今回公演が終わってみて、その感想をつらつら考えるに「師 古川 寛泰」についてもまとめておきたいと強く思うのです。というのも、ひょっとしたらとんでもない(将来オペラ演出家として名を成すかもしれない)人に師事してるじゃないかと思うようになってるからです。付き合い始めてちょうど10年だしね。
10年前の秋、ひょんな動機でノヴェッラ合唱団の練習を覗きに行って、まず師の歌声にすっかり魅了された。それとこの若い男の「オペラに対する情熱」に当てられもした。その場に居るだけで自分も熱くなるのを感じ、そのままオペラにはまり、早10年ということなんです。「人生とは出逢い」そのものだったと懐かしい。「座間から日本オペラを変えたいんだ」と語ってたな。
その頃師はまだ「テノール声楽家」をめざしてバリバリに歌ってた。我々が出演させてもらう公演で主役のテノールを歌ってた。だからこの頃は演出という仕事はまだ全く考えて無かったはず。ほんとにいい声でした。(今もいい声だと聞くけど、1作品歌いきる体力が無いとご本人は言う) 人間の声ってどんな楽器よりも凄いんじゃないかと聞きました。
あわよくば自分もあんな声で なんて甘かったんですが。
ところが2015年3月 師は脳梗塞を発症。まだ40前だったはず。4月に郷里の会津若松での凱旋公演も近かったし、8月の座間公演(カヴァと道化師)も決まってた。公演そのものは代役をたてて実施できたが、師はリハビリ生活に。ここから2,3年は辛かったでしょうね。歌を諦め、演出家になろうと決めて、再起。ここから猛勉強したんじゃないだろうか。2018年の「愛の妙薬」で演出家としてデビューした。それから「トスカ」「椿姫」を演出して今回の「カヴァ」と「アンジェリカ」を演出した。この秋には始めてじゃないだろうか、別団体の小さな公演(トスカ)の演出をやられる とチラシが回ってたな。
今回の公演に向けていろいろ指導を受けてる中でこれまでと違う師だなと思うところが多々あった。「この人本気で演出家になると決めたな。それも日本一の演出家に。」を思わせた。作品に対する勉強量が半端無かったように感じた。指導の中に出てくる「状況説明」がやたら詳しい。かつ自分の頭の中で整理されてて、しっかり絵が描けてる感じでした。演出として指導する相手を見て、言うべきことを言うべき言葉で伝えようとしてたな。できる人、できて当たり前のプロにはやたら濃い指導が、できない人(我々ですが)には今やれる範囲を見定めてだったな。その人の今一歩先を目指させる指導だったような。年齢の上下も無い。ただただ自分が考える「いい作品」を作るための手段としての演出・指導をやってた。
そして出演者全員に自分のマジックを掛けちゃうんです。付き合ってるうちに「古川イズム」が沁み込んでいて、時が来た時舞台上でそれが爆発し、人が変わる、作品自体が良くなっていくって言うのかな そんな変化を体感した。そういうことを可能にする人のようなんですよ。
それでいて基本的な所はしっかりおさえてて、軽くは処理しないんです。「イタリアオペラだからこことここは手抜いちゃいけない」という哲学を持ってます。 今回アンジェに出演した若い女性達にはリモートでイタリア語の発音指導もやったと後で聞きました。僕たちは日頃の練習中にイタリア語の発音を執拗に注意されてます。演技の面でもソリストさんが「こんな基本的な事私できてないんだ」が解るような指導をしてるんだと思います。前の「トスカ」の時はトスカ役の中村真紀さんが練習中に涙流してるのを見ました。今回ルチア役、修道院長役の2役をやった宇津木明香音さんは終了後の幕裏で泣き崩れてました。宇津木さんは練習の休憩時間も1人舞台の上で動きを復習してましたね。 高い期待、それをなんとか表現し、期待にこたえたい、答えることが自分の成長なんだと考えるようになって行くんですね。あの人にかかると。われわれ合唱団だってそうだったと思うんです。最後の1週間の全員の向上心が凄かったからね。
アンジェリカに出演した若い女性達が「ここでもう1回やってみたい」「次のオーディション受けに来ます」と感想してました。上手く成れそうな熱・指導がここにはあるのを実感したんでしょうね。
全て師の「情熱」、「夢」が原動力なのは間違いないです。
余談ですが、僕は近くのオペラ合唱団 2つ3つ 入って練習した経験があります。でも今は他はいいです。師の熱に着いていくだけでいっぱいです。座間の熱の中に浸ってるのが最高に楽しいんです。合唱団も「古川イズム」にやられてる仲間ですからね。
昔「蜷川幸雄」という有名な演出家がいました。 師 古川寛泰もそういうレベルの演出家になるような気がするのです。
10年前の秋、ひょんな動機でノヴェッラ合唱団の練習を覗きに行って、まず師の歌声にすっかり魅了された。それとこの若い男の「オペラに対する情熱」に当てられもした。その場に居るだけで自分も熱くなるのを感じ、そのままオペラにはまり、早10年ということなんです。「人生とは出逢い」そのものだったと懐かしい。「座間から日本オペラを変えたいんだ」と語ってたな。
