カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

嫉妬は恋を盛り上げる   イノセント

2021-03-29 | 映画

イノセント/ルキノ・ビスコンティ監督

 魅惑的な未亡人の力に抗することができない男が、まだ子供のない若妻に断って恋のままに旅立ってしまう。若妻は混乱し少し薬などを飲みすぎたところに、義弟の友人の謎めいた作家と恋に落ちたらしい。そうすると今度は、夫が若妻を惜しくなってしまい、またセックスをしに帰ってくる。ちょっとして若妻は妊娠しているらしいと知る。当然これは、自分の子ではないのだろう。男は二人の女の間を行ったり来たりして苦悩するのだった。
 まあ、貴族の恋の悩みを高貴に描いている作品なんだろうけど、基本的には馬鹿な色狂いである。わがままで魅惑的な未亡人は、男を手玉に取るようなこと自体を楽しむような女で、自分の思うようになる男だから、面白いから好きで付き合ってくれるのである。結婚がどうだとか、基本的にはそんなことは考えてはいないだろう。相手の家庭が困るとか、そういうこともご自分で何とかしたらいいじゃないか、という感じではないか。
 一方の若妻は、夫がこんなことになってしまって、かなりのショックを受けてしまう。お互いの家は裕福なようだから、戻っても生活に支障は無いのかもしれないが、さすがに裏切られたことによって、女としての自尊心そのものがおぼつかなくなってしまったのかもしれない。そういう苦悩の姿がまた官能的でもあり、すぐに男がついてしまった。そうすると夫は妻の官能に、再び目覚めるわけだ。関係のあっただろう男がシャワーを浴びている姿を見て、さらに燃えるものがある(ほとんどバカである。でもノーカットなので、映画的には見せ場である。妻の情事の相手のペニスをじっと見て、ライバル心を燃やしている)。そうして、妻と燃えるようなセックスをして、その後に妊娠を知らされるのである。見事な妻の復讐劇。というお話を楽しんでください。
 そのほかの楽しみとしては、まあ、ほとんどの調度品は本物だろうし、見事な貴族の生活が垣間見れます(ビスコンティは貴族の出身で、こういう世界を熟知している)。そうしていくら貴族だからって、下の関係性なんてものは、基本的には同じようなもんだよな、という感じなのか。いや、やっぱり高貴だと、なんだか違うよなあ、と思うのか。それはあなたの自由であります。
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