Tommy Jackson (1)
日本盤 Dot Records SJET-8353 Greatest Bluegrass Hits / Tommy Jackson
(1)Gotta Travel On (2)Blue Moon Of Kentucky (ケンタッキーの青い月) (3)Earl's Breakdown (4)Cabin On The Hills(丘の小屋) (5)Salty Dog Blues (6)In The Pines (7)Great Speckled Bird (8)Footprints In The Snow(雪の足跡) (9)Old Joe Clark (10)Uncle Pen (11)Maple On The Hill (12)I Wonder How The Old Folks Are At Home
トミー・ジャクソン(1926~1979年 アラバマ州出身)といえば、往年の名カントリーフィドラー( Country style のバイオリン奏者)です。沢山のカントリー歌手のバンドメンバーとして、あるいはセッションマンとして演奏し Country にも Bluegrass にも強いプレイヤーという印象です。ウェスタン・スウィングの王者ボブ・ウィルスが晩年既に自分のバンド The Texas Playboys を持っていない時期にレコーディングした時にも呼ばれて参加して Western swing style の fiddle を披露しているくらいですからもう何でもござれの一流プレイヤーでした。
このレコードは私が買ったブルーグラスの日本盤レコードの中では古い方でとても気に入ってずいぶん聴き込んだものでした。 ビル・モンローをはじめ名前の通っているブルーグラス一派とはすこし趣きの違うどこかほのぼのとした雰囲気のサウンドです・・・・・ジャケットには Tommy Jackson と謳ってありますが トミーはまったくバンドのメンバーに溶け込む形でことさらトミーのフィドル演奏を強調したようなものではありませんでした・・・・・ごく普通の Bluegrass sound です。
さて内容ですが、(1)Gotta Travel On はアップテンポで軽快にスタートし、(2)Blue Moon Of Kentucky は一転してワルツ調の佳曲ですが 途中でややアップテンポになります。本当のところこのグループには初めから終わりまでワルツ調で通して欲しかった・・・・・この曲で思うのはなぜ判で押したようにどのグループもどのグループも後半をアップテンポにしてしまうのでしょう・・・・・ということです。かつてエルビス・プレスリーが後半をアップテンポにして唄って以来まるで慣例みたいになってしまったんでしょうが-私はせっかくの叙情ワルツ曲が台無しに・・・・・と思うんですけどね・・・・”Blue moon of Kentucky~keep on shining Shine on the one that's gone and proved untrue~”。
(3)Earl's Breakdown ”5弦バンジョーの神様”アール・スクラッグス作のアップテンポのインストルメンタル曲。バンジョーだけでなくてドーブローギター、フィドル、マンドリン等ブルーグラスバンドの各パートの奏者の腕のみせどころ。(4)Cabin On The Hill はいかにもブルーグラス的な郷愁の唄。dobro guitar のトレモロが大きくフューチャーされて輪唱形式のボーカルがマウンテンムード満点です。
(5)Salty dog blues もブルーグラスではよく歌われてきた唄です、salty dog とは”さかりのついた犬”という意味らしいのですが・・・・ちょっときわどい意味のある歌なのかな? (6)In The Pines は古謡で、トレモロを多用したドーブローギターと途中で入るトミーのフィドルもきれいで単純なメロディの繰り返しだけの唄を盛り上げています。
(7)Great Speckled Bird は Country Legend のひとりだったロイ・エイカフ(1903~1992年 テネシー州出身)の代表的ヒット曲をこれもトレモロ重視のドーブローギターをメインに歌います。Dobro Guitar の効果というのはやはりスローな曲に哀愁を添える楽器としては最高ですね。ドペラ兄弟が工夫して開発したというギターの胴体に共鳴盤をつけて弦高を高くして鉄製のバーを弦の上で滑らせながら弾くスティールギターに類似の楽器・・・・・。
(8)Footprints In The Snow (雪の足跡)これはブルーグラス専門の歌とばかり思っていましたがけっこう古い唄で、古いカントリー歌手なども歌っていたようです。雪が降る季節になるたびに雪の足跡を残して死んだ彼女を偲び・・・・そしていつの日か自分も彼女に逢いに行く日が来るだろう・・・と歌うロマンチックな歌。
