カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

毎日をしあわせにする   継続するコツ

2023-04-08 | 読書

継続するコツ/坂口恭平著(祥伝社)

 いわゆるビジネス書のハウツー本とは少し様子が違う。おそらくなのだが、ハウツーものでこのようなテーマを捉えると、目標を定めて、それに対してどのような取り組みを日々実行していくのか、というような構成になっていくのではないか。
 ところがこの本では、そういう目的そのものがかなりあいまいだ。というか、無視さえしているかもしれない。自分がやりたいことを、その経過を楽しみながら、他人と比較することなく、飽きずにただやればいい、ということなのだ。ゆるいと言えばゆるいが、著者は実際にそういう心持で様々なことをずっと継続してやって来たという。多くの本もあらわしてきたし、絵も描き、作曲もする。それもほとんど毎日やっている。畑で野菜も作っているようだ。もちろん疲れもするが、無理をしているわけではない。無理をするのは他人から頼まれた仕事で、だからそういうことはしない。依頼されてする仕事は苦手なので、そもそもしないのである。そういうことをすると鬱になるともいう。そうでなく自由であれば、好きなこととして、これらのことを継続してこなすことができる。
 他人の評価もまるで気にしない。そういう妨害の声というものから、距離も置いている。才能という言葉も嫌っている。むしろ「才能」という言葉を持ち出す人というのは、何も知らない素人だから聞く必要もないという。続けられる才能のあるような人が、才能を持ち出して継続の妨害をすることは無いのだという。知らないから出る言葉が、才能なのだという。
 これで生活をしているのだけど、お金になるかどうかも、基本的にはあまり重要視していない。もちろん続けられているから、お金になるような仕事にも出来ている訳で、お子さんもおられて生活もあるので、定職にもつけないこともあって、好きなことを無理なく続けているのだろうと思われる。なんだか逆説的にも聞こえるかもしれないけれど、実際に著者は熊本に住みながら、文章を綴り、絵を描いて、それらを売って生活しているようだ。なんだか、ちょっと愉快な感じかもしれない。自慢話を書いているわけでもなく、それらの仕事が何かの賞を取るようなものでないことを卑下することも無く、淡々と日々を継続に充てている。やっていることは飽きないように、新しいことにチャレンジしながら、自分なりのやり方をコツコツと。そうしてそういう日々が、幸福のカギなのだ。
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