西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

懐かしのカントリー&ウェスタン 119 [ T・ テキサス・タイラー (1) ]

2009年06月29日 | つれづれに
T. Texas Tyler (1)
 米国盤 Capitol Records ST-2344  The Hits Of  T. Texas Tyler

(1)Remember Me (2)Bummin' Around (3)Filipino Baby (4)Deck Of Cards (5)Fair Weather Baby (6)Courtin' In The Rain (7)Rough And Rocky (8)Memories Of France (9)You'll Still Be In My Heart (10)Dad Gave My Dog Away (11)In My Little Red Book (12)Oklahoma Hills


今回から3人ほど超昔のカントリー歌手を採りあげます。いずれも戦前から活躍して今日の Country Music の礎を築く一翼を担ったともいえる Country Legend です。今の日本のカントリー愛好者の間でもほとんど話題にのぼることはないと思いますので 3人とも ”古い、古すぎる!”ということを念頭においてもいいです・・・・・でもなかなかどうして、良いところもあるんですよ。

今回の T.テキサス タイラー(1916~1972年アーカンソー州出身)ですが、私が初めて聴いたのは”Careless Love”というアメリカの古謡を陽気な Western Swing 風に歌った曲でした。名もないオムニバスレコードに入っていたものです。荒っぽい演奏に”だみ声”(うなるような歌い方、むかし「都はるみ」が演歌でそんな歌い方をしていましたが・・・ウッ 古くて恥ずかしい!) を入れて豪快に歌い飛ばしていく・・・・・という感じでした。今の時代からするとまあ垢抜けない音でしょう・・・・・でも Western Swing が好きな僕はよい方にとらえて楽しく聴いたものです。 キャリアが古い割にはレコードは少ないようですが10枚位のLPは出ていたもよう(はっきりしません)。 
これは彼の晩年にリバイバル(1960年代)として Capitolレコードから出されたもので、後年レギュラー盤が売れ残りの廉価盤になっていて、Western Swing を期待して買ってみたものです。 ジャケットもテンガロンハットにちょいと手を懸けて挨拶する風のタイラーの写真を絵にしたもので「カントリーのレコードだな」とすぐ判る仕様。
 彼の主だったヒット曲の新録音で、さすがにメジャーの Capitol Records だけあってきれいな音で聴くことが出来るものになっています。ものの本によると活発な活動は1940年代後半から1950年代中頃までで、このアルバムにあげてあるようなヒット曲のオリジナルがその時期に一致しています・・・・・しかし、ロカビリーの出現の余波を被って極度のスランプに陥り徐々に fade out していったようです。1950年代中頃のエルビス・プレスリーをはじめとするロカビリー旋風は従来からのカントリー歌手には革命的なスタイルの出現であったようで、多くのカントリー歌手が新しい波に乗り切れずに消えていったのでした・・・・・・T.Texas Tyler もその一人だったのでしょうか? それでも根強いファンはしっかりと覚えていて Country Music の歴史にその名を残し得たんだと思います(昔からカントリーファンというのはとても royality=忠実 だといわれる所以でもあります)。

補足を加えて解説の訳を載せておきます・・・・・・「若い頃のT.テキサス タイラーが子供の頃からの憧れだったプロのエンターテイナーになろうと決心して夢を追いかけていたのはまさに大恐慌の時代でした。 当時のハードで陰鬱な時代の誰もがそうだったように T.テキサス タイラー自身も時代の波に もがき苦しんでいた頃で、思い出したくもないような貧乏な時代でした。 しかし持ち前の才能、決断力、そして素晴らしく温厚な性格の持ち主だったタイラーは やがてはあらゆる逆境にも打ち勝って Country & Western の世界で真の大物に値するだけの確固たる地位を獲得していったのでした。
タイラーに”The Man With a Million Friends(百万人の友を持つ男)”とあだ名を付けたのはラジオアナウンサーの”Uncle Bill” Tabor という人でしたが、時代と共にますますその呼び名にふさわしいカントリー歌手になっていったのでした。 T.Texas Tyler はラジオや映画、歌手として大スターになりましたが ショウビジネスの世界の内外で長年にわたって培ってきた多くの友人達に対しての謙虚さを失ったことは一度たりとも有りませんでした。自然とにじみでる誠実さは歌っている時も、有名な語りだけの曲(recitation)の時にもそれをよく表しています。

