まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

山陰線で夕方の風情に癒される

2022年07月20日 | 旅行記F・中国

前の記事で、7月10日に奈良・大阪へ神仏霊場巡拝の道めぐりを訪ねたが、会社からの連絡に不穏なものを感じて神戸での試合観戦をあきらめて広島に戻ったことを書いた。

週が明けて、私の姿は島根県の益田にあった。まあ、トラブル対応のために急遽出張ということに。幸い、お客を含めて大きな迷惑にはならなかったが、大事を取ることもあってその週は益田のホテルに泊まりこみとなった。まあ、昼間の滞在も融通が利くところだったので日中はリモートワークをしているようなものだ。在所を明らかにせずWEB会議にも出席したし。個人のパソコンも持参したので夜にはブログ記事の更新もできた。ちょっとした「ワーケーション」体験もできたかなと、前向きに考えることにする。

そちらの目途がついた15日の夕方。せっかく益田に来たのだからと、一時を列車に身を任せることにする。益田は山陰線、山口線が分岐する駅だが、その両側の区間はいずれもJR西日本が「維持困難路線」として収支を公開したところである。その中で、益田から西に向かう夕方の列車に乗り込んだ。

17時47分発の長門市行き。キハ47の2両編成だ。発車時刻となったが、2両にいるのは私の他は高校生が数人。ごく普通の平日の夕方、通勤客のラッシュとは無縁である。

長門市行きに乗ったのは、こちらの区間のほうが1日の運転本数が少ないこと、それでも日本海の夕景を見られること、そして国鉄型気動車が走る区間であること。当初は、この先の木与で反対列車とすれ違うので、そこまで行こうというつもりで乗った。

まずは次の戸田小浜まで駅間が長いところを走る。早速水平線が見えて来た。前日14日は益田市内にも大雨警報が出ていたのだが、この日はまずまずの天気だった。

その戸田小浜で反対からの列車とすれ違ってすぐに発車するダイヤだが、しばらく停まってまま。どうやら反対からの列車が遅れていて、そのまま3分遅れで発車。普段なら気にすることでもないのだが、この後木与で折り返すことを考えると不安である。ダイヤ通りに走ると、私が乗っている長門市行きが先に着いて反対からの列車を待つはずだが、こちらが遅れるとなると立場が逆転する。乗り換える時間がないかもしれない。

それならその時と考えて気動車に揺られる。高校生たちも駅ごとに下車して、県境を越える時には私と、後ろの車両にもう1人いたくらいかな。夕方の帰宅時間帯でこれなら、そりゃ維持困難区間にもなるよなと思う。

須佐から宇田郷にかけて、少しずつ日が西に傾き、いい感じの景色になった。普段の生活では見ることができないものだ。宇田郷の次が木与だが、果たしてこちらの列車が着く時にはすでに反対からの列車が停車していた。ここから慌てて折り返し乗車しようとしても、それに気づかず反対からの列車が出る可能性が高そうだ。ならば木与下車はあきらめて、きりのいい東萩まで行き、最終の列車で益田に戻ることにした。

奈古からは萩方面に帰宅する高校生たちが乗って来てホッとする。少し前、町からの給付金4630万円が誤って一人の男性に振り込まれ、それをネットカジノで使ったのを返せということで騒ぎになった阿武町の玄関駅である。男性は逮捕、給付金は弁護士が策を講じて取り返したことで一応「一件落着」となったが、年末に流れるであろう「2022年の大きなニュース」の一つとして、阿武町の事故は取り上げられるだろう。

萩の市街に差し掛かり、18時58分東萩に到着。折り返しは、20時23分発の益田行きである。

夕食の時間帯だが、東萩の駅前には店がほとんどなく、確か町の中心に向かう途中にコンビニがあるので、そこまで歩いていろいろ仕入れようかと思っていた。

そう思ってロータリーを回ると、意外にも赤ちょうちんが出ていた。「おしゃれ茶屋」とある。「萩にも旨いもん ぶちあるけえ~」ともあり、ならば入ってみよう。家族でやっている感じの店で、フリの客だがカウンターが空いていて通される。

いただいたのはおすすめにあったヒラソ(ヒラマサ)の刺身。後は焼き鳥、牛串といったところ。小フグの唐揚げも。

萩の名物ということで、夏ミカンを使ったサワーも。1時間半もあればゆったりできそうなものだが、結構時計も気にしていた。列車を逃すと益田まで帰る手段はない。

駅に戻り、列車の到着を待つ。時間が近づくと高校生が10数名ほどになり、1両のキハ40に乗り込む。この日に限っていえば、行き帰りとも高校生以外は私だけのようだ。

その高校生たちも駅ごとに下車して、須佐で車内は私一人になった。夜のローカル線で列車貸切である。窓も開けて外の風も取り入れる。気動車のエンジン音だけが高らかに響く。

21時36分、益田到着。ホーム向かいにはこれも最終列車となる21時38分発の浜田行きが停まっていた。この時間は益田でも駅員が不在となり、運転席後ろの運賃箱で運賃を支払う。

青春18きっぷの時季なら、どちらの列車にもおそらく数人ずつはその筋の客はいたことだろう。しかし、平日はこんなもの。これも貴重な経験ということで、緊急出張ともども、見聞を広げたということで・・・。

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