まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第16回九州八十八ヶ所百八霊場めぐり~日本最南端の駅・西大山で列車を出迎えるが・・

2024年07月08日 | 九州八十八ヶ所百八霊場

九州八十八ヶ所百八霊場めぐり、目指すのは最南端の枕崎にある第97番・大国寺である。その前に知覧に立ち寄って特攻平和会館を訪ね、そのまま枕崎に向かうと思いきや、レンタカーは逆の南東方向に向かう。そして国道226号線を東に進む。

海岸が見え、駐車スペースがあったので思わず停める。瀬平公園というところで、ちょうど海の向こうには頂上は雲で覆われているが薩摩富士・開聞岳を望むことができる。

少し、開聞岳の方向に歩く。今は海にせり出した国道の橋がかかるが、かつては岩と岩の間を波しぶきを受けながら渡っていたそうで、与謝野鉄幹・晶子夫妻の歌も残されている。

迫平まで 我れを追い来りて 松かげに 爪を裂くなり 頴娃の村をさ (鉄幹)

片はしを 迫平に置きて 大海の 開聞が岳 立てるなりけり (晶子)

夫妻が鹿児島各地を周遊する中で、地元の村長の歓待を受けたのに応えての一首だという。海の上にそびえるかのような開聞岳の雄大さ、そして海が迫る平(瀬平)の景色をそれぞれ詠んだものだ。ちょうど雲が晴れてきて、さすがに南の島々は見えないが九州の果てに来た実感がする。

この先、開聞岳に近づく。枕崎に向かうのにあえて反対方向にクルマを走らせているのは、そう、あの駅の再訪である。

着いたのは日本最南端の駅・西大山。

このブログでも何度か言及しているが、前回の九州八十八ヶ所百八霊場めぐり、鹿児島でのプロ野球が雨天中止になったことを受けて、予定を変更して鹿児島中央から指宿枕崎線で枕崎まで往復しようとした。その際、途中サービスで少し停車する西大山で車両から外に出たのはいいが、そのまま列車が発車してしまい積み残された。思わぬ形で西大山に列車で「降り立った」が、急遽タクシーを呼び、車内に置きっぱなしの荷物を取り戻すべく枕崎まで飛ばし、結局タクシー代が1万円かかったという出来事。

その西大山駅に再訪である。今回はレンタカーだから列車の時間を気にすることもないし、開聞岳の頂上には雲がかかっているが雨も降っていない。

駐車場には多くのクルマが停まり、観光客の姿も見える。また、日本最南端の駅の標識と開聞岳を組み合わせた写真を撮ろうと場所取りする人もいる。時刻表を見ると、この数分後、11時54分発の枕崎行きの列車がある。

・・しかし、時間が過ぎても列車が来る様子はない。踏切の警報音も鳴らない。「遅れてるのかな?」という会話がある中、スマホを見ていた人が「列車運休らしいですよ!」と口にする。

前日鹿児島入りした際、その前の大雨の影響で鹿児島エリアの在来線は全線運転を見合わせていた。今回は在来線に乗る予定はないので列車の運行情報もそれほど気にしていなかったが、指宿枕崎線は土砂災害があったようで前日、そして本日も運転見合わせとのこと。ちょうど前回指宿枕崎線の復路に乗車した際、途中区間が大雨のため速度規制がかかり列車が遅れたのだが、その区間のようだ。その後数日運休したという。

九州八十八ヶ所百八霊場めぐりにおいて、指宿枕崎線への乗車は必須として組み入れていたが、前回、野球の雨天中止の代替で乗っておいてよかった。もし今回の旅で乗る予定にしていたら、「指宿のたまて箱」ともども運転見合わせの憂き目にあっていたところだ。そう考えれば、前回乗っておいてよかったと思う。

クルマで来ていた人の多くはこの列車目当てだったようで、列車が来ないとなるとさっさと駅を後にしていた。その一方でタクシーが2台乗りつけられていた。列車は運休だがせめて西大山駅を見ようと、指宿あたりから乗って来たのかな。この後売店に入り、日本最南端の駅の到達証明書をいただく。

さて、西大山駅から枕崎に向かう。前回はタクシーで、雨の中、そして車内に取り残された荷物が気がかりな中走っていたので、車窓を楽しむ余裕はなかった。今回はレンタカーだが、晴天の下、この先の札所めぐりとかつお料理が楽しみな中、車窓も楽しみ、先ほどの瀬平公園も過ぎる。こういうスポットがあったのだなと改めて感心する。

タクシーの運転手とさまざま鹿児島事情や鉄道の話をしたのを思い出しながらのドライブである。「さつま白波」の醸造場の横を通った時は、この辺りの若者は高校を卒業するとほとんど外に出るとぼやいていたな(地元の工場とかには就職しないのか?との問いに対する答えとして)。

札所の前にもう1ヶ所くらい立ち寄ってみよう。そこで目に留まったのが番所鼻(ばんどころばな)。江戸時代に薩摩藩の番所があったところ。そして、日本地図作成のために立ち寄った伊能忠敬が「天下の絶景なり」と称賛したところだ。

海岸に出る。「伊能忠敬先生絶讃の地」の石碑は鳩山一郎の揮毫。

遠くにはまだ頂上が雲に覆われている開聞岳。海岸沿いには海水をプールのように囲む歩道が出来ており、少し先まで行けそうな感じである。ただこれも潮の干満によるようで、あまり深入りすると海水に隠れてしまいそうだ。

驚きなのは、この遊歩道、プールに見えるところは、11万年前に起きた巨大噴火で噴出した火砕流の溶結凝灰岩からできたものだという。

そろそろ枕崎市に入り、目指すのは第97番・大国寺。市街地を前に国道226号線から横道に入り、再び茶畑が広がる中、高度を上げていく・・・。

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