西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

懐かしのカントリー & ウェスタン 81 [ トミー・ジャクソン (1) ]

2009年08月30日 | ブルーグラス音楽
Tommy Jackson (1) 
日本盤 Dot Records SJET-8353 Greatest Bluegrass Hits / Tommy Jackson

(1)Gotta Travel On (2)Blue Moon Of Kentucky (ケンタッキーの青い月) (3)Earl's Breakdown (4)Cabin On The Hills(丘の小屋) (5)Salty Dog Blues (6)In The Pines (7)Great Speckled Bird (8)Footprints In The Snow(雪の足跡) (9)Old Joe Clark (10)Uncle Pen (11)Maple On The Hill (12)I Wonder How The Old Folks Are At Home


トミー・ジャクソン(1926~1979年 アラバマ州出身)といえば、往年の名カントリーフィドラー( Country style のバイオリン奏者)です。沢山のカントリー歌手のバンドメンバーとして、あるいはセッションマンとして演奏し Country にも Bluegrass にも強いプレイヤーという印象です。ウェスタン・スウィングの王者ボブ・ウィルスが晩年既に自分のバンド The Texas Playboys を持っていない時期にレコーディングした時にも呼ばれて参加して Western swing style の fiddle を披露しているくらいですからもう何でもござれの一流プレイヤーでした。
このレコードは私が買ったブルーグラスの日本盤レコードの中では古い方でとても気に入ってずいぶん聴き込んだものでした。 ビル・モンローをはじめ名前の通っているブルーグラス一派とはすこし趣きの違うどこかほのぼのとした雰囲気のサウンドです・・・・・ジャケットには Tommy Jackson と謳ってありますが トミーはまったくバンドのメンバーに溶け込む形でことさらトミーのフィドル演奏を強調したようなものではありませんでした・・・・・ごく普通の Bluegrass sound です。

さて内容ですが、(1)Gotta Travel On はアップテンポで軽快にスタートし、(2)Blue Moon Of Kentucky は一転してワルツ調の佳曲ですが 途中でややアップテンポになります。本当のところこのグループには初めから終わりまでワルツ調で通して欲しかった・・・・・この曲で思うのはなぜ判で押したようにどのグループもどのグループも後半をアップテンポにしてしまうのでしょう・・・・・ということです。かつてエルビス・プレスリーが後半をアップテンポにして唄って以来まるで慣例みたいになってしまったんでしょうが-私はせっかくの叙情ワルツ曲が台無しに・・・・・と思うんですけどね・・・・”Blue moon of Kentucky~keep on shining  Shine on the one that's gone and proved untrue~”。

(3)Earl's Breakdown ”5弦バンジョーの神様”アール・スクラッグス作のアップテンポのインストルメンタル曲。バンジョーだけでなくてドーブローギター、フィドル、マンドリン等ブルーグラスバンドの各パートの奏者の腕のみせどころ。(4)Cabin On The Hill はいかにもブルーグラス的な郷愁の唄。dobro guitar のトレモロが大きくフューチャーされて輪唱形式のボーカルがマウンテンムード満点です。
(5)Salty dog blues もブルーグラスではよく歌われてきた唄です、salty dog とは”さかりのついた犬”という意味らしいのですが・・・・ちょっときわどい意味のある歌なのかな?  (6)In The Pines は古謡で、トレモロを多用したドーブローギターと途中で入るトミーのフィドルもきれいで単純なメロディの繰り返しだけの唄を盛り上げています。
(7)Great Speckled Bird は Country Legend のひとりだったロイ・エイカフ(1903~1992年 テネシー州出身)の代表的ヒット曲をこれもトレモロ重視のドーブローギターをメインに歌います。Dobro Guitar の効果というのはやはりスローな曲に哀愁を添える楽器としては最高ですね。ドペラ兄弟が工夫して開発したというギターの胴体に共鳴盤をつけて弦高を高くして鉄製のバーを弦の上で滑らせながら弾くスティールギターに類似の楽器・・・・・。
(8)Footprints In The Snow (雪の足跡)これはブルーグラス専門の歌とばかり思っていましたがけっこう古い唄で、古いカントリー歌手なども歌っていたようです。雪が降る季節になるたびに雪の足跡を残して死んだ彼女を偲び・・・・そしていつの日か自分も彼女に逢いに行く日が来るだろう・・・と歌うロマンチックな歌。

(9)Old Joe Clark ブルーグラスでは各楽器の早弾きの腕前披露のような曲になっています。(10)Uncle Pen はブルーグラスの父ビル・モンロー作でビルが若い頃に音楽的影響を受けた母方のペンおじさんを偲んだ曲で、フィドルをフューチャーして歌われる曲です。ビル・モンローが好きだったカントリー歌手の故ポーター・ワゴナーも歌っていました。
(11)Maple On The Hill この曲も古くから沢山のブルーグラスグループに採り上げられる曲。(12)I Wonder How The Old Folks Are At Home 代表的な故郷を偲ぶ唄。

このアルバムにはトミー・ジャクソン以外は明確なグループ名のクレジットもメンバー名も有りませんが、解説を書かれている斉藤 徹さんによるとブルーグラス界では地味だったけれどしっかりした楽器テクニックと素晴らしいボーカルスタイルを持っていた The Dixie Gentlemen (ルアル・ヤーブローの banjo、ハーシャル・サイズモアの flat-mandolin ほか)ではないか・・・・・と述べられています。 

まあ聴いていてブルーグラスの古典が堪能できるアルバムにはなっています・・・・・・特にボーカルが素晴らしい!!  ところで 私はいつも思っていることがあるのですが、ブルーグラスの人達はどんなに素晴らしい詞を持った曲でも、メロディラインをもった曲でもアップテンポにして歌ってしまって感情を込めて歌う-ということが少ないように思っています。 その辺のところが5~6曲も聴けばあとは同じ-という感覚になる理由です。 だからブルーグラスは楽器を演奏して楽しむ立場の人にはもってこいの音楽なんでしょう・・・・・ただ、聴く側の立場に立った時に 似たようなグループ、似たようなサウンド-では真剣に聴くだけの唄の上手さ(やはりこれが大事)とか,サウンドだけではなくてそのグループの Visual 面の雰囲気とかが要求されるのではないかと思います。

