佐賀はお隣の県で、さらに職場は県境にあるので、感覚としては本当におなじみのところだ。職員もお隣から通っている人もいるし、境に住んでいるので佐賀で給油する人もいる(長崎県の事情もあるのですね)。文化的に似通っているところは多いし、佐賀弁だってかなり理解できる。基本的に九州には共通項が多いにせよ、特に長崎佐賀は本来的に関係が深いはずだ。
ところが近隣問題と言うのは厄介で、そういう馴染みがある反面、ガジン(佐賀人の略と思われる)のことをいろいろ悪く言う習慣もある。「佐賀んもんが通った後には、ぺんぺん草も生えん(生えない)」などという。佐賀商人というか気質というか、長崎に比べるとがめついところがあるせいだと言われる。そんな根拠の無い(あるのか厳密に知らない)悪口を言って楽しんでいるということはあるのかもしれない。差別意識というのは、そうやって自分を慰めている側面もあるから、自分のコンプレックスの裏返しでもあるとは思われる。要するに佐賀も長崎もあんまり変わらない田舎もんなんだが、それでも少しくらいは長崎の方が都会んもん、と思いたいような、そんな田舎もん根性なのだろうと思う。
佐賀にも自慢話があるのは当然だが、平野があるとか潟があるとか、まあ、それはそうだな、という感じがあるかもしれない。住みやすいというのは聞いたことがあるけど、実体としてはどうなのかというのもある。交通の要所であることから、ションベンタウンといわれることもある。通るけど立ち寄るのはトイレのため、という意味だ。
またブンカ都市であるという話もある。田んぼもたくさんあってのどかであって、そうして蚊がたくさん飛んでいる。「ブン蚊都市」というわけだ。
そうやって長崎人からさんざんバカにされた佐賀人が反論するのは、佐賀のほうが福岡に近いというのがある。買い物だって福岡でするし、何しろすぐについてしまうと自慢する。長崎からは遠いでしょ、という。これを言っている人は本気らしいけれど、しかしこれは悲しい自慢であることに気づいていないだけである。ますます長崎人はガジンを馬鹿にしてしまうわけだ。