まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第15回中国観音霊場めぐり~WEST EXPRESS銀河で出発・夜編

2020年09月21日 | 中国観音霊場

9月18日、夜の大阪駅に向かう。

中国観音霊場めぐりをしているうちに、私自身が人事異動で中国地方に行くことになるという、これも観音さんの「ご縁」なのかなという気持ちで、今回「WEST EXPRESS銀河」の抽選に繰り上げ当選したのもその前触れだったのかなと思う。実は9月乗車にはどうせ落選だろうと10月乗車分に応募しており、さらに11月乗車分の応募も検討していた。10月分は実際に落選したのだが、仮に当選したとしても乗りに行くのはちょっと難しかっただろう。また、18日から募集が始まった11月乗車分については応募も見合わせることにした。

ただ、12月からは山陽線の昼行列車として大阪~下関を走るそうで、こちらに応募するのもありかなと考えている。まだ住むところも決まっていないのに、こういうことだけは気が早い。

大阪駅構内のコンビニにて、夜の飲み物と、銀河のグッズとしてクリアファイルと、眠るのによいかなと空気枕を購入する。一夜を過ごすのは通常のリクライニングシートのため、枕はあったほうがよい。

3番ホームに上がる。電光掲示板の「銀河」の文字の横に☆マークがあしらわれている。かつて大阪~東京を走っていた夜行急行の「銀河」を連想させる。

今回の乗車は日本旅行主催の団体旅行の扱いで、大阪駅では4号車のみドアが開くとのことで、その付近に集合するよう案内を受けていた。係の人に体温を記入したチェックシートを提出すると、改めての検温と、参加者の印としてワッペンを渡される。途中の駅でも停車するので、正当な乗客であることを見分けるためでもある。

22時21分、3番ホームに青黒く塗られた117系がヘッドライトをともしながら入線する。22時28分までが停車で、それまでしばしお披露目の時間である。ホームの向かい側はまだ新快速、快速が発車しており、通勤帰りの人もこちらに注目している。晴れがましい。

4号車はフリースペースの「遊星」。4人掛けのボックスシートや小上がりの座敷が並ぶ。

後方の5号車はノビノビ座席の「クシェット」。かつてのB寝台をイメージさせるが、B寝台と比べると座席同士の間隔が狭いように見える。知らない人と相席になったら気を使いそうだ。

最後尾の6号車はグリーン個室。それぞれの部屋が斜めに配置されていて、通路も曲がっている。個室なので中の様子はうかがえない。最後尾にはフリースペースの「彗星」がある。

車内を取って返して、所定の3号車に向かう。車両の中央部がリクライニングシートで、左右5列ずつ並ぶ。このツアーでは密を避けるために1人あたり2席が割り当てられており、通路側の席も使うことができる。前後の間隔も通常の座席より広く取られているので、フルにリクライニングしてもお互いに気にならない。横にはなれないが、「クシェット」よりは自分の空間が保てるのではないかと思う。そうするうちに大阪を発車。

同じ3号車にはフリースペースの「明星」がある。テーブルカウンターには、「明星」のほかに「距離」、「マスク」など、かつての夜行列車のヘッドマークをあしらったコロナ対策のよびかけがなされたアクリル板で仕切られている。「距離」のイメージが「瀬戸」で、本州と四国の距離になぞらえているのが面白い。

しばしここで陣取って、夜の「飲み鉄」とする。ツアーのセットで夜食として「WEST EXPRESS銀河弁当」がついていて、4号車で乗車記念証と一緒に受け取る。弁当の製造元は関西では言わずと知れた淡路屋で、兵庫の「たこ飯おにぎり」、大阪の「いもたこなんきん」、京都の「すぐき漬と抹茶わらび餅」が盛り付けられている。六甲の夜景を眺めながらしばしの一献である。

三ノ宮、神戸で停車して、明石海峡大橋まで見たところで「明星」の席を立つ。本来ならばこの先の2号車、1号車も見たいところだが、2号車は女性専用席、1号車はグリーン車ということで、それぞれの号車の利用者以外は立入禁止となっている。

ここで引き返し、リクライニングシートは後でいいかなということで、しばらく「遊星」の小上がりでくつろぐ。靴を脱いで上がれるのがよい。フローリングの感触が心地よい。

しばらく停車の案内があったのは土山。「WEST EXPRESS銀河」は先を急ぐわけでもなく、定期列車や貨物列車の合間を縫って走るので、こうした長時間停車がちょこちょこある。ドアの扱いがないので車内から外には出ることはできず、逆に外からはしばし撮影タイムである。どの駅でどのくらい停車するのかという情報も出回っているのだろう。23時を回っているにも関わらずホームからカメラを向ける人の姿も結構見かける。

次の停車は姫路。金曜日運転時に限り23時48分に到着して、0時42分まで1時間近く停車する。

ここでは「WEST EXPRESS銀河」の乗客のためだけのサービスがある。名物の「えきそば」のスタンドが臨時営業していて、私もお目当てにしていた。他の客も楽しみにしていたようで、スタンドには行列ができる。持ち帰り用の容器に入れているのでホームでも、車内でも食べられるとのこと。私は外の風に当たりたかったのでホームのベンチでいただいたが、「遊星」のスペースでもいたるところでそばをすする音が聞こえる。

また、深夜の駅弁の立ち売りもあった。「えきそば」や駅弁の立ち売りを追いかけるテレビ局のクルーがいて、乗客にもインタビューをしたり、そばをすすっているところの映像を撮っていた。私もMBS毎日放送から一言求められたが、そんなに面白いコメントはしなかったので、たぶん放送で使われることはないだろう。

1時間も停車するということで、改めて編成を外側から見ることにする。かつて新快速で使われ、関西のエースとして君臨した117系だが、往年の外観のイメージをそのまま残しつつ、内部をよくあそこまでリニューアルできたものだなと感心する。

姫路ではテレビ局のクルーもいたが、それ以外にもスマホやら小型カメラを手にして、ホームの上をブツブツ言いながら歩く人が何人もいる。ユーチューバーなのだろう。そりゃ、「銀河」に乗ったとなれば動画もアップしたいところだろうし、それを観る人も「銀河」に乗ったような感覚になれる。ひょっとしたら私もどこかで映っているかもしれず、また検索してみよう。

時刻は0時を回ったが、眠る前にもう1杯飲もう。売られていたのは姫路の地酒「龍力(たつりき)」。こちらを「遊星」の小上がりで飲み、そろそろ眠ることにする。翌朝もゆっくりしたもので、終点の出雲市到着は9時31分。多少眠りが足りなくても、朝寝ができるのはよい。

リクライニングシートの2席をフルに使う。枕を使って身体を斜めにしたり、あるいは窓を枕にして横向きにしたり・・・要は眠る体勢をあれこれ試行錯誤していたのだが、岡山や倉敷といったところは全く気付かなかったのでそれなりに眠れたのだろう。

翌朝は鳥取の山中で目覚める・・・。

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