その頃師はまだ「テノール声楽家」をめざしてバリバリに歌ってた。我々が出演させてもらう公演で主役のテノールを歌ってた。だからこの頃は演出という仕事はまだ全く考えて無かったはず。ほんとにいい声でした。(今もいい声だと聞くけど、1作品歌いきる体力が無いとご本人は言う) 人間の声ってどんな楽器よりも凄いんじゃないかと聞きました。
あわよくば自分もあんな声で なんて甘かったんですが。
ところが2015年3月 師は脳梗塞を発症。まだ40前だったはず。4月に郷里の会津若松での凱旋公演も近かったし、8月の座間公演(カヴァと道化師)も決まってた。公演そのものは代役をたてて実施できたが、師はリハビリ生活に。ここから2,3年は辛かったでしょうね。歌を諦め、演出家になろうと決めて、再起。ここから猛勉強したんじゃないだろうか。2018年の「愛の妙薬」で演出家としてデビューした。それから「トスカ」「椿姫」を演出して今回の「カヴァ」と「アンジェリカ」を演出した。この秋には始めてじゃないだろうか、別団体の小さな公演(トスカ)の演出をやられる とチラシが回ってたな。
今回の公演に向けていろいろ指導を受けてる中でこれまでと違う師だなと思うところが多々あった。「この人本気で演出家になると決めたな。それも日本一の演出家に。」を思わせた。作品に対する勉強量が半端無かったように感じた。指導の中に出てくる「状況説明」がやたら詳しい。かつ自分の頭の中で整理されてて、しっかり絵が描けてる感じでした。演出として指導する相手を見て、言うべきことを言うべき言葉で伝えようとしてたな。できる人、できて当たり前のプロにはやたら濃い指導が、できない人(我々ですが)には今やれる範囲を見定めてだったな。その人の今一歩先を目指させる指導だったような。年齢の上下も無い。ただただ自分が考える「いい作品」を作るための手段としての演出・指導をやってた。
そして出演者全員に自分のマジックを掛けちゃうんです。付き合ってるうちに「古川イズム」が沁み込んでいて、時が来た時舞台上でそれが爆発し、人が変わる、作品自体が良くなっていくって言うのかな そんな変化を体感した。そういうことを可能にする人のようなんですよ。
それでいて基本的な所はしっかりおさえてて、軽くは処理しないんです。「イタリアオペラだからこことここは手抜いちゃいけない」という哲学を持ってます。 今回アンジェに出演した若い女性達にはリモートでイタリア語の発音指導もやったと後で聞きました。僕たちは日頃の練習中にイタリア語の発音を執拗に注意されてます。演技の面でもソリストさんが「こんな基本的な事私できてないんだ」が解るような指導をしてるんだと思います。前の「トスカ」の時はトスカ役の中村真紀さんが練習中に涙流してるのを見ました。今回ルチア役、修道院長役の2役をやった宇津木明香音さんは終了後の幕裏で泣き崩れてました。宇津木さんは練習の休憩時間も1人舞台の上で動きを復習してましたね。 高い期待、それをなんとか表現し、期待にこたえたい、答えることが自分の成長なんだと考えるようになって行くんですね。あの人にかかると。われわれ合唱団だってそうだったと思うんです。最後の1週間の全員の向上心が凄かったからね。
アンジェリカに出演した若い女性達が「ここでもう1回やってみたい」「次のオーディション受けに来ます」と感想してました。上手く成れそうな熱・指導がここにはあるのを実感したんでしょうね。
全て師の「情熱」、「夢」が原動力なのは間違いないです。
余談ですが、僕は近くのオペラ合唱団 2つ3つ 入って練習した経験があります。でも今は他はいいです。師の熱に着いていくだけでいっぱいです。座間の熱の中に浸ってるのが最高に楽しいんです。合唱団も「古川イズム」にやられてる仲間ですからね。
昔「蜷川幸雄」という有名な演出家がいました。 師 古川寛泰もそういうレベルの演出家になるような気がするのです。
プロは当然だけど、素人をも「本気」にさせる。手を抜かない!手を抜かさせない!
座間は本物のオペラ集団だ!!!
自分が言うとどうしても自画自賛に聞こえる、僕だって「この世界」を解ってて評価してるんじゃない、ましてやこれを読むだけで内側を覗く人には「そんなもんか」のはず。
だから僕のかってな評価でしかないと言われればその通りです。
そこから先は読んだ人がどう考えるかに「おまかせ」です。 でも僕は好きな師です。
どうやら、右肩も回復し、PCも明日は修理屋にと思っていたら、先ほど少し前に動き出すようになったので、ひとまず安心です。
公演から1週間、すっかり興奮が覚めました。良い感じで経験として落ち着きましたよ。
まとめ作業は一通り終わりです。大体書いたでしょう。まだ何かありそうなんですが、小さいからな。