(9)Old Joe Clark ブルーグラスでは各楽器の早弾きの腕前披露のような曲になっています。(10)Uncle Pen はブルーグラスの父ビル・モンロー作でビルが若い頃に音楽的影響を受けた母方のペンおじさんを偲んだ曲で、フィドルをフューチャーして歌われる曲です。ビル・モンローが好きだったカントリー歌手の故ポーター・ワゴナーも歌っていました。
(11)Maple On The Hill この曲も古くから沢山のブルーグラスグループに採り上げられる曲。(12)I Wonder How The Old Folks Are At Home 代表的な故郷を偲ぶ唄。
このアルバムにはトミー・ジャクソン以外は明確なグループ名のクレジットもメンバー名も有りませんが、解説を書かれている斉藤 徹さんによるとブルーグラス界では地味だったけれどしっかりした楽器テクニックと素晴らしいボーカルスタイルを持っていた The Dixie Gentlemen (ルアル・ヤーブローの banjo、ハーシャル・サイズモアの flat-mandolin ほか)ではないか・・・・・と述べられています。
まあ聴いていてブルーグラスの古典が堪能できるアルバムにはなっています・・・・・・特にボーカルが素晴らしい!! ところで 私はいつも思っていることがあるのですが、ブルーグラスの人達はどんなに素晴らしい詞を持った曲でも、メロディラインをもった曲でもアップテンポにして歌ってしまって感情を込めて歌う-ということが少ないように思っています。 その辺のところが5~6曲も聴けばあとは同じ-という感覚になる理由です。 だからブルーグラスは楽器を演奏して楽しむ立場の人にはもってこいの音楽なんでしょう・・・・・ただ、聴く側の立場に立った時に 似たようなグループ、似たようなサウンド-では真剣に聴くだけの唄の上手さ(やはりこれが大事)とか,サウンドだけではなくてそのグループの Visual 面の雰囲気とかが要求されるのではないかと思います。
トミー・ジャクソンのフィドルは今の時代からみたらスーパーテクニックとは云えないかもしれないですが、歌手の歌を引き立てる裏方に徹した弾き方だったと思います。私は自分の楽しみのためにフィドルを練習しているんですがトミー・ジャクソンの正統派の弾き方は自分が信じるところの Country Style なのでとても参考になるものです。
日本盤 Dot Records SJET-8353 Greatest Bluegrass Hits / Tommy Jackson
(1)Gotta Travel On (2)Blue Moon Of Kentucky (ケンタッキーの青い月) (3)Earl's Breakdown (4)Cabin On The Hills(丘の小屋) (5)Salty Dog Blues (6)In The Pines (7)Great Speckled Bird (8)Footprints In The Snow(雪の足跡) (9)Old Joe Clark (10)Uncle Pen (11)Maple On The Hill (12)I Wonder How The Old Folks Are At Home
トミー・ジャクソン(1926~1979年 アラバマ州出身)といえば、往年の名カントリーフィドラー( Country style のバイオリン奏者)です。沢山のカントリー歌手のバンドメンバーとして、あるいはセッションマンとして演奏し Country にも Bluegrass にも強いプレイヤーという印象です。ウェスタン・スウィングの王者ボブ・ウィルスが晩年既に自分のバンド The Texas Playboys を持っていない時期にレコーディングした時にも呼ばれて参加して Western swing style の fiddle を披露しているくらいですからもう何でもござれの一流プレイヤーでした。
このレコードは私が買ったブルーグラスの日本盤レコードの中では古い方でとても気に入ってずいぶん聴き込んだものでした。 ビル・モンローをはじめ名前の通っているブルーグラス一派とはすこし趣きの違うどこかほのぼのとした雰囲気のサウンドです・・・・・ジャケットには Tommy Jackson と謳ってありますが トミーはまったくバンドのメンバーに溶け込む形でことさらトミーのフィドル演奏を強調したようなものではありませんでした・・・・・ごく普通の Bluegrass sound です。
