まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

奈良5番「帯解寺」~神仏霊場巡拝の道・45(皇室も詣でる安産祈願の寺)

2023年01月14日 | 神仏霊場巡拝の道

大安寺から帯解寺に徒歩で移動する。最後は万葉まほろば線の線路を越し、帯解駅を右手に見る。昔から安産、子育て祈願の寺として信仰を集めており、私も名前は知っていたが訪ねるのは初めてである(それにしても、各種の札所めぐりをするようになって初めて訪ねることになった寺社の多いこと)。安産、子育てに縁がないからかな・・。

帯解寺は元々霊松庵といい、弘法大師の平城京における師であった勤操によって開かれたお堂の一つであった。平安時代、文徳天皇の皇后である藤原明子(藤原良房の娘)が長らく世継ぎに恵まれなかったが、当地で祈願したところ皇子(後の清和天皇)が産まれた。このことで文徳天皇の勅命により帯解寺という名を与えられ、伽藍も建立されたという。

また江戸時代には2代将軍秀忠の妻・江が帯解寺で祈願して家光が誕生し、長く世継ぎに恵まれなかった家光の側室・楽もここで祈願して家綱が誕生した。近年も現在の上皇后、皇后さまをはじめ皇族方も安産祈願を行ったそうだ。そういう方たちが祈願に訪ねるくらいだから、一般家庭でもここはぜひ祈願していただきたいところだろう。

それだけ歴史のある寺ならさぞかし規模も大きい寺というイメージを持って来たのだが、立派な信徒会館はあるものの、境内じたいはシンプルである。別に大きな伽藍があるわけでも、新興宗教にありがちな巨大な本堂や拝殿があるわけでなく、どこか温かく受け入れてくれそうな寺の印象である(私の頭の中には、宝塚にある西国三十三所の札所でもあるあの寺のイメージがあったのかもしれない)。

本堂の外陣に上がる。ちょうど内陣では安産祈願が行われており、読経の声がスピーカー越しに聞こえてくる。今中に入っているのは2組のようだが、タイミングが重なると内陣には入りきらず、外陣で祈祷を受ける人も出てくるのだろう。祈願文では住所を言うのだが、1組の家族は関東地方の住所だった。また、それぞれの出産予定日も祈願文に込められている。

朱印をいただく。「帯解子安地蔵」の文字が入る。それにしてもこの「帯解」というのはどういう意味だろうか。ネットによると、子どもが初めて付け帯をはずし、普通の帯を用いる祝いとして、室町時代あたりから行われている儀式だという。男の子が5歳、女の子は7歳ということで、七五三の祝いとも関連しているそうだ。幼児から次のステップに上がるというのかな。さすがに現代では帯を着けないからそうした儀式もほとんどないようだが・・。

さて、近くには興福寺や元興寺、東大寺に春日大社といった神仏霊場の札所もあるが、この後、昼過ぎの高速バスで広島に戻ることにしているため、年末から続いた札所めぐりは帯解寺で終了とする。そして、次回の札所決めである。その候補は・・・

・興福寺(奈良3番)

・枚岡神社(大阪19番)

・廣峯神社(兵庫9番)

・中宮寺(奈良14番)

・清荒神清澄寺(兵庫14番)

・多賀大社(滋賀1番)

・・・くじ引きの最初に興福寺が出たのには思わず笑ってしまった。もし興福寺が出たなら、さすがにそのまま行かざるを得ないだろう。高速バスは1本遅らせるとして(それでも空席はあるようだ)。同じ奈良でも中宮寺だと、法隆寺などほかの斑鳩の寺院と一緒にしたいので、次回かな。

そして出たのは、あみだくじで3枠の廣峯神社。姫路にあり、黒田官兵衛ゆかりの神社という。これで次回、ようやく初めて兵庫県の札所となる。その兵庫でも西のほうなので、近くの園教寺、さらには赤穂大石神社といったところもセットにしようか。

帯解駅に出る。1月1日~3日は沿線の初詣対応のため、万葉まほろば線も特別ダイヤで増便されている。これで奈良に出て、大和路快速に乗り継ぐ。線路内の点検を行ったとかで20分ほどの遅れだったが・・・。

時刻は昼時、天王寺に到着ということで、さくっと昼飲みとしよう(その時間を確保するために帯解寺で切り上げたといってもいいだろう)。

訪ねたのは定番の赤垣屋。この時間から満員御礼の盛況である。メニューがいくらか減ったように感じるのは正月の営業だからかもしれないが、その中で冬の定番である寒ブリ造りや、縁起物でにしんの紅白なますなどをいただく。かす汁と熱燗の組み合わせって、実に温まるのでこの店で締めに頼む組み合わせだ。ふぐのひれ酒がメニューから外れていたのだが・・。

天王寺からJR大阪駅に移動。乗るのは、13時30分発の「グラン昼特急広島3号」。広島まで約5時間の道のりである。この時間からなら青春18きっぷでの乗り継ぎ移動もできるのだが、年末年始をまたいでの旅で荷物が多く、バスのトランクに預けてゆったり移動するのと、成人の日の連休で18きっぷの残りを使う予定があったためである。

バスは順調に走る。この年末年始、各地の高速道路は大きな渋滞はほとんど見られなかったそうだが、それでも中国道、山陽道とも、反対側の大阪方面の車線では何ヶ所か小規模な渋滞があった。

そのまま日没が近くなり、広島に入ると暗くなった。この日はそのまま帰宅し、翌4日まで休みなのでゆっくりと過ごした。2023年、あちこちの寺社に詣でたからというわけではないが、良い年になってほしいものだ・・・。

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