カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

正義を語るジャーナリズムはダメではないか   ニュースの真相

2018-03-27 | 映画

ニュースの真相/ジェームズ・ヴァンダービルト監督

 ブッシュ息子大統領の選挙の時に、ブッシュの空軍でのダメぶりをスキャンダルですっぱ抜いたジャーナリスト・テレビ番組があった。ところがその中の資料の一部は、完全に裏の取れていないものが含まれていて、ブッシュ側の反撃でそのことを取り上げられて逆に番組が窮地に立たされる様を描いている。
 日本にも似たような事件があるようにも感じたが、実話をもとに映画化されたものらしい。それなりにドラマとしてよくできた作品ではあると思うが、いかんせんもとになった話の正義感は、どうにもダメな話のように感じられたのも事実である。事実のために多少の間違いがあってもいいのだという姿勢は、どうも左翼の側にはよく見られる論法で、まったくどうにも救いがたい信念なのではあるまいか。
 スクープとしてブッシュ・ジュニアはダメ人間であるというのは、面白い題材なのかもしれない。そういう人間を大統領にしていいのか? そういう疑問や正義感というのは分からないではないが、結局選挙期間中にそういう情報を流すという事は、一種の政治的なテロと一緒である。過去がどうとかいうのは確かに許しがたい材料が混ざっているのかもしれないが、現在の大統領の能力というものとは、つまるところ別問題である。そういう極めて政治的な誹謗であるからこそ、当局は慎重に調査し、スキャンダルの出所を精査しているに過ぎないと思う。それがたとえこの物語のように、相手も怪しいし騙されているような場合であっても、やっぱり使ってしまうのはよくないのである。その代償が大きく、ジャーナリストとして失脚してしまったというのであるのは、きわめてまっとうな教訓という気がする。それでも繰り返して同じようなことを繰り返している日本のマスコミもいる訳だが、ダメなものはダメだという教訓を何も学んでいないに過ぎないのではないか。
 モノの観方の公平さを失うジャーナリズムは、要するに全部失墜して欲しいと改めて感じた映画だった。
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