このアルバムは T.Texas Tyler のヒット曲と2曲の語り曲などから成っているものです。ポピュラー音楽史に残るTop-selling 曲のひとつといってもよい”Remember Me”は言うに及ばず、”Bummin' Around”や”Filipino Baby”、”Courtin' In The Rain”といったタイラーの favorite song 、それにJack Guthrie(1915~1948年 オクラホマ州出身のカントリー歌手ですが早くに亡くなった。アメリカンフォークの神様ウッディ・ガスリーの従兄弟。) の名曲”Oklahoma Hills”のタイラーヴァージョンも入っています。加えて、T.テキサス タイラーのトレードマークともなっている語りの”Deck Of Cards”ときれいな”Dad Gave My Dog Away”の2曲も聴かれます」・・・・・・・・・・・と。
音的にはとてもバラエティに富んでいて普通のカントリー、ウェスタンスイングありスローバラッドあり、そして得意の語りだけの曲は(4)と(10)。 演奏もギター、スティールギター、マンドリン、ホンキートンクピアノ(チェンバロに似た古いスタイルのピアノを使っています)、アコーディオン、ディキシーランドジャズスタイルのバンジョーなど曲によって使い分けていてワンパターンを避けて飽きないような工夫をしているように思えます。
テキサス・タイラーの声が線の太いバリトンの country voice なのでなかなかの聴きものになっています。私的には(1)(5)(7)(8)(12)が好みでした。
僕は現代のカントリーの雄 Alan Jackson や George Strait も聴きますが、ここにあげた T. Texas Tyler のような古い人も聴くのは好きです・・・・・・・それなりの(カントリーが本来の意味でカントリーらしかった時代の)よさが横溢しているからです・・・・・CDになってもいいようなバラエティぶりですが 昔の歌手なので無理かなあ(涙)
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懐かしのカントリー&ウェスタン 118 [ジャック・グリーン (1) ]

2009年06月13日 | つれづれに
Jack Greene (1) 
米国盤 Decca Records DL-4845  There Goes My Everything

(1)There Goes My Everything (2)Walking On New Grass (3)Almost Persuade (4)A Wound Time Can't Erase (5)Think I'll Go Somewher And Cry Myself To Sleep (6)Ever Since My Baby Went Away (7)Together Again (8)The Hurt's On Me (9)Make The World Go Away (10)Here Comes My Baby (11)Tender Years (12)Don't You Ever Get Tired (Of Hurting Me)


アーネスト・タブ(1914~1984年テキサス州出身)のバンドThe Texas Troubadours にいたメンバーからは何人かの優秀なカントリー歌手が巣立っていますが、キャル・スミスと このジャック・グリーンはその代表的な人です。このレコードは歌手としてのジャック・グリーンのよさがほぼ100%発揮されているものだと思います。音的には女性コーラスを伴ってはいますがスティールギター、ピアノを伴奏にした純カントリースタイルで、彼の好みなのか全体的にスローないしはミディアムテンポのバラッド(1)(3)(7)(11)等が素晴しい印象です、そしてたいへん歌唱力のある歌手であることがよく解かります。

Grand Ole Opry の名物司会者だったRalph Emery という人が書いた解説に補足を加えながら訳してみますと(話はこのアルバムが発売になった1966=昭和41年時点であることを念頭において下さい)・・・・・・・・「Music City, U.S.A (テネシー州の州都 Nashville のこと)にあって、ジャック・グリーンには一種のparadox (矛盾した事情)があります。 というのは、ある人のバンドのメンバーでありながらサイドマンとしてのイメージを超えてさらに featured performer として受け入れられる-というのは非常に困難なことだと思うからです。ところが、Jack Greene は常に優れた歌手である-と思われている例外的な人だと私は思います。彼はアーネスト・タブのバンドのドラマーとして在籍していますが、ミュージシャン(ドラマー)としてよりも歌手としての存在の方が際立っているのです。

