まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第4回九州西国霊場めぐり~臼杵石仏総選挙

2021年09月30日 | 九州西国霊場

9月19日、温泉だけでなく大仏はじめ諸仏がずらりと並ぶのが印象的だった「臼杵湯の里」から出発である。この日はまず臼杵の石仏に向かった後、三重町の第11番蓮城寺まで行き、大分駅でレンタカーを返却する。そして午後は豊肥線に乗って豊後竹田に向かう行程である。

移動の前に、「臼杵湯の里」のすぐ横にある田んぼに向かう。稲穂もよく実ったところに何体もの案山子が並んでいる。毎年この時季に「かかし祭り」が行われているそうで、国道を行く人たちの目を楽しませている。

こういうところではアニメのキャラクターや世相を反映したものが並ぶのだが、今年はやはり東京五輪が開催されたこともあり、スポーツ選手をモチーフにした作品も並ぶ。ソフトボールの上野投手なんてのもある。

そうかと思えば、昔の田起こし風景として黒牛が現れたり・・。

こんなところにも阪神ファンがいたりする。この時タイガースはセ・リーグ首位を走っていたが、急にスワローズも追い上げており、この旅のすぐ後に首位が入れ替わった。パ・リーグ、セ・リーグとも順位はまだまだわからない(とはいううものの、11月に行われるクライマックスシリーズについて、バファローズ主催予定分の前売りが始まったのでとりあえず確保した。優勝してめでたく京セラドームでファイナルステージが行われるのか、いや結局現在の順位のままファーストステージになるのか。とりあえず両方の日程を抑えたが、そもそも京セラドームでの開催がなくなるというシャレにならん事態にならないとも限らない・・・といいつつ、マリーンズとの直接対決に3連勝して一気にゲーム差0に縮めるとは驚いた!!)。

・・・案山子で秋の風情を楽しみ、臼杵石仏に向かう。臼杵湯の里からはクルマで5分ほどと近い。

臼杵の石仏もかなり以前に一度見物した。その時印象的だったのが大日如来像。昔のガイドブックで、石仏の損傷が激しいために頭部が胴体から離れた生首のように置かれていたのを見たことがある。それが、実際に臼杵に行くと修復されてくっついていて、ガイドブックとは違う姿に違和感を持ったのを覚えている。この頭部をそのまま置いておくか、あるいは修復して胴体とくっつけるかについては、その当時いろいろ議論があったそうだ。

ただよく考えれば、石仏の頭部だけが置かれているのも不自然なことだし、修復して頭部と胴体とをくっつけることを条件として臼杵石仏も国宝に指定されたのだから、ありがたい話ではないかと思う。

見学のチケットを買うと団扇のサービスがあり、「今こういうのをやっています」と案内される。それは「国宝臼杵石仏美仏総選挙2021」というもの。団扇でも告知されている。

この総選挙、国宝に指定されている61体の石仏の中から厳選された9体の中から1体を選んで投票するとある。投票した人の中から抽選で臼杵市の特産品などが当たるという。この「総選挙」の「各候補者」についてはまさに選挙用のポスターも作られ、それぞれの仏の特徴を活かしたキャッチフレーズ・公約?も記されている。

この石仏一帯(有料ゾーン)に入る手前に、摩崖仏として彫られた不動明王を見る。これは国宝に指定されているわけではないが、山肌に安置された姿はなかなか立派である。

そして国宝の一帯へ。チケットを提示し、順路に沿って進む。本来の摩崖仏に屋根をかけてお堂のようにして保存している。早速総選挙の「候補者」も姿を見せる。

そもそも、臼杵石仏、国宝とありがたく拝むところが、この石仏群がいつ頃できたものかははっきりしていないそうだ。地元の伝説では、聖徳太子の父である用明天皇の頃に登場する豊後の真野長者が娘の菩提を弔うために彫らせたそうだが、実際には仏像の様式などから平安後期~鎌倉時代の作とされる。石仏群の向こうにある満月寺を創建した蓮城法師の手によるとされるが、これも伝説の中のことという。実際にこれだけのものが出来上がったのにはさまざまな人たちの尽力があったはずだが、それを感じさせないのも魅力といえるだろう。

まずは九品の阿弥陀如来が並ぶ一角。自然の岩をこうして活用させるのも相当な技術が必要だろう。観音の水というのも湧いている。

続いては、平安から鎌倉時代にかけての作である20数体の石仏が並ぶ。この一角から「総選挙」に出馬している石仏も多く、かなりの激戦区のようだ。

さらに奥に進んでお堂に着くのが山王山石仏群。釈迦如来を中央に、左右に阿弥陀、薬師如来を従えるが、今回の「総選挙」にはいずれも出馬していないようだ。

そして来たのが古園石仏群。臼杵石仏の中でもここが中心の役割をしており、頭部を修復した大日如来もここに祀られている。

ありがたみを感じるスポットである。久方ぶりにこの大日如来を拝んだが、今となってはすっかりこの姿かたちに落ち着いているように感じた。改めてここで般若心経のお勤めとして、書置きの大日如来の朱印もいただく。九州西国霊場の札所以外の朱印をいただくのは、宇佐神宮以来のことである。

そして「総選挙」。ここにも各「候補者」のポスターが貼られ、投票箱もあり実際の選挙さながらである。私もある「候補者」に投票した。投票期間は10月末までとのことだが、果たして投票結果はどのように出るのかな・・・?

岩場に彫られた摩崖仏の見学はここまでで、目の前に広がる石仏公園に出る。

その奥にあるのが満月寺で、そちらに向かうと、膝から上だけが表に出る仁王像が出迎える。臼杵石仏は昔から満月寺が守護していると伝えられている。

これで臼杵いちばんの名所を訪ねたこととして、次は三重町に向かう。まずは、大分県最後の札所である・・・。

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