トミー・ジャクソンのフィドルは今の時代からみたらスーパーテクニックとは云えないかもしれないですが、歌手の歌を引き立てる裏方に徹した弾き方だったと思います。私は自分の楽しみのためにフィドルを練習しているんですがトミー・ジャクソンの正統派の弾き方は自分が信じるところの Country Style なのでとても参考になるものです。
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つれづれに ( 悪銭身につく・・・・アハッ! )

2009年08月29日 | つれづれに
8月23日(日曜日)体調が悪いのを押して昼から郵便局に用事で博多駅に行く。用事を済ませて近くの Book Off に行く・・・・・司馬遼太郎の 「 街道をゆく 」のビデオが16巻並んでいた、各巻150円だったので日本篇だけを選んで10巻買った。「 街道をゆく 」 は海外篇以外は読んだのでこのビデオで再確認してみたいと思う。

 体調が悪いのにさらに駅前の地下パチンコ店に行き久し振りに「 海物語 」 台に座って 頭がボーッとしながらもしばしパチンコに熱中・・・・・”額に汗して働く者は救われる ”・・・・なのか2万円勝ってしまった。 その後フラフラになりながらもすぐ近くのヨドバシカメラに行ってDVDコーナーを覗いてみた・・・・・何と! 西部劇の新作 「 アパルーサの決闘 」(2008年製作)と昔 見たカーク・ダグラスの西部劇 「 ガン ファイター 」(1961年製作)が出ているではないか !!・・・・このことで体調がすこし回復・・・・パチンコの勝ちなんて Easy come easy go ( 悪銭身につかず )だ-と考えてこの2巻で8000円のDVDを買って有意義に使ってしまえ・・・・と購入、DOUTOR でコーヒーを飲んで帰る。 電車の中 重い「 街道をゆく 」のビデオ袋と軽い2巻の西部劇DVDを抱えて ”なんだか得した気分 -” で すこし身体が楽になってニンマリの一日だった。   

ところで、2007年製作の評判の西部劇「 3:10 決断の時 」( 昔の西部劇 「 決断の3時10分 」 のリメイク ) が博多では公開の予定がないらしくて何ともやりきれない気持ちだ・・・・・あの広い東京でさえたった1館しか公開がないというし、たまに来る新作西部劇がいつも不入りの状況だから今回も仕方ないのかなあ。 若い人達 ( 特に男性 ) がほとんど西部劇に興味を示さなくなってしまっているということなんでしょうか・・・・・このままでは相変わらず西部劇の前途は暗いかなあ・・・・若い人に見て欲しい。  
(追加)新しい情報によると9/5(土)~9/6(日)にキャナルシティの映画館で公開されるもよう(喜)
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本 -15- (大西部劇)

2009年08月17日 | 西部劇の本
大西部劇   児玉数夫 編  ノーベル書房  1992年 発刊

俳優の山城新伍さんが8月12日に亡くなった。山城さんといえば私のような団塊の世代(私は昭和24年生まれ)にとっては子供の頃に白黒テレビで見た「白馬童子」「風小僧」の記憶があるので ”ああ、山城さんが亡くなったんだ・・・”と感無量でした。しかも老人ホームで孤独にこの世を去られた・・・・とのこと、昭和13年生まれで70才だったそうだけど 今時の70才といえばとても老け込むような年齢ではないし、現役バリバリで元気な人達がいっぱいいらっしゃるのに・・・・・糖尿病が良くなかったんでしょうか。
”木の葉が騒ぐ風が吹く~おいらは風の子風小僧~ヒューヒューヒューヒュー~風を呼ぶんだ正義の風を~それゆけ、やれゆけ、どんとゆけ~” だったと思いますが「風小僧」の主題歌を今でも覚えているくらいです・・・・・。  
糖尿病は深く静かに進行するから現代人にとって自己管理の大切さを思います。

ところで、山城さんは映画全般に詳しい人だと感じていました。 特に西部劇にはとても薀蓄(ウンチク)のある方で 一家言持っておられる方だなあと思いましたが、それは1992(平成4年)に映画評論家の児玉数夫さんが出された「大西部劇」という大部の写真集の中で児玉さんと山城さんの西部劇に関する対談が載っているのを見た時でした。山城さんの話はそれはもうたいへんな知識ぶりです。以下は本の目次・・・・・・

ウェスタン・ワイド・シーン・・・西部劇のあるシーンを拡大した写真5枚
ウェスタン・ヒーロー・・・男優ごとの西部劇映画の1シーンを89枚の写真で紹介 
ウェスタン・ヒロイン・・・同じく女優ごとの1シーンを45枚の写真で紹介 

対談・山城新伍 / 児玉数夫 素晴らしき哉・西部劇・・・2人のとても面白い対談

サイレント・ウェスタン・・・沢山の写真と広告で無声映画時代の西部劇を解説

トーキー・ウェスタン・・・以下の各映画会社ごとにその成り立ち、盛衰及びどんな西部劇があったかを豊富なスチール写真、ポスター等を載せて見せてくれるもの。あくまでも写真集に力点を置いているので大きくて鮮明な西部劇のシーン写真とポスターで想像力をかき立てられるものになっています。なお、この本に載っている写真は全て白黒写真です。

(1)ユニヴァーサル (2)20世紀フォックス (3)パラマウント (4)ユナイテッド・アーティスト (5)メトロ・ゴールドウィン・メイヤー (6)ワーナー・ブラザーズ (7)コロムビア (8)RKO (9)アライド・アーティスツ (10)リパブリック (11)独立プロダクション (12)ヨーロッパ&その他諸国