アーネスト・タブのバンド The Texas Troubadours だけをフューチャーしたレコードの中で ジャックが歌った曲「The Last Letter」がすぐに注目されました。アメリカ中のディスクジョッキー達によって頻繁に取り上げられたのです。このことがあってからジャック・グリーンはソロシンガーとしてDeccaレコードと契約したのでした。

Jack Greene は近々カントリーミュージック界の大物の一人になることでしょう、まだレコードは少ないですがステージでの聴衆の反応からそう確信できます。そして、現に”There Goes My Everything”が初のビッグヒットとして大ブレイクしているのです。私はDecca レコードは---Jack Greene が将来きっとひとかどの歌手になることを確信してこのアルバムを出すことを決めたんだ---と思っています。

私が初めてジャックに会ったのは1961(昭和36)年で、ジョージア州 East Point 郊外にある ”The Dixie Jubilee”という土曜の夜のライブショーででした。その時彼はThe Cherokees というバンドを率いてドラムと歌を担当していました。彼はとても観衆に人気があってナッシュビルから招かれた大物歌手にひけをとらないくらい受けていましたので私は瞠目したものです。
多くのカントリー歌手と同じようにジャックも Country Music のメッカ Nashville でのショウビジネスで成功する望みをもっていました。ジャックは1962年の6月にアーネスト・タブのバンドのドラマーとして入団しました。バンドのリーダー格でタブの元で24年も play していたJack Drake (往年の名スティールギター奏者ピート・ドレイクの兄)に請われてのことでした。現在でもジャック・グリーンはアーネスト・タブの The Texas Troubadours に在籍していてタブの支援のもとにほとんどの Road Show でソロシンガーとしてフューチャーされています。

このアルバムでは今日の Contemporary country music の真髄を聴くことが出来ます そして、聴きながらデッカレコードのNew star 誕生にとってほんの始まりに過ぎないことを確信されることと思います。私は皆さんにJack Greene を紹介することができて大変光栄に思います。」・・・・・・・・と述べられています。
ジャックの活動は1975~6年頃まででそれ以降は自然に fade outしていったようですが1967年以来Grand Ole Opryのレギュラーメンバーで、現在でもオープリーを中心に歌っているようです

これは Jack Greene のデッカレコードでの初LPレコード(1966年)ですが、数年前あるLPセールスでジャケットのジャックの頭の上に穴を開けて廉価盤(500円)として売っていました。歌が上手いので女性コーラスが無い方がかえって映えたと思いますが ナッシュビルサウンド全盛時代のものだから仕方ないか・・・・・今の時代のCDの1/5位の値段だと思いますが、それでもレコードゆえか誰も興味を示さないような時代になっているのでしょうか・・・・・有難いような複雑な気持ちで買いましたが歌の上手い人です・・・・・。
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懐かしのカントリー&ウェスタン 116 [ ルーヴィン・ブラザーズ(1) ]

2009年06月11日 | つれづれに
The Louvin Brothers (1) 
米国盤 Hilltop Records JS-6036  Ira & Charles Louvin

(1)Too Late (2)I Don't Believe You Met My Baby (3)Nobody's Darlin' But Mine (4)Where Will You Build (5)Tennessee Waltz (6)I Cried After You Left (7)Hoping That You're Hoping (8)Take Me Back Into Your Heart (9)Here Today And Gone Tomorrow (10)In The Middle Of Nowhere


