まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

滋賀15番「園城寺(三井寺)」~神仏霊場巡拝の道・40(年越しの前にお参りしたが・・)

2023年01月07日 | 神仏霊場巡拝の道

大晦日、混雑の伏見稲荷大社の参拝を終え、稲荷駅からJR奈良線で京都駅に出る。コインロッカーから荷物を取り出し、米原方面の列車に乗り、そして下車したのは大津である。ここまで触れていなかったが、大晦日の宿泊は大津ということにした。京都や大阪での宿泊も考えたのだが、決め手となったのは元日の記事にも載せた琵琶湖クルーズからの初日の出である。

当初、この年末年始は広島からいったん九州に渡り、九州八十八ヶ所百八霊場めぐりをした後に大阪行きのフェリーに乗船し、大阪湾を行く船上から初日の出を見ようと思っていた。それが、大学の同窓生との忘年会が入ったため直接関西に出たのだが、その中で見つけた湖の上から初日の出というのも貴重な体験になりそうだ。そして元日は初日の出の後、滋賀県内のある札所に向かう予定である。これはあみだくじには関係なく、どうせならなかなか行きにくいところを目的地として決めたことである。

初日の出クルーズの大津港の出航が6時45分となると、おのずと大津駅近辺での宿泊となる。当初は大津でも他のホテルを手配したのだが、客室でBS放送が映らないことが判明した。大晦日の夜といえばBSで「あの番組」を見ながら年越しの乾杯・・と思っていたため、別に探すことにした。

そこで空いていたのが東横インである。JR大津駅と京阪のびわ湖浜大津駅の中間にあり、JRからだと少し歩くのだが、ちょうど真ん前の道路上を京阪大津線の列車が走っているところである(さすがに部屋からは電車の走行は見られないが)。

時刻は15時すぎ。東横インの会員ではないのでチェックインは16時からだが、荷物だけ先に預かってもらい、ここまで来たからには園城寺(以下、通称の三井寺で統一)を目指すことにする。ホテル近くの商店街を抜けると徒歩10分くらいで観音堂のあるエリアには着くようだ。今回、三井寺まで参詣することになるとは思わなかった。なお、これで神仏霊場めぐりも滋賀県の札所に初めて訪ねることになる。残りは兵庫県・・・。

ホテルからすぐのところにある商店街には「除夜の鐘」のポスターが貼られている。近江八景の一つでもある「三井の晩鐘」を除夜の鐘として撞くことができるという。冥加料は1000円で、22時半に観音堂に集合とある。これもせっかくの機会で、行ってもいいかなと思う。

商店街を抜け、初詣の仕度中の長等神社を過ぎる。神社のすぐ横手が三井寺の観音堂側の入口である。

通常ならここで入山料を納めるのだが、窓口は閉まっている。ただし階段が開放されているようで、上ろうとすると「本日の受付は終了しました」の看板も横向きに出ている。時刻はまだ16時前、通常なら拝観時間内のはずだが、これはこのまま入ってよいものかどうか。ただ、上から下りてくる参詣者らしき人もいるし、ともかく階段を上ることにする。

境内には他にも参詣者が何人かいて、特に拝観お断りで追い出される様子もなく、そのままお参りとする。神仏霊場めぐりの本尊は金堂に祀られている弥勒菩薩であるが、こちら観音堂は西国三十三所の札所で、まずは西国三十三所の4巡目としてお勤めとする。先ほど大津駅で下車した時、JRの「駅からはじまる西国三十三所」のデジタルスタンプも取っている。

観音堂でのお勤めを終え、すぐ上の広場から大津市街、琵琶湖の景色を眺める。

坂道を下って金堂のあるエリアに向かう。参道の脇には提灯や灯籠が並ぶが、こちらはほとんど人の気配がない。途中の不動堂などの扉が閉まっているのが気になる。

正面に金堂が見えてきた。そして近づくと上り口に木の棒が渡してあって、入口の扉には「拝観準備中」の札があった。あらあら。これは大晦日ということで、早々と寺の扉を閉じたということかな。納経所は金堂の中にあったはずで、これではどうしようもない。西国三十三所めぐりの対応もあって、観音堂だけはちゃんと定刻まで開放していたといえるが、観音堂では金堂の朱印は扱っていない。