さて、対談では2人の会話が弾んで いたるところに(笑)の文字が出てきます。山城さんのとんち、機転の効く話し振りに読んでいて思わず笑ってしまうところが沢山です。ここでは山城新伍さんの映画に対する薀蓄みたいなところがでている幾つかを抜粋しておきます・・・・・
「ぼくは人間臭いドラマがすきなんですね。だからSFXやミュージカルが嫌いなんですよ、そういう映画では役者が芝居させてもらえないからイヤなんですよ(役者の立場で見るから)。」

「一番影響うけたのは”荒野の決闘”ですね、ジョン・フォードのリリシズムみたいなものが大好きで、西部劇がヤミつきになったんですよ」

「”ソルジャー・ブルー”とか”レッド・ムーン”あたりからもう西部劇は酔えないですね。西部劇に姿を変えて、やれベトナム戦争だとかいわれてしまうと困っちゃうんだね。時代劇でもそうで、現代に通じるもの、メッセージがなくちゃならんとか・・・・そうじゃなくて、見る人がいかに心地よく酔えるか、というような作品を作ることが勝負だと思うんですよ・・・」

「クーパーの”遠い太鼓”というのがありますが、フロリダのセミノール・インディアンがでてくるんですね。そこでフロリダにセミノール・インディアンなんかが居たのかと思ってね、ついインディアンの分布図なんかを調べるんです。」

「”リオ・グランデの砦”はジョン・フォードの作品のなかでは超Aクラスの作品ではないんだけれど、何故西部劇が好きになったのかという原点のようなシーンがこの中にあるんですね。つまり、男の本能を語る有名なセリフがあるんですよ。それはね、”男は戦わないときは、一本のウィスキーをとり合いして大ゲンカをするくせに、さて戦場に居るときは、最後の水の一滴をわかち合いしてみんなで飲む、それが戦友だ”というわけですね。このセリフが男の原点なんですね。これでいっぺんに西部劇が好きになるんですよ。これがジョン・フォードの精神なんですね・・・・」

「ぼくはもともと西部劇とは縁があるんですよ。デビューの”白馬童子”は”ローン・レンジャー”のパクリなんですよ。徹底してローン・レンジャーで行こうということだったんですね。ぼくは馬に乗るのはうまかったですよ。馬の上手なヤツがいるということで主役に抜擢されたんですよ」

「映画に関しての記憶を養う一つの方法として、ぼくは、あの”誰がために鐘が鳴る”を利用するんです。あれの出演者は各国から集められてますからややこしいんですよ。ゲイリイ・クーパー、イングリッド・バーグマン、エイキム・タミロフ、ウラジミル・ソコロフ、アルツール・デ・コルトバ、ジョゼフ・カレイヤア、カテーナ・パキシノー、こういう名前がね、すらすらと出てくる間は記憶は大丈夫だということなんですよ。脳の訓練になりますね。映画をそういう体のコントロールまで持って行く(笑)、それがたのしいですね」

「ご存知というのが大事なんですね。つまり、御存知という役者の顔が出てきてくれるから、ジャック・エラムみたいな顔が出てくれるからホッとするんですよ。」・・・・・・・・・・などなど楽しい話は尽きません。

山城さんは話し上手で機転が利いて楽しい人だったので僕は好きでした。山城さんの死を知って真っ先にこの対談が浮かんできました・・・・・すこしだけでも披露したくて(懐)。

なおこの「大西部劇」という本は箱入りの28000円もする高価な本で、知ってはいてもなかなか買えない値段で何年かして古本屋さんに9000円で売っていたのを目をつぶって買いました(それでも高いよなあ)・・・・・でもそれだけの価値有りと感じたものです
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エディ・ノック ジミー・ロジャースを歌う

2009年08月15日 | ジミー・ロジャースを歌う
Eddie Noack
 米国盤 Wide World Records WWS-2001 Remembering Jimmie Rodgers  by Eddie Noack
(1)Waiting For A Train (2)I'm Sorry We Met (3)Any Old Time (4)Train Whistle Medley (5)Why Did You Give Me Your Love (6)Mother The Queen Of My Heart (7)Why Should I Be Lonely (8)Blue Yodel Medley (9)My Carolina Sunshine Girl (10)Mississippi River Blues (11)Treasures Untold (12)My Old Pal


この夏 東京の神田の古レコード屋さんで買った”ジミー・ロジャースを歌う” LPレコードの2枚目はとっても珍しくてマニアックなものだった。 Eddie Noack(エディ・ノック)というローカルカントリー歌手が1974(昭和49)年に テキサスのWide World Records というマイナーレコード社から出したジミー・ロジャース集・・・・・このようなレコードがあるなんて さすが東京だなあ・・・・・と思った。 と同時に このような誰れも聴かないようなレコードのことを載せるべきか-迷った結果 やはり ”Blue Yodeler”ジミー・ロジャースがいかに多くの後進に影響を与え、追従者を生み出したか、そしてその思い絶ち難い人はみんな Tribute レコードを出したり Tribute Song を歌ったりしていたんだ・・・・・ということを単なる記録として表すためにも載せることにしました( とは云いつつも 実のところ単に私が嬉しかっただけのことなんですが・・・・ )。

すこし調べてみました・・・・・Eddie Noack (1930~1978年 テキサス州出身) はアメリカではそこそこは知られていたカントリー歌手だったらしく、 Tommy Wood という名前でロカビリーも歌っていたことがあるようです。 歌手としてはマイナーレコードばかり渡り歩くといった状況だったため一流にはなれなかったのでしょうが作曲家としていい曲を幾つか書いています。 ハンク・スノウが歌って有名な曲に”These Hands”というやや sacred song 寄りの佳曲がありますがそれを作ったのがエディである-と初めて知りました。 クリス・クリストファーソンが作った”Why Me ”というこれも sacred song に近い佳曲がありますが それと似たような雰囲気を持った曲です。2曲ともハンク・スノウは歌っていて一聴の価値があると思います・・・・・やはりこれは という曲は目立つんだと思いますね(参考)。    
ともあれ、 Eddie Noack という歌手は全く知らなかったし 彼がジミー・ロジャースを歌うアルバムを出していなかったらきっと興味を示す人ではなかったと感じています。