ルーヴィン・ブラザーズの歌を初めて聴いたのは「Alabama」という曲だった。単調だけれどきれいなメロディにのせたアラバマ州のお国自慢ソング。今の時代のカントリーシーンではとても時流には乗れそうもないサウンドです、でも何故か心洗われるような兄弟のデュエットソング・・・でした。
このレコードはキャピトルレコードの原盤を使った廉価盤で、「Alabama」は入っていませんが珍しく「テネシー・ワルツ」が入っています。生ギター、マンドリン、エレキギターだけの簡単な何ともいえないヒルビリーの香り豊かな「Tennessee Waltz」の趣きは決して他では得られないものと思っています(私感)。  裏に二人についての簡単な解説があります、調べたものを補足しながら訳して載せておきます・・・・・・・

「アメリカの Country Music の歴史の中には数多の兄弟グループがありました・・・・・Everly Brothers、 Delmore Brothers、Wilburn Brothers などで、このアイラ(1924~1966年 flat mandolin 担当)とチャーリー(1927年~現在 ギター担当)のルーヴィン・ブラザーズもそうです。 ルーヴィン兄弟には沢山の Country & Western ヒット曲がありましたが、とりわけ Sacred song(賛美歌などの宗教的な歌) の分野に優れた作品があって”Nearer My God To Thee”、”The Family Who Prays”、”The Weapon Of Prayer”といったLPアルバムは特筆に値するものです。

アラバマ州 Henegar 近郊の小さな農村で生まれ育った兄弟はごく若い頃から曲を作っては歌っておりました。第二次世界大戦に先立って軍隊に入る以前にテネシー州 Chatanooga でのタレントコンテスト優勝をきっかけにショウビジネスの世界に飛び込んでいったのでした。しかし、ささやかな成功でしかなかったので生活のためには農場での仕事と演奏活動を兼ねるといった状況が続いたのでした。

戦争が終わってしばらくして兄弟にビッグチャンスが訪れます、それはテネシー州 Knoxville にあるラジオ放送局 WNOX の”Mid Day Merry Go Round”という番組に”Smiling” Eddie Hill(1921~1994年テネシー出身 一時期兄弟とグループを組んでいたカントリー歌手。米国カントリー界ではそこそこ名前が通っていたようです) が契約をとりつけてくれて、弟のチャーリーが朝鮮戦争で兵役にとられるまで出演は続きました。

しかし、チャーリーが兵役を終えて帰ってきてからの事態は思わしいものでは有りませんでした。二人はメンフィスの郵便局に勤めながら合間にラジオショウに出演する・・・・・といった生活を続けます。  そんな中、1950年代中頃に Capitol レコードのプロデューサー Ken Nelson(1911~2008年ミネソタ州出身 Capitolレコードの名物プロデューサーで、同社所属の往年のカントリー歌手のほとんどのレコーディングに携わった人・・・・・2001年に Country Music Hall Of Fame に選ばれている) がたまたま兄弟が歌う sacred song を聴いて-誰が作ったのか・・・・・と尋ねたところ、それを作って歌っているのがまさに本人達であることを知って驚き、メンフィスまで出向いてキャピトルレコードと専属契約を結んでくれたのです。 以来、ルーヴィン ブラザーズはキャピトルから数多くの sacred 、Country & Western のLPレコードを出すようになったのでした。
ルーヴィン兄弟の成功は過去10年間に受けた数多の賞に表されています・・・・・

Billboard's "Favorite C & W Small Vocal Group (1958 and 1959)"
"Best Sacred Group" Trail Magazine (1958)
"Most Programmed Vocal Group" Cash Box Magazine (1957)

そして1956年にはその作曲能力の高さに対してBMIから2回表彰されてもいます。1955年にはGrand Ole Opry のレギュラーとして数多のスター達の仲間入りをし二人が解散するまで活動が続いています。 1966(昭和41)年 Ira Louvin はミズーリ州の郊外で自動車事故で亡くなりました。それは America's best loved country artists が受けた信じ難い悲劇の1ページともいえるものでした。」・・・・・・・とあります。

