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西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

ベア・ファミリー レコード物語 2

2013年10月06日 | カントリー&ウェスタンの本
 
Bear Family Records 物語 (2)

前回からの続き( この辺のところに創立者 Richard Weize 氏の真髄があるようです )、()カッコで私の補足を入れました・・・・・・・

Walter Fuchs: なぜこれ( メジャーレコード会社から音源をリースして出したレコード制作販売業 )が成功したとお思いですか?

Richard Weize: たくさんの重要な要因があると思います。例えば、Bear Family Records はメジャーレコード会社から出された1950,60年代のカントリー、ロックンロール、ロカビリーミュージックの音源を お金を出して借り受けてレコードを出した初めてのコレクター向けのレコードレーベルだと信じています。 長い間廃盤になっていたレコード、あるいはレコーディングされたものの一度も発売されなかったものを レコードコレクターが持っているような45回転シングル盤や78回転SPレコードからダビングして手に入れる-というのではなくて 良質な状態で手に入れる ということには何かしら新鮮味がありました。 人々は良好な音質、盤質と私のレコード制作への労力、努力、注意深い編集に対して満足してくれました。
コレクターといわれる人達もジャケットに記した豊富なレコーディング情報を評価してくれたと思っています。経験を積むにつれてよりよい作品にすることができました。

失なわれた音源テープや情報について私たちがメジャーレコード会社とやりとりしたことについては皆さんには信じてもらえないようなことがあります。しかし、粘り強く交渉すればするほど確かな素材が得られましたし、時にはレコードを出せるようになるまで2、3年かかったなんてこともありました( あくまでも正確な情報を載せたいという粘りでしょうね )。 例えば、所有者から音源テープが見つけられない-と返答があった場合に 初めは実際に持っていないのだろうと信じていました。それならと、音源テープがないというその曲が以前他の国でライセンスをもらって初めて出されていないかどうか当ってみたりしました。こんなことはホントに簡単なことではないんですよ。

Marvin Rainwater ( 残念ながら最近亡くなりました )のある音源を要請したときに ”音源の所持なし ”との答えが返ってきました。 ところが、会社のある人物を介してみると確かに所持していることが判って遂には手に入れることが出来た-なんてことがあったんです。ある時などはあとで彼らのファイルシステムを知って驚いたんですが、”Rainwater ”という項目のファイルをちょっと見て調べなきゃならない-というだけでマスターテープの存在を常に否定する人がいることに気づいたんです、しかもその事に対してその人は全く意に介していないんですから。
( ”ったくしょうがねえなぁ ” というニュアンスでしょうか・・・・・smile、 担当者が探すのを面倒くさがって適当に ”ない ” と返答したというようなニュアンスでしょうか? ここら辺は大雑把なアメリカ人と厳密なドイツ人の気質の違いのやりとりみたいで笑えるところかなあ・・・・smile )

私はヨーロッパにある他のコレクターレーベルでは音源テープがないとわかると早くからあきらめてしまっていることを知っています、でも私は違う。私の感覚では第一に自分自身が満足するためにレコードを出すことであって、二番目には自分が好きなものだけを出す-そして同時に、レコードが売れようが売れまいが気にしない製作方針にあります。言い換えれば 私は第一級のものを作りたいし、それを市場に出したいだけなんですよ。幸いなことにほとんどのレコードが十分に採算がとれましたし、そうでなかったのは少数です。それ以外のものにも利点がありました。

私は今まで出した中で最高のLPレコードのひとつは Anita Carter( BFX-15004 ) のアルバムだと思っています、しかしそれは商業的にはずっとうまく行っていません。私達が出しているレコードのもう一つの大切な点は、レコードをもっと魅力的にするためにジャケット表紙にたくさんのお金をかける努力をしたことです。とてもいい写真なのに状態がよくなくて 他にこれといった良い写真が見つけられない時はお金をかけてその良い写真を修復するようにします。