アーネスト・タブが解説を書いていますので補足しながら訳して載せておくことに・・・・・・・・・・・・「Eddie Noackー”Tribute To Jimmie Rodgers ”       私のテキサスの友人エディ・ノックが私のアイドルだった”The Singing Brakeman (歌う制動手)”と云われた Jimmie Rodgers に捧げるアルバムを出しましたが、そのLPレコードのライナーノートを書いて欲しいと依頼があったときはとても嬉しい気持ちでした。 エディはカントリーミュージック界では知られている人です。カントリー歌手としての貢献も大きいですし、特に song writer として有名で ”These Hands ” や ”God's Eye ”という曲などは素晴しいもので他にも多数の優れた曲で知られています。そして今回 ほんとに自慢出来る大仕事(Jimmie Rodgers への Tribute Album を作ったこと )を成し遂げてくれました。

これまでにも沢山のジミー・ロジャースへの Tribute Album が有りました、挙げれば Hank Snow や Elton Britt、 Lefty Frizzell 、最近でも Merle Haggard などがありますし勿論私自身のものもあります。私は Eddie Noack のアルバムはこれらの中でもトップランクに近いものであると皆さんに御約束できます。私のようなジミー・ロジャースの old fan の人達にはエディが ジミーの歌を original Jimmie Rodgers Style で演ってくれることがとても有り難く思えますし、私のような熱狂的なジミー・ロジャース ファン同様に ほとんどのカントリーミュージック ファンの人達が simple で down-to-earth な pure country に理解を示していただけると思っています。

私はここでプレーしている dobro guitar奏者と fiddle(バイオリン)奏者を褒めておきたいと思います、2人ともエディの歌にジミー・ロジャースのオリジナル演奏を髣髴(ほうふつ)させるような実に素晴しい伴奏を付けてくれているのです-その演奏はとにかく Country Music ならではのもので、まさに私達が Country Music に必要としている類いのサウンドです。
私はエディがこのアルバムで歌っている全ての曲が好きですが、中でもエディが歌う ”Waitin' For A Train” と ”Treasures Untold ”がいいですね。いい歌にいい演奏・・・・まったくそれが全てです。ジミー・ロジャースを知っているか否かにかかわらず、貴方が Country Music が好きなら このアルバムは真にカントリーを聴く喜び、楽しみに答えてくれるはずです。
The whole album is very refreshing and very good.
Eddie Noack と このレコードを出した Wide World Records 社は Tribute album to the great Jimmie Rodgers に誇りを持ってよいと思います。」・・・・・・・・・と述べられています。

音的には全てミディアムテンポで、エディの渋い歌とギターに fiddle (有名なチャビー・ワイズが弾いているような気がする?)とdobro-guitar が伴奏していて各曲素晴しいですが 全曲通しで聴くと可もなく不可もない・・・・という感じでした。ギターはジミー・ロジャース的な弾き方ではないしヨーデルも全く入っていないので すこし物足りなさがありましたが曲がいいので・・・・・・とにかく Eddie Noack という歌手の一世一代のアルバムなんだと思います(裏にエディと故ジミー・ロジャース夫人と一緒に写った写真が載っています)。 私もたまたま出逢ったものなので、「ジミー・ロジャースが好きな人」にこんなレコードがあります・・・・・と カントリー音楽の歴史知識のひとコマとしての情報役割だけです(CDもきっとあるんだと思います)。 広いアメリカ・・・・・長い間には色々なことがあり-色々な人がいるんだなぁ-ということを改めて知るきっかけにはなりました。

ところで、自分で ”Country Music の原点”と勝手に思っている Carter Family 、Jimmie Rodgers 、Hank Williams 、Bob Wills の4大アーティストについて色んな人達が歌ったいわゆる「~OOOO を歌う」といった Tribute Album が 私はとても好きです。 それを歌う歌手の Country Music への情熱みたいなものがありのままに出てくる感じがして・・・・・・今回も名もない歌手にそんなことを強く感じました・・・・・。
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カウボーイソング 27 [ テックス・リッター(3)]

2009年08月09日 | カウボーイ・ソング
Tex Ritter (3)
 日本盤 東芝レコード ECR-8174(Capitol Records 原盤) Hall Of Fame  Tex Ritter
(1)There's A New Moon Over My Shoulder ( 肩にかかる月 ) (2)San Antonio Rose (3)Blood On The Saddle (4)Boll Weevil  (5)Chisholm Trail (6)Rye Whisky (7)Green Grow The Lilacs ( ライラックの萌える頃 )(8)Billy The Kid (9)Down In The Valley (10)Cattle Call (11)The Prisoner's Song ( 囚人の唄 ) (12)She'll Be Comming 'Round The Mountain ( 彼女は山からやってくる ) (13)High Noon ( 西部劇”真昼の決闘”の主題歌 ) (14)Streets Of Laredo( ラレドの通り=カウボーイの哀歌 )


久し振りのカウボーイソング集はテックス・リッター(1905~1974年 テキサス州出身)です。
このレコード1974( 昭和49 )年に往年のキャピトルレコード専属のカントリー、ブルーグラスを集めて Hall Of Fame シリーズとして出された中の1枚です。このレコード、厳密には Cowboy Song だけとは限りませんが 西部調の唄、アメリカ民謡、古謡など親しみやすい曲が入っていてテックス・リッターの魅力全開といったアルバムになっています。アコーディオン、フィドル( カントリースタイルのバイオリン )、単音のエレキギターなどの伴奏でテックスものんびりゆったり歌っているのでとても牧歌的である・・・・・と同時にスケールの大きさを感じさせるものです。
テックス・リッターはカントリー歌手としても大御所的な存在だったのですが、ここに聴かれる曲群は彼の最も脂の乗りきった時代と思われる1940年代の頃のものだと思います・・・・・・音作りに何の制約もなくて自由闊達にやっている風にみえるものばかりで、カントリーの世界にまだ ”無邪気さ”があった時代とも言えるかもしれません。

