消費税が上がるということで駆け込み消費の景気がいいらしい。まあ、織り込み済みだが、特に高額の商品や、日用品でも比較的耐久性のあるもののまとめ買いが顕著であるようだ。消費者の防衛策というか、賢い選択であるようにも報じられている場合がある。税金分を節約できているということは言えるので、考え方としてその理屈は分からないではない。百万の商品だったら時期の違いで三万円の違いがあるのだから、欲しいものであるのであれば、確かに急いだ方が得である。
既にエアコンのようなものも売れているという。暑い夏を見越して今のうちに買っておこうという想像力はさすがという気もする。
日本の商習慣には三月決算というのがあるから、消費税の増税が無くとも売り込みの攻勢をかけるのがふつうである。一年の微調整のためにも、年度末に売上高を伸ばしたいという思惑もあるので、値引きをしないでも値引きのように見える消費税の増税は強力な追い風となっているだろう。
さて、このような消費動向は予測されたものであるが、その後の消費動向も予測の範囲である。このような備えの心理の後には、当然の反動として4月以降の消費の冷え込みが、また報道されることになるだろう。まあ、遊びのようなものだから仕方ないが、消費税増税批判とともに景気の急激な冷え込みに対する不安をあおるものになるだろう。
商品の価格というのは消費意欲に大きく左右される。需要が減退すると、引き下げの圧力がかかるということだ。おそらくこれは多くの企業は織り込み済みで対策を練っているはずである。対応できなければ死活問題である。3月決済が良好だった可能性が高いので、少しは息をつけるというところもあるかもしれないが、そのため込んでいる利益や余裕分の事もあるので、当然ながら消費税の増税分を据え置くか、さらに値下げに踏み込むところが増える可能性が高い。日用品や定価販売の定着している商品はそのまま値段を上げるだろうけれど(これは当り前だ)、激しい消費の落ち込みにおびえる商品については、消費税の増税前の価格を下回るものも相当出てくるとも思われる。
人気商品を別にすると、いつもと変わらない需要があると思われるようなものについては、急激な消費減退の圧力によって、さらに価格を下げる可能性の高いものが多いのではないかと思う。駆け込み消費が激しいものほど、その圧力が強いということになるので、増税後の価格の方が、増税前より下がるという現象が頻発するだろう。どの程度という正確な判断は知らないが、増税後の買い物を計画する方が、結果的に賢い選択になる場合もそれなりに多くなるだろうと思われるのである。
要するに、欲しいものは自分なりの考えでやるしかないという当たり前のことである。そして多くの人々の動向と歩調を合わせることは、必ずしも得策でない場合がありそうだということのようだ。既に判断する時間は少ないが、あえて冷静な消費に徹することが、結局は自分を守ることになるのではないだろうか。