私の一番むちゃな制作計画( crazy project と表現 )は14枚のLPレコードと小冊子からなる the Lefty Frizzell box set でした。それを作るのに調査、写真修復、フルカラーのジャケットなどに大変な資金を費やしました。 恐らく将来的にみても絶対採算が採れないでしょう( Richard Weize は別の記事で6000セット売れないと元がとれない、30年はかかる・・・・と吐露しています、CD時代になってるからなおさらね )。しかし、Lefty Frizzell はポピュラーミュージックの中ではもっとも人々( 私はどっちかというと同業のミュージシャンに? と思うのですが・・・・)に影響を与えた歌手ですからやる必要があったのです。
それに、Charlie Records( イギリスのコレクターレーベル ) がリリースした Sun-box set に載っている Colin Escott のような人達から ”Box-set 物が評価されると新しいスタンダードとして確立されるよ ” といったコメントを貰うのはいい気分なんです。  でも一方で次のようなことも認めない訳にはいきません。 ロイ・オービソンのレコードリリースの例なんですが、よい仕事だとはいえませんでした。 ロイ・オービソンのRCAレコードでのレコーディングが全部で6曲であると私に教えてくれたいわゆる専門家という人の言を信じて急いでリリースしたんですが、後で7曲目のレコーディングがあることが判ったのです。そこで後になって私達はその曲をコンピレーションレコード( 色々な歌手が入っているオムニバスレコードのこと ) に追加したんです、それしか方法がありませんでした( こんなところに 完璧を期したかったのにミスして悔しいといったドイツ魂がうかがえるところかなぁ )。

私はオリジナルLPをそのままというんじゃなくて それに追加トラックを加えて出したいと考えていました。しかし、そんなことをしたらファーストアルバム(オリジナル)を買った全てのロイ・オービソン ファンはだまされた-と感じるでしょうね、なぜって たった数曲の追加曲を入手したいがために再度レコードを買うはめになるからです。私は思うんですが、コレクターの人達というのは長年だまされ続けてきました、たった1、2曲のためにLPを買わなければならないのですからね。メジャーレコード会社は手をかえ品を替えして同じ曲を何度も何度も出していましたからね。そんな事情を知っているもんですから 1970年代終わりに私達が出した Bill Haley-Box の理由が次のような経緯にあるというわけです・・・・・すなわち、ドイツMCAレコードは14枚のビル・ヘイリーのLPを発売していて、約200曲含まれているんですが、ビルがMCAで行なった102回のレコーディングでの丁度70曲を手に入れるためには14枚全部のLPを買わなければならなかったのです。そこで私達はコレクターたちがビル・ヘイリーのMCA録音全曲を5枚のLPにまとめて一挙に入手できるようにひとまとめの BOX-set にして出したというわけです。

もうひとつ忘れてはいけないこと、販売の助けにもなったことなんですが、アルバム群に心よくライナーノートを書いてくれた Charles Wolfe、 Rich Kienzle 、Bob Allan、 Colin Escott、 Hank Davis、 Ronnie Pugh、 Martin Hawkins といった人達の存在です・・・・・全ての専門家達が我々の企画にたくさんの時間をかけてくれましたので感謝の言葉もありません。また、Diethold Leu、 Don Roy、 John Beecher、 Bob Pinson 、Manfred Guenther、 Josef Fimpel 等いつも協力してくれたコレクター達そして書く時に情報を手助けしてくれ、中には深夜にもかかわらず電話で情報を知らせてくれたような人もいて 多くの人達に感謝してもししたりないくらいです・・・・・・以下次回に続く

<私のひとこと>
ベアファミリーの中心になるスタッフ写真を見るとみんなヒッピーみたいな格好してますが どうしてどうして大変な愛好家たちのようです。カタログには各スタッフ紹介のほか アメリカの ”ワシントンポスト ”や ”テネシアン ”といった新聞が Bear Family Records のことを採りあげた記事も載っています。 そこにも Richards Weize 氏のコメントが載っていて忌憚のない意見を述べていますので別の機会に訳したいと思っています。
トップ写真のレコードは私が初めて買ったBear Family のレコード「 Rex Allen Sings Boney Kneed Hairy Legged Cowboy Songs 」で以前載せています

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