アコーディオンとフィドルでいきなり調子よい Swing 調の(1)「肩にかかる月」はテックスの深いバリトンボイスが素敵です、
Western Swing の名曲(2)「サン・アントニオ・ローズ」はきれいなフィドル、アコーディオン、スティールギター演奏をバックにゆっくり目にスイングして歌っています。
(4)Boll Weevil ポコポコ鳴るバンジョーと泥臭いフィドルで西部ムード満点。

(5)「チザム・トレイル」は Cowboy Song の定番曲でテックスの歌で聴くとつらいカウボーイ稼業の歌もなんだか楽しそうにきこえるから不思議、生ギターとフィドルが素晴らしい雰囲気を出していて Old West の香りいっぱい。
(6)「ライ・ウィスキー」はだんだん酔いが回ってヨレヨレになりながら歌っていく様が面白い・・・こんなのは本当に職人芸みたいなものでまさにテックスの傑作。
(7)「ライラックの萌える頃」はテキサス賛歌とも云われるきれいなメロディラインをもった曲で、きれいなフィドルとスティールギターに乗って歌うテックスの雰囲気がとても素敵だ。
(8)Billy The Kid はテックスの重厚な語りから入ってメキシカン調のギターに乗って稀代の無法者ビリー・ザ・キッドの物語を歌った古謡。

(9)Down In The Valley は有名な古謡・・・・このような単調なくり返し song もテックスが歌うと・・・・。
(10)Cattle Call はキーの低いテックスの声ではヨーデルはどうかな~と思っていましたが何とかハミング風のヨーデルにまとめ上げていて雰囲気もよくてさすがだなぁ・・・・。

一番嬉しかったのは誰でも知っていて ”~合唱団 ” のようなコーラスでは聴くことはあっても本格的なカントリー歌手ではまともに採りあげてくれそうもない(12)She'll Be Coming Round The Mountain ( 彼女は山からやって来る )をテックスの歌で聴けることです・・・・・・シンプルな民謡だけどセンスのよい単音のエレキギター伴奏でアップテンポで歌っていて何とも味わいのある唄にしてくれています。初めて聴いた時は 今では子供向けの歌みたいになっているこんな唄までレコーディングしていたんだぁ~と感激してしまいました。

(13)は西部劇「真昼の決闘」の主題歌
(14)Streets Of Laredo はカウボーイソングの古典ですが、テックスの歌で聴くとまたその良さが格別と感じます。

私の個人的感想を云いますと この日本編集盤はテックス・リッターの ”カントリーのベストアルバム ” なんかよりもずっと魅力ある名唱集だと思っています。CDがあるといいんでしょうが・・・・・・・

現代は何もかも便利になってお金さえあれば何でも手にはいる時代、何でも早く早く・・・・とせかされる時代、何か心の強さみたいなものを持っていないと押し潰されそうな喧騒な時代・・・・・そんな時代に個人的には音楽まで喧騒であって欲しくないな・・・・と思います。  このレコードは時代遅れの、時代錯誤の音楽といってもいいでしょうが・・・・・ひとつだけ云えることは ”その中に見果てぬロマンがある ” ということでしょうか、まあ昔のモノクロ映画を見て楽しんでいる・・・・・みたいなものです。 砂漠の中のオアシスになるかどうかは ”その人の好み ” が反映するので一概に云えませんが、僕自身にとっては古いカウボーイソングは ”肩ひじ張らずにのんびりやれよ ”、”あしたも頑張れよ ”・・・・・と肩を押してくれるような存在です・・・・・だからこのようなレコードは宝物(想)。

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エルトン・ブリット ジミー・ロジャースを歌う (2)

2009年08月09日 | ジミー・ロジャースを歌う
Elton Britt (2) 米国盤 Camden Records CAS-2295 The Jimmie Rodgers Blues
(1)My Carolina Sunshine Girl (2)You And My Old Guitar (3)Roll Along Kentucky Moon (4)Waiting For A Train (5)My Little Lady (6)The Jimmie Rodgers Blues (7)Treasure Untold (8)Singin' In The Pines (9)Peach Picking Time Down In Georgia

7月18日姉の一周忌に神奈川県の鎌倉に行った帰りに東京の神田の古本屋街に寄って本とカントリーのレコードを数枚買いました(東京に行く時はいつも楽しみにしていることです)。 古本屋さんは心なしか数が少なくなっている印象を受けました、それとレコードを買いたくても肝心の古レコード屋さんが見つからないのでした、以前行った何件かのお店もなくなっていたし・・・・・・で、さんざん歩き回ってやっと見つけた古レコード屋さんにカントリーのコーナーがありました。 そこになんと2枚の 「ジミー・ロジャースを歌う」 アルバムがあったのです・・・・・・僕はそれだけで大満足、その中の1枚がこれで以前日本盤で紹介したもの (懐かしのカントリー&ウェスタン 32) の本家本元盤です。もともと廉価盤なのにさらに穴開けして安くしたもの(ジャケットのジミーのギターのところに穴有り)、繰り返しになるけれどまた載せることにしました。とにかく嬉しくて嬉しくて・・・・・レコードっていいな・・・と念仏のように唱えたのでした。
もう1枚はちょっとマニアックなもので 次回に載せる予定です。 

さて、エルトン・ブリット( 1913~1972年アーカンソー州 出身)は有名な カントリーヨーデル歌手 でしたが若い頃に幸運にもジミー・ロジャースの薫陶を受けた経歴を持っている人です。エルトンが亡くなる数年前にちゃんとジミー・ロジャースを歌うアルバムを残してくれたものがこのレコードなんですね・・・・・・自分が成功するきっかけを作ってくれた Jimmie Rodgers への感謝の意を込めて是非とも残しておきたかったのに違いない・・・と推測します。
Vaughn Horton という人が書いた”Reminiscing About a Couple o' Pretty Fair Country Yodelers (2人の素晴らしいカントリーヨーデル歌手の想い出)”と題した解説が載っていますので補足を加えながら訳して載せておくことにします・・・・・・・