音的にはギター、マンドリンを演奏しながら兄弟の絶妙のデュエットソングのオンパレードなんですが、時にチェット・アトキンス風のエレキギター(チェット自身かも知れない)が入っています。有名曲は(1)Too Late、(3)Nobody's Darlin' But Mine、(5)Tennessee Waltzくらいですが十分にルーヴィンスタイルのカントリーを味わえるものになっています。バンジョーが入れば即ブルーグラスになりそうな曲や、語りを入れた曲などもあります、でもなんといっても「テネシー・ワルツ」が白眉です・・・・・数ある「テネシー・ワルツ」でも10指に入るほど特異的だと思います。  兄弟のレコードは個々にCD化されるとは考えにくく、20曲くらいのベスト集で十分に堪能出来ると思いますが「テネシー・ワルツ」は彼等のヒット曲ではないので入る機会がないかもしれません。あればぜひ一聴を・・・・・のお勧め曲です。
ルーヴィン ブラザーズは2001(平成13)年に Country Music Hall Of Fame に選ばれています。
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ジョージ・ジョーンズ ハンク・ウィリアムスを歌う

2009年06月01日 | ハンク・ウィリアムスを歌う
George Jones (2) 
米国盤 Mercury Records 822 646-1 George Jones salutes Hank Williams (原盤 SR-60257)

(1)Cold Cold Heart (2)Hey Good Lookin' (3)Howlin' At The Moon (4)There's Be No Teardrops Tonight (5)Half As Much (6)Jambalaya (On The Bayou) (7)Why Don't You Love Me (8)Honky Tonkin' (9)I Can't Help It (10)Settin' The Woods On Fire (省かれた曲は「Nobody's Lonesome For Me」 と 「Window Shopping」)


毎月1日のハンク・ウィリアムズ関連の第6弾はジョージ・ジョーンズです。
ジョージ・ジョーンズ(1931年~現在 テキサス州出身)は Mercury Records 時代(1959~1962年)と United Artist Records 時代(1962~1965年)とハンク・ウィリアムスを歌うLPレコードを2枚出していますが、私のこのレコードは2曲少なくてジャケットも変更されたマーキュリーレコード時代の再発売LPです。
ジョージはハンク・ウィリアムスよりも7才ほど後輩ですが2枚も Hank Williams を歌うレコードを出しているところをみると 若い頃いかにハンクに傾倒していたかが判って何だか微笑ましい感じがします。
このアルバムではやや粗っぽいスティール ギター、フィドル(バイオリン)、ホンキートンクピアノを目いっぱいフューチャーして 聴いている方が恥ずかしくなるくらいの典型的純カントリースタイルで通していて もう元気いっぱいに歌い飛ばしている・・・・・・という風です。その頃のジョージのバンドは The Jones Boys というんですが録音もそうなのかは不明?
ある曲があって、自分ではこんな風に進行して欲しいな・・・・・とイメージを描けるような場合がありますが(例えば、ここでスティールギターがは入って、このサビのところではフィドル(バイオリン)、ここではピアノ演奏があると映えるだろうなあ・・・・といったイメージ)、このアルバムではジョージはことごとくその通りにやってくれている印象です。    ハンク自身の曲ではスティールギターのサウンドに特徴があってHank Williams Sound ともいえる雰囲気があるのですが、ここでのジョージはそれとは違って独自の George Jones Style で通しています( 曲のほうはハンク・ウィリアムスの有名曲ばかり)。 
まあとにかく気合と魂が入り走っていて唾きでも飛んできそうな元気よさです(smile)・・・・・・・でも、こんなのを聴いても若い頃のジョージ・ジョーンズて何となく憎めない可愛げがあって(髪型もGIカットの刈り上げだし)、思わず smile してしまいます。

ところで、この再発売レコードの解説をエルビス・コステロ(1954年イギリス生まれのロック、パンクロック歌手)が書いています・・・・・・僕はこの人についてはほとんど知りませんが面白そうなので補足を加えながらその訳を載せておきます。

