まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第15回中国観音霊場めぐり~一畑口へ

2020年09月27日 | 中国観音霊場

明けて20日、中国観音霊場めぐり2日目である。この日目指すのは第26番の一畑寺。途中の第24番、第25番は次の機会として、今回は一畑電車の社名の由来ともなった一畑寺に参詣する。

ホテルで目覚め、朝風呂とする。朝食は本館に移動して最上階のレストランである。バイキング形式だが、混雑を避けるために6時30分から30分刻みで取ることになっている。チェックイン時に6時30分からの部に申し込んでいた。食べ物を取る時はビニール手袋を着用し、共用のトング、またはそれが気になる人は使い切りの菜箸を使う。メニューにはシジミの味噌汁に炊き込みご飯、出雲そば、赤天、のどぐろの干物など、ローカルメニューもある。

宍道湖を見下ろす形での朝食。湖畔の遊歩道では朝からジョギングやウォーキングをする人の姿が結構あり、改めて地元の人たちの憩いの場になっている様子が見える。

朝食後、しばし部屋でくつろいだ後にチェックアウト。一畑電車の松江しんじ湖温泉駅に向かう。この日は単純に一畑口まで往復するだけなので、券売機で往復で乗車券を買っておく。9時18分発の出雲大社前行きに乗ろうと思うが、それでも時間が少しある。ということで、駅前にある足湯に入る。先ほど朝風呂に入ったばかりなのだが・・・。時折湖からの涼しい風が吹き抜ける。

出雲大社前行きは元京王電車の車両。セミクロスシートに改造されており、宍道湖側のシートに座る。この日も前日に続いて晴天で、朝日を受けて湖面も輝いて見える。

9時45分、一畑口に到着。ここも無人駅のため、運転手に切符を渡して下車する。列車はここで向きを変えて出雲大社前に向かう。ちょうど出雲大社前からの列車も入って来て、二つの列車がここで行き違いとなる。

映画『RAILWAYS』でも主要なシーンの舞台となった一畑口。

また、改札口の前では、「ゲゲゲの鬼太郎」の目玉おやじが出迎える。一畑寺が「目の薬師さん」として信仰を集めていることもあるが、作者の水木しげるが少年時代に大きな影響を受けた「のんのんばあ」が一畑薬師を熱心に進行していて、水木少年も連れて行ってもらったという。その縁でこうした目玉おやじの像が建てられた。このシリーズは他にもあり、この後で出会うことになる。

少し時間があるので駅の周辺を見て回る。少し進むと線路が途切れ、車止めがある。それもがっちりした終着駅というよりは、どこか中途半端にも見える。

ここで一畑電車の成り立ちに触れると、出雲今市(現在の電鉄出雲市)から一畑寺を結ぶ路線として計画され、出雲今市から平田(現在の雲州平田)まで開業したのが1914年。そして翌年に平田から小境灘(現在の一畑口)を経由して一畑坂下(後の一畑)まで開業した。一方、1928年に北松江(現在の松江しんじ湖温泉)から小境灘までも開業した。

しかし戦時中の1944年、小境灘~一畑間が「不要不急路線」に指定され、営業休止のうえ線路を撤去して、軍需輸送を行っていた名古屋鉄道に供出することになった。その後運行が再開されることなく、1960年に正式廃止となった。線路跡は現在は県道の一部になっている。先ほど車止めが中途半端に見えたのも、そうした歴史が現れているようだ。

ということで、一畑口まで来たのはいいが肝心の寺まではあと少しである。タクシー以外、公共交通機関は・・とみると、出雲市の生活バスが運行されている。ただこの生活バスも難所で、平日は日中を中心に7往復あるものの、土日祝日は3往復だけとなる。これから乗るのは10時19分発の第1便で、一畑寺までは10分あまりで着くのだが、着いたバスはそのまますぐに折り返す。一畑寺からの次の戻りは13時18分発と間隔が空く。いくら寺参りといっても、山上の寺で3時間近くというのは時間を持て余しそうだ。またこのバスで戻ると、その後に電車とバスを乗り継いだとしてJRの松江からの帰りの特急「やくも」がぎりぎりになる。

一畑口から一畑寺までは、地図で見ると4~5キロほどだろうか。それならば、帰りは下り道ということもあるので歩くことにするか。1本早い12時51分発の松江しんじ湖温泉行きに乗れそうだ。

待つうちに生活バスがやって来た。バスといっても10数人乗りのマイクロバスである。発車まで時間があるので一度離れたところで退避する。そして、松江方面からもう1本後の出雲大社行きが到着した。この列車からは、60歳代くらいのご夫婦が降りてきた。奥さんのほうがサングラスに杖をついていて、旦那さんが付き添う様子だ。「目の薬師さん」に願掛けをしに行くのだろう。

時間になりバスが駅前に横付けされ、私とそのご夫婦が乗り込む。一応途中のバス停はあるのだがあっさりと通過して、途中から車道の上り道に入る。実は一畑寺には麓から本堂まで1300段の石段があるそうだが、クルマは坂道を上って行く。この坂道もジグザグして結構長く続く。思ったよりも標高が高いところまで出て、先ほどの宍道湖も遠くに見下ろすようになった。

10分ほどで駐車場に入り、バス停に到着。寺へはこの先まだしばらく歩くようで、これからぼちぼちお参りである・・・。

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