007・カジノ・ロワイヤル/マーティン・キャンベル監督
いろいろな意味で斬新な感じがする。もちろんそれは、ジェームス・ボンドなのである。青い目で金髪。バイオレンスも血なまぐさい。翌日になっても顔に傷跡が残っているようなリアル表現もある。強がりだって切羽詰っている。ダンディのようで、まだまだ青く、女にのめりこむ純情さも見られる。しかししかし、実にかっこいい。僕のボンド像は、いっぺんにダニエル・クレイグ一色になってしまった。少なくともこんなに共感の持てるダメ男の似合う二枚目も少ないのではないか。
賛否あるのはシリーズものの常で、以前との比較でイメージがどうのという意見が分かれるのは仕方のないことだ。もちろんそういう見方をして面白いということがなによりである。僕は水野晴郎のように熱心な007ファンなのではないので、特に思い入れが深いということではないけれど、子供の頃から親しんだ007という思い入れぐらいは持っているようだ。ちなみに水野はゼロゼロナナといっていたような記憶があるが、記憶違いかもしれない。もしそうなら、ファンとしてダブルオーセブンといって欲しい。さらに「銀河鉄道999」も本来はトリプルナインというべきではないだろうか。
この映画の構成がまた実に凝っている。始まりからのスピード感で一気に度肝を抜いて、中だるみのような甘いロマンスから終盤への人間成長まで、何本かの映画を観たようなまとまりのなさまで感じさせるが、いや、それでも作品としてよくできている。ジェームス・ボンドが作られていくというか、誕生するにはこれだけの最低のドラマ無しではありえないのだろうと思うのである。終わってからのカタルシスで、新たな時代が来たことを観客は悟ることになる。
以前は一級のアクション映画の王道であったが、類似作が次々に作られ、ハリウッドのど派手路線に影が薄くなりつつあったようにも思う。近年は少し盛り返しては来たものの、なんとなくB級感の匂いのするシリーズという感じも漂いだし始めていた。まじめに観れば観るだけ笑いがこみ上げてくる。まあ、007だからな、というか、現代人が見るとこうなってしまうのは仕方のないことなのかもしれない。そういう諦めの気持ちさえ芽生えだしていたのではないだろうか。それがどうだというのか。今回の堂々の表舞台に躍り出た質感の確かさは、シリーズ最高傑作の誕生であることの確信へと変わったのである。
いろいろな意味で斬新な感じがする。もちろんそれは、ジェームス・ボンドなのである。青い目で金髪。バイオレンスも血なまぐさい。翌日になっても顔に傷跡が残っているようなリアル表現もある。強がりだって切羽詰っている。ダンディのようで、まだまだ青く、女にのめりこむ純情さも見られる。しかししかし、実にかっこいい。僕のボンド像は、いっぺんにダニエル・クレイグ一色になってしまった。少なくともこんなに共感の持てるダメ男の似合う二枚目も少ないのではないか。
賛否あるのはシリーズものの常で、以前との比較でイメージがどうのという意見が分かれるのは仕方のないことだ。もちろんそういう見方をして面白いということがなによりである。僕は水野晴郎のように熱心な007ファンなのではないので、特に思い入れが深いということではないけれど、子供の頃から親しんだ007という思い入れぐらいは持っているようだ。ちなみに水野はゼロゼロナナといっていたような記憶があるが、記憶違いかもしれない。もしそうなら、ファンとしてダブルオーセブンといって欲しい。さらに「銀河鉄道999」も本来はトリプルナインというべきではないだろうか。
この映画の構成がまた実に凝っている。始まりからのスピード感で一気に度肝を抜いて、中だるみのような甘いロマンスから終盤への人間成長まで、何本かの映画を観たようなまとまりのなさまで感じさせるが、いや、それでも作品としてよくできている。ジェームス・ボンドが作られていくというか、誕生するにはこれだけの最低のドラマ無しではありえないのだろうと思うのである。終わってからのカタルシスで、新たな時代が来たことを観客は悟ることになる。
以前は一級のアクション映画の王道であったが、類似作が次々に作られ、ハリウッドのど派手路線に影が薄くなりつつあったようにも思う。近年は少し盛り返しては来たものの、なんとなくB級感の匂いのするシリーズという感じも漂いだし始めていた。まじめに観れば観るだけ笑いがこみ上げてくる。まあ、007だからな、というか、現代人が見るとこうなってしまうのは仕方のないことなのかもしれない。そういう諦めの気持ちさえ芽生えだしていたのではないだろうか。それがどうだというのか。今回の堂々の表舞台に躍り出た質感の確かさは、シリーズ最高傑作の誕生であることの確信へと変わったのである。