早朝から杏月ちゃんに耳をかまれて起こされる。おきる時間を覚えているのだろうか。犬の体内時計はえらいものだなあ、と思いそうになったが、よく考えてみると毎日決められた時間に起こされているわけではない。結局杏月ちゃんが気まぐれなだけではないだろうか。まあ、早くおきて欲しいという欲求が強すぎるのだろう。自分だけ目覚めてもつまらないから起きてくれろ、ということなんだろう。昼は隙あらば寝ているくせにずるいと思う。
学校に行って球技大会に参加する。今年から副会長に就任したO塚さん大活躍である。司会しながら挨拶して進行もして汗びっしょりになっていた。時々一所懸命になりすぎて声がひっくり返ったりして、臨場感抜群で見ていて面白かった。これも一種のスポーツなんだろうか。普通に消費カロリーが高いということなのだろうか。いや、単に体育館が暑かったということだろう。
僕も試合に出たが、作戦として逃げるに徹し切れなかった。狙われると当てられる。なんどか偶然キャッチできたけれど、あのスピードにまともに対応できる体力ではないことがよく分かった。それでも一瞬の迷いが体をボールをとりにいかせるモードに変えてしまう。そうなると当然のように取れない。無理なのに反応しようとする体との相反する動きに戸惑ってしまった。僕の体の動きとしては、ハンドボール出身なので、キャッチにいこうとするのが当然なのである。しかし実際には今となっては同じ動きなどできない。ましてやドッチボールであって勝手が違うのである。「はやく分れよ自分の体」と言い聞かせながら、ひたすらボールから逃げる努力をした。
それでもフェイントで相手に数回ぶつけることができて気分爽快。僕が本気で投げると思っていないお父さんがいて、パスを出しそうな人にインターセプトを狙おうとしている。そのまま速く投げると当然取れない。毎回同じ手に引っかかるので、学習能力が足りないのではないかと思ったが、まあ、儲けである。手の握力が無くなって痛くなってもまた投げたかった。
結果的に勝ち進んで(といっても二試合)、決勝へ。試合慣れしてきて最後は貫録勝ちした。お父さんと先生とお互いハイタッチしあって嬉しかった。外国の習慣は盛り上がるなあ、と思った。
家に帰ると昨夜見た「UDON」に影響されたのか、見事な讃岐うどん。煮干の風味の効いただし汁に、おろし生姜とたっぷりの葱がのっている。熱々のコシのある麺をすすると、長くてとても食べきれない。ズルズルと麺との格闘を楽しみながら汗をかく。結局後悔覚悟のお代わりまでしてしまって大満足だった。
うどんには蕎麦のような品格が無くてすばらしい。それでいて確かな充実感が新たな生命力を補給してくれる。最近のうどん好きは知性があるけれど、そういうものをいっとき忘れさせるパワーこそ、うどんの醍醐味ではないだろうか。
腹いっぱいになると猛烈な睡魔に襲われ爆睡。この世の贅沢を満喫した休日の午後なのであった。