カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

残酷が好きな人にはお勧めです   ブルータル・ジャステス

2022-03-23 | 映画

ブルータル・ジャステス/S・クレイグ・ザラー監督

 行き過ぎた捜査を市民から通報で取り上げられ、ただでさえ警察の差別的な取り締まりに対して風当たりが強い中にあって、二人の警官が6週間の停職処分にされる。さらに無給だ。彼らにも事情があり、経済的に行き詰まってしまう。そもそも警察の仕事として極悪人を危険を顧みずに逮捕し続けているのに、警察内部の政治駆け引きに無頓着だったせいで、長く勤めていてもまったく給与は上がらず、むしろ減給騒動などを起こしていたせいで、治安の悪い地域に住まざるを得なくなっている。妻は病気で体が不自由だ。娘は治安の悪い環境で通学時にジュースをかけられたり(これは一種の脅迫めいたもの)のいたずらをされている。年頃の女の子に育っており、さらに危険である。そういう境遇になってみると、もともと警官にしてはリベラルだったのに、犯罪を繰り返す最下層の有色人種に対するいら立ちが募っていたということが言えるのかもしれない。本当に警官の仕事にも嫌気がさして来て、あるお金の動きそうな事件のネタを掴み、その金を横取りしようと考える。無理かもしれないが、同じく停職処分の相棒も誘うのだったが……。
 ギャグなのはわかるが、科白回しに独特のものがあって、意味深だがはっきりと真相をつかみきれないものがある。だんだんと慣れては来るが、会話としてはやっぱり不自然である。間が長すぎる。そういう単調ながら複数の出来事が錯綜し、しかし暴力描写が容赦ない。銃による相手への脅迫は、この世の地獄である。途中で変な人が出てきてお話と関係なさそうな雰囲気があるが、単なる残虐の仕掛けだったりする。この映画監督頭がおかしいんじゃないか、とも考えていたが、まあ、そういう作風なんだろう。多少おかしい方が、才能があると言われる世界だ。観ていて苦痛になりながらも、もう少し尺を短くできるだろう、と悪態をつきたくなりながらも、やっぱり引き込まれて観てしまった。なんという映画だろう。後味も悪いし、ぜんぜんいい映画でもないが、してやられたぜ。
 という訳で、観る人は選びまくる映画だが、これがたまらなく好きになる人がいるだろうこともよく分かる映画だ。いくら演技とはいえ、このようにみじめにいたぶられ、そうして虫けらのように殺される人にはなりたくない(いや虫けらさんごめんなさい)。銃世界に生きている人々がいることに、最大の嫌悪を覚える映画である。でも銃規制をしようという映画でもない。やるせないが、関連作品を観てみたくなる。これはたぶん病気である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする