カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

誰もが女性になれるわけではない

2022-03-08 | Science & nature

 男性より女性の方が長生きだというのは、多くの人が普通に認識している事実である。生命としてのデフォルト(完全体と言いますか……)は女性なので、当然と言えば当然だと思うが、女性の方が男性より短命だという国も無い訳ではない。比較的イスラムの国は男女差が小さく、女性が短い国もある。また最貧国の女性も寿命が短いが、これは出産時に亡くなるなど、医療的な問題もあると考えられているらしい。
 日本でも女性が長生きになったのは、どうも明治以降らしく、戦国時代とかまではよく知らないが、長く平和で争いの少なくなった江戸時代では、そんなに差が無かったようだし、地域によっては女性が短命のところも多かったらしい。
 原因として一番に考えられるのは、女性の方が水を扱うことが多かったからではないか、とも言われている。水道などが整い、水にカルキが加えられるようになって(飲んで安全な水が身の回りにある)、女性の寿命が延びだす傾向にあるからだ。これは日本に限らずで、先進各国にみられる傾向だ。ただし自殺の多い東欧では男性が勝手に短くなったともいわれている。自殺の多い日本や韓国はそうではないので、まあ、なんとなく怪しいが。
 女性の方がストレスに強いからだ、という言説があるが、ストレスの考え方には様々なものがあり、男性より痛みに耐える力が弱いという実験結果もあるので、むしろストレスには女性の方が弱いのではないか、とも考えられている。実際に社会生活において、男性よりはるかにストレスのかかる生活をしているのは女性の方だとされている。さらに言うと、日本(と韓国)の女性は他国よりストレスの重圧の度合いが高いというのは、ふつうに当たり前そうだ。それなのに日本の女性の寿命は、突出して長いのである。でも、そうであっても長生きだというのは、かえってスゴイことのように思うが。
 生き物の寿命を決める一番の要素は、活性酸素を分解する酵素のスーパーオキシド・ディスムターゼの活性レベルの高さだと言われている。ヒトは他の生物と比べて格段にこの酵素の活性レベルが高い。これの男女差がどうなのかは知らないが、働きに違いのある可能性はある。もともと女性は男性に比べると代謝の効率がいい。体のサイズが小さいことと、筋肉量が少ない(ただし男性は筋肉量が多い方が健康な人が多いので誤解なきよう)。少ないエネルギーで効率よく体を動かすことができることが影響しているのではないか、ともいわれている。犬なんかは大型犬より小型犬の方が比較的長生きの傾向がある。人間が犬を小型化していく過程で、何か長生きもともにできるようになる性質を伴ったのではないか、と考えられる。
 しかし僕は背が高くて大きくて長生きだった人も知っているし、サイズが個体の寿命を決めるというは乱暴かもしれない。個人差の大きな人間においては、もともとの遺伝の要素と、生活習慣の二つがどう絡むか、ということなのだろう。どうしたらいいのか、と考えるのも人間のサガではありそうだが、まあ勝手にして、結果を待つよりなさそうだ。
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