四月は君の嘘/新城毅彦監督
原作漫画があるらしい。それも少年漫画。映画を観た印象では、少女マンガとばかり思っていた。
厳しいレッスンをしてくれた母の死後、ピアノが弾けなくなってしまった元天才ピアニストだったが、同級生のバイオリニストの出会いからいろいろと振り回されるうちに恋に落ち、またピアノに向き合うようになって行くのだった。しかしながら仲間内との三角関係などもあり、苦悩する。実はバイオリン弾きの彼女は重い病にかかっており、生死を懸けた手術をすることになるのだった。
嘘というのは最後の手紙の内容のことだろうと思われるが、これを嘘だと思う人はそんなにいないのではないかと思う。それにこういうことが無くても、二人の仲はどうなっていたかという事である。必ずしもハッピーエンドでは無いとも思われるが、ある意味ではハッピーそうな終わりを迎える。音楽映画でもあって、何か演奏的に凄いことが行われている雰囲気は楽しめる。
青春映画なので、いろいろ恋愛の葛藤の場面が続いて、学生時代は楽しそうだな、と思う。実際はなかなかこんな風にはならないだろうけど、ファンタジーだからそれでいいのである。少女マンガじゃないかと勝手に思っていたのはそういうことで、恋愛駆け引きはややわざとらしいにせよ、まあ、楽しいです。それにやっぱり悲しい話だな、とも思います。
ただ僕はこのような音楽的な話を観ていて少し疑問なのは、やっぱり天才的な人であっても、相当打ち込んで練習するものでは無いかと思うことだ。努力が足りないとまでは思わないが、何か尋常でない打ち込み方があるからこそ天才になれるのではないか。そういう描き方にもう少し工夫があっても良かったかな、と思った次第である。