「ハンク・ウィリアムスの歌を作る力量を実感するにはAl Green(1946年~現在 アーカンソー州出身の黒人シンガーでリズム&ブルース、ゴスペル、ソウルを歌う人らしいですが、私は全く知らなくてどの辺にハンクとの歌の接点があるのかも判りません) や Jerry Lee Lewis(1935年~現在 ロカビリー、カントリー歌手で ハンクの曲は若い頃からたくさん歌っている ) がレコーディングしたものを聴くのがよいでしょう。ハンク・ウィリアムスの heart and soul を残しながらも二人の歌手のそれぞれの個性で完璧なまでにre-fashioned されているものですから。 
このアルバムのタイトルはそれだけで強力な企画そのものといえます、つまり 最高のカントリー歌手(George Jones)が最高のソングライター(Hank Williams)に出会ったものという意味で。 またハンクが作った歌へ-と同じくらい歌手としてのハンクに敬意を払っている-ということにも注目すべきです。 一方、バンドの方はオリジナルの演奏、アレンジに実に忠実に従っているようです・・・・・”Setting The Woods On Fire(森に火をつけて)”に聴かれる wild walking bass などは注目すべきものです。 また、ジョージ・ジョーンズのファンにとってはいつものジョージ節とは違った歌い方に接する珍しい機会です。長く伸ばしながら高音で泣き叫ぶような歌い方と低い音でのドラマチックに震わせるように歌うやり方は はじめはいつもながらのジョーンズ節・・・・に聴こえるかもしれませんが親しみやすいものではあります・・・・それも出し抜けに出てくるのらりくらり型ジョーンズ節ですから。 風変わりで息を呑むほどのblue noteの多用、間の取り方、目がくらむほどの音の氾濫、もう一度いいますがこうしたやり方はジョージ・ジョーンズの財産でもあるといえるでしょう。
彼がオリジナルスタイル(彼なりの純カントリースタイル・・・のことを指しているんだと思います)をいつまでも維持し続けていると 聴いている人達は何か新しいジョーンズ節(スタイル)を待ち望んでイライラすることがありますが、そんな人はちょっと ”Honky Tonkin' ”の最後の verse をプレイするやり方を聴いてごらんなさい・・・・・(途中省略)・・・・・・・・”There's Be No Teardrops Tonight(今夜は涙なんか見せないぞ)”と”I Can't Help It(どうにも出来ない)”では真に説得力のある悲劇性をジョージが表現しています・・・・・ハンク・ウィリアムスのレコーディングの中で表わされていたloneliness(孤独な寂しさ)という救い難い悲しみの境地はジョージだけが理解し、それを表現できるといえるかもしれません。

アップテンポの曲では偉大な rock'n'roll singer としての”Thumper Jones”を聴くことが出来ます(ジョージの ghost と表現してあります。彼はロックンロールを歌う時にそう名乗っていたらしいのですが、僕は過去のレコードなどでそのような表現をしたものを全く見たことが有りません)。  ここでは本来のジョージのサウンドとは違った”Hey Good Lookin'”がそれに当たると私は思っています。

さて、このアルバムは20年以上前のものですが、ハンクのオリジナルに比べても時代遅れというようなものではありません。唯一の欠点は続編がないと言うことです・・・・・私はジョージ・ジョーンズの究極のシングル盤と云われている ”I'll Never Get Out Of This World Alive "( B面は ”Too Many Parties And Too Many Pals”)を切望しています・・・・・まだ時間がありますから期待しましょう。」・・・・・・・とのこと。

エルヴィス・コステロはジョージ・ジョーンズのファンなのか、アル中でどん底状態にあったジョージの再起を願ってウィリー・ネルソン、ウェイロン・ジェニングス、リンダ・ロンシュタット、エミルー・ハリス達が集まって1978(昭和)年に作られたジョージ・ジョーンズの「My Very Special Guests」(Epic Records JE-35544) にも参加して1曲歌っていました。

尚、このアルバム(salutes Hank Williams)がCDになっているのか判りません・・・・・私は見たことがありません。
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