さて内容ですが、(1)Gotta Travel On はアップテンポで軽快にスタートし、(2)Blue Moon Of Kentucky は一転してワルツ調の佳曲ですが 途中でややアップテンポになります。本当のところこのグループには初めから終わりまでワルツ調で通して欲しかった・・・・・この曲で思うのはなぜ判で押したようにどのグループもどのグループも後半をアップテンポにしてしまうのでしょう・・・・・ということです。かつてエルビス・プレスリーが後半をアップテンポにして唄って以来まるで慣例みたいになってしまったんでしょうが-私はせっかくの叙情ワルツ曲が台無しに・・・・・と思うんですけどね・・・・”Blue moon of Kentucky~keep on shining Shine on the one that's gone and proved untrue~”。
(3)Earl's Breakdown ”5弦バンジョーの神様”アール・スクラッグス作のアップテンポのインストルメンタル曲。バンジョーだけでなくてドーブローギター、フィドル、マンドリン等ブルーグラスバンドの各パートの奏者の腕のみせどころ。(4)Cabin On The Hill はいかにもブルーグラス的な郷愁の唄。dobro guitar のトレモロが大きくフューチャーされて輪唱形式のボーカルがマウンテンムード満点です。
(5)Salty dog blues もブルーグラスではよく歌われてきた唄です、salty dog とは”さかりのついた犬”という意味らしいのですが・・・・ちょっときわどい意味のある歌なのかな? (6)In The Pines は古謡で、トレモロを多用したドーブローギターと途中で入るトミーのフィドルもきれいで単純なメロディの繰り返しだけの唄を盛り上げています。
(7)Great Speckled Bird は Country Legend のひとりだったロイ・エイカフ(1903~1992年 テネシー州出身)の代表的ヒット曲をこれもトレモロ重視のドーブローギターをメインに歌います。Dobro Guitar の効果というのはやはりスローな曲に哀愁を添える楽器としては最高ですね。ドペラ兄弟が工夫して開発したというギターの胴体に共鳴盤をつけて弦高を高くして鉄製のバーを弦の上で滑らせながら弾くスティールギターに類似の楽器・・・・・。
(8)Footprints In The Snow (雪の足跡)これはブルーグラス専門の歌とばかり思っていましたがけっこう古い唄で、古いカントリー歌手なども歌っていたようです。雪が降る季節になるたびに雪の足跡を残して死んだ彼女を偲び・・・・そしていつの日か自分も彼女に逢いに行く日が来るだろう・・・と歌うロマンチックな歌。
(9)Old Joe Clark ブルーグラスでは各楽器の早弾きの腕前披露のような曲になっています。(10)Uncle Pen はブルーグラスの父ビル・モンロー作でビルが若い頃に音楽的影響を受けた母方のペンおじさんを偲んだ曲で、フィドルをフューチャーして歌われる曲です。ビル・モンローが好きだったカントリー歌手の故ポーター・ワゴナーも歌っていました。
(11)Maple On The Hill この曲も古くから沢山のブルーグラスグループに採り上げられる曲。(12)I Wonder How The Old Folks Are At Home 代表的な故郷を偲ぶ唄。
このアルバムにはトミー・ジャクソン以外は明確なグループ名のクレジットもメンバー名も有りませんが、解説を書かれている斉藤 徹さんによるとブルーグラス界では地味だったけれどしっかりした楽器テクニックと素晴らしいボーカルスタイルを持っていた The Dixie Gentlemen (ルアル・ヤーブローの banjo、ハーシャル・サイズモアの flat-mandolin ほか)ではないか・・・・・と述べられています。
まあ聴いていてブルーグラスの古典が堪能できるアルバムにはなっています・・・・・・特にボーカルが素晴らしい!! ところで 私はいつも思っていることがあるのですが、ブルーグラスの人達はどんなに素晴らしい詞を持った曲でも、メロディラインをもった曲でもアップテンポにして歌ってしまって感情を込めて歌う-ということが少ないように思っています。 その辺のところが5~6曲も聴けばあとは同じ-という感覚になる理由です。 だからブルーグラスは楽器を演奏して楽しむ立場の人にはもってこいの音楽なんでしょう・・・・・ただ、聴く側の立場に立った時に 似たようなグループ、似たようなサウンド-では真剣に聴くだけの唄の上手さ(やはりこれが大事)とか,サウンドだけではなくてそのグループの Visual 面の雰囲気とかが要求されるのではないかと思います。
トミー・ジャクソンのフィドルは今の時代からみたらスーパーテクニックとは云えないかもしれないですが、歌手の歌を引き立てる裏方に徹した弾き方だったと思います。私は自分の楽しみのためにフィドルを練習しているんですがトミー・ジャクソンの正統派の弾き方は自分が信じるところの Country Style なのでとても参考になるものです。