「1930年代初頭ジミー・ロジャースは田舎に住むほとんどの少年達にとって the king and the idol でした。アメリカのどの大通りを歩いてもいつの日か有名な Blue Yodeler's crown ( Jimmie Rodgers のこと)にとって代わろうと夢見ながらギターをかき鳴らして歌う少年達が聴かれたものです。 やっとかき集めたお金で安いギターを手に入れた少年達はジミー・ロジャースのような歌手への予備軍になっていったのです( beccame a potential front-porch howling coyote と表現してありますが・・・・howling coyote・・・吠えるコヨーテ とはヨーデルのことを指しているんでしようね )。
ジミー・ロジャースの影響は絶大だったので国中のラジオ局にはロジャースの carbon-copies(そっくりさん)を目指す熱心な若者達からオーディションをして欲しいという要望が洪水のように押し寄せたものでした。そんな熱心な若者達の中で幸運をつかんだのが Ozark-mountain 出身の10代の若者エルトン・ブリットだったのです。 エルトンは夜鷹が鳴くようなアーカンソー州の農場からオクラホマ州のラジオ放送局にやって来ました・・・・・・そしてラジオを通じて歌手としてのエルトンの魅力がそのエリアで話題になっていったのでした。 たまたま Pawnee Bill's Oklahoma Round-Up に出演するため来ていたジミー・ロジャースはエルトン・ブリットの素晴らしいヨーデルと歌声を耳にして、自分に会いに来るように招待したのでした。そしてエルトン少年のヨーデルを聴いて感銘を受けたジミーは彼にカリフォルニアに行くことを奨めたのです、当時のカリフォルニアはあらゆるものが発展しつつある新興都市でした。ジミーのアドバイスを受け入れたエルトンはハリウッドで最高のグループ( Beverly Hillbillies のことか?)に属して1年もたたないうちに West Coast でセンセーションを巻き起こすほどの存在になったのです。
カリフォルニアで再びエルトンの歌を聴いたジミーは Ralph Peer ( ジミー・ロジャースのマネージャー兼ニューヨークの出版社主 ) に次のような手紙を書いて奨めています・・・・・曰く 、”ここに来てこの若者と契約を結んだ方がよい・・・・・彼は大物になるよ”・・・・と( 今ではこの手紙は有名になっているそうです )。

エルトンは1933年5月にニューヨークに向かう途中 ミズーリ州 Springfield で一夜を過ごしました、3日後に初めてのレコーディングを予定されていたので早く起きてスタンバイしていたのでした。まさにその時ショッキングなニュースが飛び込んできて ジミー・ロジャースの悲劇的な死を知ったのです。 彼は最近になってナッシュビルの Grand Ole Opry のステージでその時のことを聴衆に語っています・・・・・”尊敬していたジミー・ロジャースの死を知って私はすっかり気落ちして数週間は立ち直れなかった”・・・と。

エルトン・ブリットは自身の輝かしい経歴を続けていきます- RCAレコードに数十曲のヒット曲をレコーディングし、中でもミリオンセラーになった”There's A Star Spangled Banner Waving Somewhere(どこかではためく星条旗)”で頂点に達したのです。この曲はカントリー歌手のものとしては初めて Gold Record になったもので、現在ナッシュビルの Country Music Hall Of Fame館 に飾られています。  エルトンは第二次世界大戦中 ヨーロッパ戦線を演奏ツアーしてアメリカ兵達の永遠の Favorite になったのでした。数年後には朝鮮戦争でも同様のツアーを行ったのですが今度は不運なことにアジア熱にかかってしまい、それが Elton Britt の引退を早める結果になってしまったのでした。繰り返し起こる病いで健康が許す範囲での出演に限られるようになったのです。
私(Vaughn Horton)はエルトン・ブリットに関わったことをとても誇りに思っています。私達は何年にも渡って親友でしたし、一時は彼のバンドメンバーの一人だったこともあります。私が Songwriting の世界に入った時 励ましてくれたのはエルトンでしたし、私の big hit 作 ”Mockin' Bird Hill” を RCA ビクターでレコーディングしてくれたのも彼でした。彼のこのLPレコード製作に携われたのも名誉なことですし、エルトンの素晴らしい傑作の一つだと思っています。」・・・・・・・と書かれています。
尚、エルトン・ブリット自身のコメントも載っていて・・・・・「私にジミー・ロジャースを歌うアルバムを作るようにいつも奨めてくれていたRCAビクターの Steve Sholes に感謝します・・・・彼が亡くなる前に私の Jimmie Rodgers Blues を聴いてもらえてよかった。1曲だけジミー・ロジャースの歌ではない Singin' In The Pines という曲を入れたのは彼が好きでいつも私に歌って欲しいといっていた歌だからです。」・・・・・・とのこと。
音的にはモダンなサウンドですが晩年の Elton Britt の心意気が伝わってくる作品になっています・・・・・・・もしCDになっていたらお奨めします
(2007年9月30日の記事も参照してください)
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お気に入りCD -4-

2009年08月02日 | つれづれに
米国盤CD Egyptian/ COLUMBIA CK-67676 The Songs Of Jimmie Rodgers  A Tribute

(1)Dreaming With Tears In My Eyes(1933年 涙をためて君を想う): Bono
(2)Any Old Time(1929年) : Alison Krauss and Union Station
(3)Waiting For A Train(1928年 汽車を待って): Dickey Betts
(4)Somewhere Down Below The Maison Dixon Line(1933年 ディクソン・ラインを下れば) : Mary Chaipin Carpenter
(5)Miss The Mississippi And You(1932年 ミシシッピーとお前): David Ball
(6)My Blue Eyed Jane(1930年 青い目のジェーン) : Bob Dylan
(7)Peach Pickin' Time Down In Georgia(1932年 桃の実の熟する頃) : Willie Nelson
(8)In The Jailhouse Now(1928年) : Steve Earle & The V-Roys
(9)Blue Yodel # 9(1930年) : John Kahn
(10)Hobo Bill's Last Ride(1929年 風来坊ビルの最後) : Iris DeMent
(11)Gambling Bar Room Blues(1932年) : John Mellencamp
(12)Mule Skinner Blues(1930年) : Van Morrison
(13)Why Should I Be Lonely(1930年 淋しいのはなぜだろう) : Aaron Neville
(14)T For Texas(1927年 Blue Yodel # 1): Dwight Yoakam


