旅客船「シーパセオ」である。「海の散歩道」という意味だという。松山までの移動手段ではあるが、クルーズ気分も味わうことができる。

先に広島から乗船していたのは20人いるかいないかという程度で、やはり宇品6時45分発に間に合う公共交通機関がないというのはいかがなものかと思う。呉からの徒歩の乗船も数名、クルマも数台というところで出航する。

乗船客が少ない分、船内ではゆったりと過ごせる。

客室の前方は前面の景色が楽しめるソファーシート、そしてテーブル付きのリクライニングシートが並ぶ。また側方には靴を脱いで上がる「OZASEKIエリア」、そして「GORONEエリア」がある。このうち「GORONEエリア」は、ごろ寝するとちょうど海が見える小窓がついているのが特徴で、広島からの乗船客が四隅に寝転がって気持ちよさそうだ。

中央は売店のあるラウンジスペースで、窓を向いたカウンターや、こちらも靴を脱いで上がる「KOAGARIエリア」がある。

そして後方には「ひき波のHANARE」。後方の引き波の景色を眺める展望ラウンジである。こうした席を少しずつ楽しんでみる。

ただこの日は青空が広がるということもあり、時間の多くは屋上のデッキで過ごす。エアコンの効いた屋内もよいが、せっかくなので潮風の心地よさを感じることにする。ガゼボ(あずまや)に入れば直射日光をしのぐこともできる。

さて「シーパセオ」は呉港を出航し、海上自衛隊の艦船を遠くに見やる。そして昨年閉鎖となった日本製鉄の呉製鉄所を見る。この跡地はマツダスタジアム約36個分に相当する広さで、施設の解体には約10年かかるそうだが、その後の活用方法はまだこれからのようだ。防衛省が広島県や呉市に対して、複合防衛拠点としての整備案を持ちかけたが、さてどうなるか。

工業用の塩の集積場がある三ツ子島の横を過ぎる。後方を見ると、自衛隊の潜水艦が基地に近づいて浮上している。動く潜水艦を目にするのは初めてだ。

そして、見どころの一つである音戸の瀬戸を通過する。ここを開いた平清盛を祀る清盛塚があるのだが、ちょっと違和感を覚える。確か、塚の前に橋がかかっていたはずである。後で知ったのだが、昨年2月、音戸の瀬戸を通過しようとした貨物船が衝突して橋が大破、その後撤去されたという。昔も今も交通の難所である。

ここから先は瀬戸内海の広いエリアに入る。

広島からのスーパージェットが追い越していく。広島7時30分発の便で、松山には8時40分に着く。広島と四国を結ぶ最速ルートである。以前、九州八十八ヶ所百八霊場めぐりの時、広島~松山~八幡浜~臼杵というルートで渡ったことがあるが、これができるのもスーパージェットならではだった。

この後も船内を出たり入ったりして過ごす。さすがは瀬戸内海で、周りを見渡すとどこかしらに島が浮かんでいる。次々に景色が変わるので飽きることがない。

愛媛県に入る。四国の姿も少しずつ大きくなる。さすがに石鎚山は遠すぎるかな。その前では漁船が連なっている。また中島、睦月島、興居島といった松山市の離島を見る。これらの島々と本土を結ぶフェリーも出ている。

松山観光港に到着。呉から約2時間、クルーズ気分、まったりと過ごすにはちょうどよい長さだった。

ここからJR松山駅に向けて移動する。時間帯によっては松山市駅や道後温泉に向かうリムジンバスが出ているが、伊予鉄道の高浜駅に向かうのが定番のルートである。連絡バスもあるが、駅までは数百メートルなのでそのまま海岸べりを歩く。向こうには夏目漱石の「坊っちゃん」にも登場するターナー島も見える。穏やかな伊予の海。

高浜駅に到着。地方私鉄らしいといっては失礼だが、昔ながらの風情が残る駅である。コンビニではなく売店も残っている。「DPE クリーニング取次」というのも、その当時の「よろづや」らしさを感じる。

ところで「DPE」って何やったっけ・・と調べると、フィルム写真の現像・焼き付け・引き伸ばしのそれぞれの英語の頭文字を取ったもの。昔は写真を撮った後のフィルムを現像に出して、その仕上がりを楽しみにしたものだ。私も社会人になってしばらくはフィルムだったが、1本で撮れる枚数が限られているのに緊張して、その割に現像で上がった写真がピンボケしていたり、構図が今一つだったり・・というのも懐かしいことである。今はデジカメだから撮影後に写真をチェックして、ダメなものはその場でデータ削除するだけのこと・・安直といえば安直。

「玻璃ヶ浦駅」という駅名標と、福山雅治さんのポスターが掲げられている。「真夏の方程式」という映画のロケ地になったそうだ。ロケの中心は伊豆半島だが、あるシーンの撮影にあたってはこのレトロな駅舎が選ばれたという。

横河原行きの列車に乗る。次の梅津寺のホームは海に面しており、柵には多数のハンカチが結ばれている。こちらは「東京ラブストーリー」のロケ地になったところ。あの「トレンディドラマ」から30年以上経つが・・私は当時も今もそうした「ラブストーリー」「トレンディ」とは全く無縁の人生だな。

そのまま列車に揺られ、大手町に到着・・・。

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