まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

奈良8番「大神神社」~神仏霊場巡拝の道・17(三輪山のご神体とご神水)

2022年07月12日 | 神仏霊場巡拝の道

桜井駅10時45分の奈良行きに乗り1駅、三輪に到着する。大神神社、三輪明神の最寄り駅である。駅からは名物の三輪そうめんを出す店も並ぶ。

工事中の参道を抜け、大神神社の鳥居に着くが、これは二の鳥居とある。では一の鳥居は、今回は訪ねなかったが万葉まほろば線の車窓に見える大鳥居なのか・・というとそうでもないようである。駅から歩いてきたから参道をショートカットした形になるのかな。

参道を歩く。大神神社の祭神は大物主神で、祀られている三輪山じたいが御神体ということで本殿を持たない。直接山に祈りをささげるという、古来からの様式が今に伝わるということで、我が国最古の神社とされている。

この記事では大神神社という名前で書いているが、いっぽうで三輪明神という呼び方も浸透しているように思う。中世以降は神仏習合の色合いも強く、神宮寺も有していたそうだが、明治の神仏分離により大神神社という名前になった。神を「みわ」と読ませるのも、ここ「三輪山=神」という意味が込められているのだろうか。

最後の石段を上がり、拝殿に向かう。江戸時代前期、4代将軍徳川家綱の手により再建されたもの。まずはここで御神体の三輪山に向けて手を合わせる。

手前には巳の神杉という、樹齢500年といわれる杉の巨木がある。ここも手を合わせる対象だが、お供え物で目立つのが卵。中には10個入りのパックでお供えされているのもある。この杉には大物主神の化身とされる白蛇が棲んでいるとされ、蛇の好物ということで卵がお供えされるそうだ。

こういうのを見ると気になるのが、お供えされた卵のその後。お下がりで神社の方がいただくのか、それとも処分されるのか。この暑さの中に置いていたらそれだけで温泉卵でも出来上がりそうだが・・。

朱印をいただく。敷地の地下に冷房の効いた参拝者休憩所があり、しばらく涼む。

大神神社にはいくつかの式内社がある。その一つである狭井神社に向かう。その参道も山の辺の道に含まれている。狭井神社は病気平癒の神社であるが、三輪山への登拝口がある。ただし、新型コロナウイルスの影響で現在は登拝受付が中止されている。御神体山の安泰と、神域が感染源にならぬようとの配慮である。病気平癒の神社といっても現実的な対応をせざるを得ないところのようだ。

なおこちらには万病に効くという薬水が湧き出る井戸があり、大神神社の御神水としていただくことができる。私も喉をうるおし、ペットボトルに汲ませていただく。

この池のほとりに「清明 三島由紀夫」と刻まれた石碑を見つける。説明によると、三島由紀夫は1966年に三輪山に登拝し、その後に色紙にしたためた文字だという。大神神社の神域を「清明の一語に尽き」として、終生忘れられない思い出としている。三島由紀夫の遺作となる「豊饒の海」の第2巻「奔馬」の一場面に大神神社が登場するが、この時の取材を元にしたという(「豊饒の海」・・以前、4巻通して読んだのだが、ストーリーはまだしも、仏教・神道に関する記述は難解だったな・・)。

これで大神神社の参詣として、三輪駅に戻ることにする。三輪といえば「三輪そうめん」ということで、「万直し本店」という店に入る。メニューは温かいにゅうめんのほうが多いのだが、この暑さ、やはり冷やしそうめんだろう。これに柿の葉寿司のセットをいただく。奈良らしい食べ物の組み合わせである。

次は12時10分発の奈良行きに乗り、3駅先の長柄に向かう。目指すのは奈良7番の大和神社である・・・。

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