これは1997(平成9)年に発売されたCDで すこし古いですがとても気に入っていて日頃よく聴くCDです。
私はジミー・ロジャース(1887~1933年 ミシシッピー州出身)の音楽が大好きですが それはハンク・スノウに由来しています。一番好きなカントリー歌手だった Hank Snow (ハンクが亡くなった今でもそうですが) がジミー・ロジャースを歌うLPレコードを3枚も出している ( 10インチLPレコードを含めると4枚 ) のにとても興味があって・・・・・ハンクがそれほど魅入られている Jimmie Rodgers とはどんな歌手なんだろう-というのがきっかけでした。 そして日本RCAビクターから出されたカントリーレコードシリーズの中に2枚のジミー・ロジャース集 (Vol.1 & 2) があってそれを聴いてすばらしい 歌の数々にすっかりファンになってしまった・・・・・・というわけです。 でも1927~1933年という遥か昔で しかもたった7年しか歌手活動がなくて結核で亡くなってしまった歌手のファンに・・・・・なんて変な話ですが ジミーの歌とその内容、その後に続く信奉者達( 多くのカントリー歌手 )の歌 を聴いていると”なるほどなあ”と納得出来るものがありました・・・・・・・その辺のところは別の機会に述べたいと思います。

さて、このCDは現代のアーティスト達が新しい感覚でジミー・ロジャースの歌を歌ったものです・・・・・・・僕は各ミュージシャンのジミー・ロジャースの歌への素晴らしい捉え方にすっかり魅了されてしまったのでした・・・・・この中ではアリソン・クラウス、メアリー・チェイピン・カーペンター、ボブ・ディラン、ウィリー・ネルソン、ドワイト・ヨーカムくらいしか知らないのですが ここに出て来る人たちの歌は全て素晴らしい内容と思いました。1920、30年代の歌が現代に通用する音楽に甦る(よみがえる)不思議さを示してくれたんだと思います。

さて、みんな素晴らしいのですが 中でも私が気に入ったのはメアリー・チェイピン・カーペンターが歌う(4)「ディクソン・ラインを下れば」です。昔 日本で発売になったレコード「The Legendary Jimmie Rodgers 110曲集」の歌詞解説には・・・・・ ”さようなら、北部の人々よ、荷物をまとめて浮き浮きしながら帰るのさ。キャロライナ、アラバマ、テネシー、ディクソン・ラインを下れば何処だって良い所。雪国とはおさらばして、暖かいそよ風の吹く南部へ帰らなくちゃ。今度手紙をくれるなら、宛先はディクソン・ラインを下った何処かにしてくれよ。”・・・・・・という望郷の歌です・・・とありました-ジミーが重病(結核)を押して録音に臨んだ死の直前の歌なんですね・・・・そんなことを知るとじっくりと聴き入ってしまいます。メアリーはドーブローギター、ピアノを伴奏に故郷に帰るウキウキする感じを出しながら軽快に歌っています・・・・・Mason-Dixon Line というのはアメリカ北部と南部を分ける地図上の大まかな境界線のこと。

David Ball という歌手が歌う(5)「ミシシッピーとお前」も哀愁があって素敵な歌です・・・・・マンドリン、ピアノ、フィドル、ドーブローギターが哀感を出して最後のヨーデルが泣かせます。
ボブ・デイランが歌う(6)「青い目のジェーン」も何だかボブの悪声が不思議に合って、雰囲気を醸し出してなかなか good です。
ジミーの歌で私が一番好きな(7)「桃の実の熟する頃」はここでのウィリー・ネルソンよりもやはりのんびりあっさりと歌うジミー・ロジャース本人のものが好きです・・・・でもウィリーも好唱。
John Kahn という歌手がこれまた悪声で歌う(9)Blue Yodel # 9 ですがヨーデルもヨーデルにならないような下手くそなのにポコポコ鳴るバンジョー、ドーブローギター、おしゃれな管楽器と不思議にマッチしてなかなか雰囲気は good です。
セントルイス・ブルースに似た(11)Gambling Bar Room Blues マイナー調の単調な繰り返し song も現代風に演るといいなあ。
Aaron Neville という歌手が微妙に震える声で歌う(13)Why Should Be I Lonely はスティールギター、フィドル入りの普通のカントリースタイルで、もっともオーソドックスなスタイルでジミーの歌を歌ってくれます・・・・・声もいいし ヨーデルも入ってなかなかの優れものです。

()内はジミーが録音した年と一般的に知られている日本題名です。
このアルバム、秋から冬にかけて聴くときっと映えるでしょう
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ラリー・スパークス ハンク・ウィリアムスを歌う

2009年08月01日 | ハンク・ウィリアムスを歌う
Larry Sparks (1) 米国盤 County Records-759 Larry Sparks Sings  Hank Williams
(1)No One Will Ever Know (2)Dixie Cannonball (3)Someday You'll Call My Name (4)I'm So Lonesome I Could Cry (5)Battle Of Armegeddon (6)Waltz Of The Wind (7)Singing Waterfall (8)Mind Your Own Business (9)My Heart Would Know (10)I Saw The Light (11)Mansion On The Hill (12)Blue Love