ただ、除夜の鐘をこちらの鐘楼で撞くのであれば、夜には境内、そして金堂も開いていることだろう。ひょっとしたら、金堂の朱印は除夜の鐘の時にいただけるかもしれない。これはぜひ、除夜の鐘に参加するべく、もう一度夜に出直すことにしよう。迎春準備を迎える三井寺であった・。

東横インに戻り、今度は無事にチェックイン。通常期なら夕方を待って大津の町で一献・・・というところだが、大晦日とあってグルメサイトなど見ても軒並み休みである。大津駅前のチェーン居酒屋は年中無休で開いているようだが、まあ、今回はいいかなと。その分、ホテル近くの商店街にあったスーパー(平和堂フレンドマート)を含めて途中でいろいろなものを仕入れており、これらを部屋でゆっくりといただくことにする。

まずは、滋賀に来たら鮒寿司である。駅構内の観光案内所にて、琵琶湖のニゴロブナを使ったという鮒寿司を仕入れていた。そして大津の地酒「浅茅生(あさぢを)」。鮒寿司は好き嫌いが分かれる食べ物の一つだと思うが、私は好物である。

もっとも、鮒寿司については、三井寺からの帰りに立ち寄ったスーパーでも魚コーナーに普通に置いてあり、鮒の種類はわからないが製造者は地元の魚屋とあった。値段は半額以下で手軽に味わえる。これはその後年末年始旅を続け、この記事を書いている現在も自宅の冷蔵庫の中だ。ある程度日持ちのするものなので、折を見ていただくことにしよう。

後は、京都で駅弁を買っていた。富山の「ますのすし」に加えて、メインとしたのは「京都料亭菜膳」。製造元は大阪の業者である水了軒だが、京都のおばんざいをさまざまに詰めた駅弁で、目で楽しめ、気分だけでも京都の料亭での一献ということにしよう。

煮物(京都でいう「炊いたん」)としては里芋、椎茸、人参などが並び、高野豆腐に出し巻き玉子、金平人参なども名を連ねる。さらには煮豆に湯葉、大根の膾。ご飯の上にはちりめん山椒。肉や煮魚、焼き魚、揚げ物などが濃い目のおかずが入っていない分、物足りない人には物足りないだろうが、たまにはこういうのもいいだろう。1080円と、最近の駅弁としては価格面でも良心的に見えた。最近では駅弁も平気で1200円、1500円はかかるだけに・・。

大晦日、何やかんやで飲みながらテレビもいろいろ見るうち、時間も結構経った。年越しそばは日清のどん兵衛で済ませ、いつしかテレビはお目当ての「吉田類の酒場放浪記」へ。そう、「あの番組」である。BS-TBSの年末特番で(だから、あるホテルでBS放送が映らないとわかって、東横インに変更した)、紅白よりも、他のバラエティ番組よりもこちらを楽しみにしていた。今回は西国街道を行くそうで、姫路に始まり、岡山県内、そして岩国へと向かうとある。地元広島にも近いところ。

場面はちょうど倉敷で、美観地区や酒蔵をまわった後に訪ねたのは「炉ばた焼 佑明次(ゆめじ)」。倉敷ということもあり、これは一度行ってみたいと思わせる。値段はそれなりするだろうが・・。

・・・泊まる前までは、このまま番組を見続けて午前0時の新年の時にはテレビ画面越しで吉田類さんとの乾杯を楽しみにしていた。しかし、現地に来て「三井の晩鐘での除夜の鐘」のお誘いのほうが勝った。22時前という早い時間で名残惜しいが、再び防寒に身を固めて、夜の三井寺に向かうのであった・・・。

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