カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

北欧は何か薄暗い   特捜部Qカルテ番号64

2022-03-17 | 映画

特捜部Qカルテ番号64/クリストファー・ボー監督

 北欧を舞台にしたミステリ作品として人気の高い小説を映画化したもの。そのシリーズの一作品である。
 過去の未解決の事件を追う部署がある。ある隠し部屋が見つかり、その部屋でミイラ化した三遺体が見つかる。今回の事件も古い事件との絡みがあるようで、すでに閉鎖された不良少女などを収容している施設が関連する事件らしい。昔のことで残された資料も乏しく、関係者の全貌がよく分からない。さらに今も続く人種差別を首謀する団体が存在しているらしく、その組織に関わる人間は、政治などでも重要なポストについている人間もいるようだ。捜査している人間関係も縦横に絡みながら、捜査は難航するのだった。
 なんとなく暗いトーンのようなものが作品に流れており、過去の少女の虐待も絡めて、何か尋常でない人間の残酷物語が展開される。捜査チームの中にも、人種問題もあるためか、何かギクシャクした亀裂が生じつつある。それぞれに考え方があるのだが、それが上手く理解されていないのだ。チームプレーとしてはあまりよくないが、しかし捜査はなんとなく核心に触れつつあると感じられる。邪悪な思想を持つ集団は現代の社会情勢と絡んで、差別的な偏見に満ちている。北欧の移民政策と保守的な政治の対立もあるようなのだ。もともとこのシリーズのメンバーには、多民族性が絡んでいるようで、それはヨーロッパの諸問題の政治的な正しさとも絡んでいるのだろう。誰もが自分の名前を出したくない環境にあって、どれだけ秘密裏に事件の解決を図ることができるのだろうか。
 実はこのシリーズの一作を、読んでないままにして本棚にあるのを発見した。映画で観たものとは違う一話であるようだが、なるほどこのような話を土台にしているのだな、と分かった。これから読むかどうかはともかく、こういう社会性と絡んだ事件を好むミステリ・ファンというのは世界中にいるのだろう(だから日本でも翻訳がある)。そういう意味では、世界的に関心の強いテーマ性を抱えているシリーズなのかもしれない。
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