毎月1日のハンク・ウィリアムス関連の第8弾はラリー・スパークス(1947年~現在 オハイオ州出身)です。私のブログで初めて採り上げる Bluegrass Music 畑の人のレコードがくしくも Hank Williams へのトリビュートアルバムになりました。ブルーグラス畑の歌手がハンク・ウィリアムスの唄を歌う・・・・・というのはありそうでなかなか無いと思います。 解説にもあるように Larry Sparks のものが全く初めてのアルバムではないか-と思うのですが?? 今では超ベテランになった Larry Sparks がまだ20代の頃の1977(昭和52)年に出したもので、29才で亡くなったハンクと同じ年齢の時のアルバムになるのは意図してのことなんでしょうか・・・・・。  日本盤があってもおかしくないのにたしか出なかったと思います。
先づ補足しながら 解説を訳して載せておきます

「 カントリーミュージックの世界にはダイナミックで影響力のある人物が大勢いましたが、若くてのっぽでやせ型の悲しそうな表情(sad-looking)をしたアラバマ出身のハンク・ウィリアムス(本名 King Hiram Williams)ほどインパクトのある人はいなかったでしょう。まったく心身ともに病んだ人物で、その人生は30才になる前に終焉を迎えたのでした。 しかし、短い人生の中でハンクの人を魅了する存在感と基礎的ではあるけれど力強い歌の数々、情感いっぱいの歌声は Country Music の世界ではジミー・ロジャース以来もっとも追従されたり影響力のある人物になったのでした。
何年にもわたってハンクの音楽は沢山の歌手に演奏されてきましたが・・・・・・残念なことに まるでさめたおかゆみたいに興ざめなものもあれば、逆に十分にその意を汲み取られて 歌に力強さや情感が伝わってくるものもありました。 もしハンク・ウィリアムスの音楽を最高に理解して歌った歌手達のリストが作られるとするならば このラリー・スパークスの名前はそのトップの位置に挙げられてもいいでしょう。
ラリー・スパークスはまだ20代の若者ですがその複雑で独特の lead guitar work と優れたボーカルが認められて10年になるかならないうちにブルーグラス界では最も尊敬されるミュージシャンの一人になったのでした・・・・・普通ならそんなことはずっとキャリアのある先輩達に送られる賞賛の言葉ですが ラリーはそれに値するものを持っているのです。  ハンク・ウィリアムスの熱心な崇拝者であるラリー・スパークスは ハンクの音楽が意図するものの本質を捉える卓越した能力を持っていたのですが、今回のアルバム製作のオファーがあるまでは その能力をほんの少しばかり発揮する程度にとどめていたのでした( -能ある鷹は爪を隠す-といったところでしょうか ?)。
ブルーグラスの世界で Hank Williams のレパートリーは知られていないという訳ではないのですが、少数のよく演奏される曲を除けば大部分は採りあげられないままです。このアルバムは ブルーグラスバンドとしては初めてのハンク・ウィリアムスへの Tribute Album である-というだけではなくて、ハンクがレコーディングした曲の中でもめったに聴かれない曲の幾つかを選んでいる-という点でユニークなものであります( 一例としてジーン・オートリーの Dixie Cannonball)。

少数のスタンダード曲が含まれていますが よく聴かれる曲なのでここでは詳しく述べません。ハンクの歌で有名な曲群の大部分は彼自身の作曲のものですが、Mel 'Foree とか Odell McLeod (Mac Odell)、Fred Rose(Floyd Jenkins)といった Acuff-Rose 出版社の作曲家たちの作品もかなりの数含まれています。楽器演奏の面でもこのアルバムは通常のブルーグラスのものとは違っていて 厳密な意味での Bluegrass sound ではありませんが、1940年代に盛んだった電気を使わない Traditional Country Style により近いものだといえます。しかし多くの現代的な要素も多分に含まれています。
”I'm So Lonesome I Could Cry” のような胸の張り裂けるような淋しいもの から”Dixie Cannonball” のような暖か味のある歌まで各歌を生き生きと甦らせるようなラリーの心に残る歌声と素晴しいフレージング、非常にパワフルで壷を得たサポートをする The Lonesome Ramblers のバックアップ陣(素晴しいチャビー・ワイズの fiddle とトミー・ボイドの dobro guitar 、リッキー・スキャッグスの jazz-like mandolin )、そしてラリー・スパークスの流れるようなギターの即興演奏。   
このアルバムは Country Music の歴史の中で最も尊敬に値するミュージシャン Hank Williams への最高の Tribute album であるばかりでなく、将来にわたって愛聴され-話題にのぼり-賞賛されるであろう Larry Sparks & The Lonesome Ramblers のレコードであることに疑いの余地がありません。」・・・・・・・・・・・とのこと。

私は買ってから1~2回聴いただけで仕舞い込んでいたレコードでしたが、今回久し振りに聴いてみてとても感動してしまいました。ラリー・スパークスの渋い歌とそれを支える演奏陣・・・・・特にトミー・ボイドという人が弾く Dobro Guitar とチャビー・ワイズの fiddle は素晴しくて、ハンクを歌うアルバムとしてはベストテンに入れてもいいかなと感じました。私の感想ですが、ハンク自作の曲に限っていないので選曲が非常に珍しくて新鮮な感じです。 (1)No One Will Ever Know を1曲目にしているところなんかかなりのハンクへの傾倒ぶりだと思います。(1)の他に (2)Dixie Cannonball (5)Battle Of Armegeddon (7)Singing Waterfall (12)Blue Love など はハンク自身のものもめったに聴かれないし、まして他の歌手が歌う Tribute Album には入っていないと思います・・・・・おかげでハンク自身のものを聴いてみたくなりました。

五弦バンジョーが入っているのは演奏のみの (10)I Saw The Light だけなのでブルーグラスアルバムとは云えませんが それでも大したもので・・・・・現代のカントリー歌手でもここでラリー・スパークスが演っている程の純カントリースタイルのハンク・ウィリアムス集は聴かれないでしょう。
原盤は今はなき Rebel Records ( Bluegrass 専門の独立レコード会社)だったようで、その後 County Records が引き継いでから出されたもののようです・・・・・現在CDとして出ているのでは(REB-1694-CD )??・・・・・ハンク・ウィリアムスが好きな人にはお奨めアルバムです( 感涙 )。
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