カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

これからも期待しないわけ

2011-07-19 | 時事

 決勝の延長やPK戦の時は犬の散歩をしていた。帰ってみると、家人が「勝ったね」と言った。勝って欲しいとは思っていたが、大差での敗北もあり得ると思っていたので驚きだった。が、正直忘れていた。シャワーを浴びて出てきたらやはりニュースが流れている。PKで勝った場面のようだ。深夜というか、かなりの早朝に試合が行われていたということもあって、大会を通じて快進撃のプレーのほとんどを見る機会は無かった。
 実をいうと大会前からかなり期待していたことは確かで、しかし予選は二位通過という時点で厳しい見かたをしていた。しかし結果は違っていた。ドイツでは国民が悲観的になっているのではないかと心配した。フェアプレーのチームに負けてしまって嘆きの鬱憤を晴らしにくいという心情のつらさも紹介されていた。日本がもっと汚いプレースタイルなら良かったのに…、というスウェーデンのことも気になった。欧州のアウェーでの戦いの圧力も、さらに過酷になるのではあるまいか。米国とブラジル戦が事実上の決勝戦だということも聞いていた。日本が勝ちあがることで、米国の事実上の優勝が確実視されているのだろうと思っていた。もちろん誰もが描くシナリオなのだろうが。
 女子サッカーで日本はなかなかやるのではないかという話は、知らなかったわけではない。しかしながら、日本のサッカーというものを熱心に見たことは無い。だいぶ前だったと思うが、アジアではまだ中国が強かったという印象が強い。ワールドカップでも先に活躍していたのではなかったか。日本は後塵を拝していたが、しかし力が無いわけではないという話は聞いていた。肉体的な力負けをしてしまうが、プレースタイルは高度だという。他の競技でもよく聞かれることである。
 今回の快進撃は、やはり奇跡的とも思われる。日本は徐々に女子サッカーも盛んになっているとは言われているようだが、実際にサッカーをする女子というのは、島原のママさんサッカーしか知らない。後は恐らく静岡あたりも盛んなのだろうけど。そうした底辺からの厚みのあるサッカー育成は、まだ道半ばなのではあるまいか。日本女性だからスポーツには向かないということは物理的にあり得ない話だが、女性がスポーツの世界に進出するという見方はいまだにあるような気がする。だからまた、驚きをもって捉えられるということもあるのだろう。ましてや肉体的に接触プレーの多いサッカーのような競技において日本女性が活躍するということにも、後進的な偏見がありそうな気がする。
 これからしばらくはこの騒ぎは続くことだろうし、いろいろな分析もなされていくことだろう。競技人口が多くてもなかなか開花しない競技もあることだし、お家芸と言われるスポーツが、いつまでも栄華を保てるというわけでもない。しかし、伝統的に強さが求められる他国に混ざって、日本が勝ちえたこの栄誉がどのような歴史の転換点となるのかは興味深いところである。それもひとえに、これからも勝ち続けられるのかということでもあるし、本当に競技人口が増えるのかということでもあろう。
 報道で見る限り、日本チームは実に伸び伸びと朗らかであった。絶対的でない期待の中、何も失うものが無いという日の丸の背負い方が、却ってよかったような気がしないではない。むしろ勝つことが至上命題で無いままでいられることの方が、これからも良い結果が生まれやすいのではあるまいか。すでにそれは叶わない期待に過ぎないのだろうけど。
コメント (4)
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