カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

就活の若い人って大変だ   何者

2018-03-01 | 映画

何者/三浦大輔監督

 原作は朝井リョウの小説。僕は未読。いわゆる就活を巡る若者の葛藤を描いた作品。就活を通して自分が何者であるのかを問うという図式だったり、関係が出来上がったりこじれたりする。まさに大人の階段を急激に駆け上っていく若者たちという感じだった。
 特に僕らの時代と大きく違うのは、SNSなどのつながりや情報合戦という事かもしれない。テレビCMなどでしか知らなかった一流企業とは、すなわち自分たちが目指す将来を賭けたブランドであり、また名前や実態さえ感じていなかったさまざまな会社というのは、まさに自分たちを形作るかもしれない実態そのものなのかもしれないのだ。そこに売り込むべき自分は本当にいるのだろうか。また仲間たちはいかにしてこのレースを戦おうとしているのだろうか。
 僕のような地方から出ていない人間からすると、こういう世界は東京の若者だけのお話という気もしないでは無かったが、確かにそういうものがあったとしても、おかしな話では無い。むしろ今の若者のリアルというものが、このような世界観で語られているという事なのであろう。皆さん本当に大変である。田舎もそれなりに大変だけど、こういう風にすさんだ気分には、あんまりならないかもしれない。いや、若ければなるのかもしれないな。
 仲間内の恋愛や、精神的な裏切りや、そうしてやっぱり見栄のようなものがあって、それは映画的に観ていて分かりはするものの、だからといってSNSが、それほどショッキングなものなのかな、という疑問は少しあった。それはお話のスジとしての仕掛けでもあるのだけど、なんとなくそこまで成功していないようにも感じた。表面的には隠していても、その内面は外に出ている。そういうものはSNSの宿命かもしれないが、まあなんというか、当たり前の話である。若いころには問題かもしれないが、年取るとそんなことの方が当たり前なので、ショッキングに感じないという事なのだろうか。
 確かに思い出したが、若いころには噂で誰が誰に何を言ったのかという事を、執拗に気にするような人というのは確かにいた。巡り巡って伝わった話をうのみにして、怒り出すような奴もいたようだ。そういうことが、今はもっと頻繁にあるという事なのだろうか。もちろん大人社会でもそういう人はいるんだろうけど、だからといってそれがなんだという気もするので、もう忘れてしまっているのかもしれない。悪口なら目の前でなければ、いくらでも言ってもらえばいいのである。聞こえなければ平気である。まあ、それでは映画にならなかったのだろうけど。とにかく若いって大変なようです。
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