まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

「奥出雲おろち号」に乗る~帰途ものんびりと

2021年09月23日 | 旅行記F・中国

「奥出雲おろち号」は備後落合に到着。ここで20分ほどの折り返し時間となる。乗客も思い思いに駅構内を散策する。この日は残念ながら、名物の元国鉄機関士のボランティア男性の姿はなかった。

駅の外から国道に続く道には何台ものクルマが停まっている。「奥出雲おろち号」の撮影に来たのかな。今回は往復乗車できたが、もし備後落合~木次までの指定席しかとれなかったら、最悪備後落合駅前にクルマを停めて往復してもいいかなと考えていた。木次駅のようにはっきりとした駐車場があるわけではないが、駐車禁止の表示があるわけでもなし・・。

当初は進行方向後ろ向きの通路側だったが、当日朝に券売機で前向きの窓側に変更できた。ただ、備後落合からの乗車券を持っていなかったので、車掌から買い求める。

備後落合からの乗客だが、往路より減ったように見える。芸備線の三次、新見各方面への列車は2時間待ちだが、どうにかしてこの駅で過ごすのだろう。復路には乗らない人たちのお見送りを受けて発車する。

今度はDE15が牽引する形になる。それはいいのだがやはり往路とは違う。例えばトンネルに入ると、往路では前方から涼しい風がサーッと入り込んだのだが、今度は機関車からの排気、熱風も混じって来る。後に木次で降りたところで気づいたのだが、この排気のためか、つけていた白マスクが結構汚れていた。

そういえば、トロッコ車両が空いているのに備後落合から木次までずっと控え車両に座っていた人もいたように思う。ひょっとしたら木次行きはこうしたことがあるのを知っていたのかな。

それはさておき、まずは油木、三井野原と広島県区間を行く。並走する国道から手を振る人の数も増えたように思う。また、国道を急ぎ走るクルマも目につく。この先、同じクルマを何度も見る場面もある。「奥出雲おろち号」がのんびり走る一方、クルマで先回りして撮影し、また先のポイントまで行って撮影する人のようだ。

三井野原を過ぎ、「おろちループ」を見る。ここでも速度を落として景色を見せてくれる。

続いては出雲坂根の三段式スイッチバック。行き止まりのポイントでまた運転士が機関車から客車に乗り込んで、客車改造の運転台にやって来る。そして下って出雲坂根に到着する。

ここでは備後落合行きの鈍行とすれ違う。出雲坂根到着前、「備後落合行きご利用の方は車掌にお知らせください」の案内があった。すでに駅舎側のホームに1両の備後落合行きが停まっており、反対側のホームに「奥出雲おろち号」が入る。備後落合行きが先に出るので踏切が鳴るのだが、その前に折り返しの乗り換え客を通すものである。数人が出雲坂根で折り返していった。なるほどこれなら備後落合で2時間待つこともなく、到着後に芸備線に乗り継ぐことができる。

「奥出雲おろち号」は出雲坂根で18分停車。往路では5分停車と慌ただしかったが、今度はゆっくりできる。往路でペットボトルに「延命水」を汲んだが、ここでもう1回汲む。ちょうどドライブの途中で列車を見に来た人もいる。

静かに、のんびりと進む。最後部となった客車後方の展望スペースに行ったり、隣の控え車両のリクライニングシートに身を寄せたりと過ごす。地元の人たちも過ぎゆく列車に手を振ってくれる。また、撮り鉄の数も往路より増えているように思う。やはり機関車を先頭にして走るほうが絵になるのだろう。

八川、亀嵩では引き続き「そば弁当」の予約販売が行われ、往路ほどではないが買い求める客もいる。

14時55分、出雲三成着。ここで列車行き違いのため20分停車。出雲三成には駅舎に地域の物産コーナーがある。せっかくなので仁多米2キロと、亀嵩の生そばを購入。鉄道の旅で米持参て・・戦時中の旅ではあるまいし荷物になるだけ。また仁多米は近所のスーパーでも買えるのだが、せっかく本場に来たことだし、今回はクルマに積んで帰れるから・・。

もうしばらく客車の旅を楽しみ、15時57分、終点の木次に到着。宍道行きがすぐに接続しており、ほとんどの客が反対側ホームに乗り継いでいった。ここまで乗って来たのだからもう少し余韻を感じる時間があってもいいと思うが、ここの乗り継ぎだけ慌ただしい。まあ、出雲坂根や出雲三成で長時間停車するから列車の撮影はそこで十分でしょ、ということか。それよりも少しでも早く松江や出雲市に帰れたほうがいいということか。

かくいう私は木次で下車する。地元の人たちが駅の外で「奥出雲おろち号」をお出迎えである。しばらくすると備後落合側に向けて発車していった。また側線の車庫に入って一休みするのだろう。

時刻は16時、これから広島に向けて戻る。往路は高速利用で2時間半ほどだったが、復路は下道で行こうか。国道54号線をひた走ることにする。昨年、中国観音霊場めぐりで同じ雲南市にある禅定寺という札所を訪ねたが、その時以来である。順調に走り、3時間半ほどで広島に戻ることができた。

さて、これで「奥出雲おろち号」の往復全区間乗車がかなった(その前段にえらい手間をかけることになったが)。今季は11月まで運行されるが、これから秋を迎えると紅葉見物などで団体利用で賑わう日が増えるだろう。今回は乗りっぱなしだったが、地元スポットをめぐるミニツアーも企画されており(ただし、指定席は自分で確保する必要あり)、いろんな形で木次線を楽しむのも面白そうだ。また、クルマで訪ねて外から列車を追いかけるのも、鉄道の旅とは趣旨が異なるがそれもありだろう。「おろちループ」を久しぶりにクルマで通る日もあるだろう。

2023年度での運転終了ということは変わりないようだが・・・。

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