今と違ってレコード各社にサウンドにしてもLPジャケットデザインにしてもそれぞれ特徴があって「 キャピトル・カントリー 」とか「 コロンビア・カントリー 」、「 マ-キュリー・カントリー 」 とか呼べるほどの特異性を持っていましたので好みに合わせて選ぶことが出来たのも安心感があったように思います。
それは各社に名物プロデューサーがいてその人達が歌手の個性を尊重した音作りをしていたからだと思っています。 例えば往年の Columbia レコードにはキラ星のごとくカントリー・スター歌手がいましたが( Marty Robbins、Ray Price、Lefty Frizzell、Stonewall Jackson、”Little”Jimmy Dickens、Billy Walker、George Morgan、Carl Smith、Claude King、Carl Butler、Johnny Horton、Jimmy Dean、Johnny Cash ほか )どれをとっても見事なほど一つとして同じサウンドは無くて、しかもこれがコロンビア・カントリーだ・・・・・という特徴を示しているんですからこれはもう Don Law という名プロデューサーの手腕の成せる業ではなかったか・・・・こんなことが他の各社にもいえたのではないか・・・・と思っています。こうした時代に僕が一番お世話になったのは「 Hilltop レコード 」というもので、不思議なことにレーベルを超えて色々な歌手を買うことが出来ました。九州の田舎に住んでいても何とかレコードを安く買えないか思案していた頃、当時購読していた日本の「 COUNTRY & WESTERN誌 」 にアメリカのレコード店の広告が載っていたので手紙を出したところカタログが送ってきて、その中の中古コーナーから1枚2~3ドルの Hilltop レコードLPを20~30枚まとめ買いしたことがあります。船便で3ヶ月位かかって送られてきたレコードの小包、嬉しかったです・・・・・封を切るとアメリカのにおいがしました。誇張でも何でもなくてホントにそうでした・・・・・「 Thank You For Your Loving Our Type Of Music 」とメモが入っていて5枚のLPをおまけにつけてくれたのも嬉しいものでした。 日本で買ったらおそらく3~4倍くらいの値段はしたと思います。その後も同じようなことを繰り返してもっと安くて怪しげなレーベルの「 Diplomat 」とか「 Guest Star」 とか「 Design 」などというカントリーLPレコードも買ってみたりしたのでした。そうしたレコードは材質も粗く、 中袋なんかなくてレコードが裸のままポンと入っているだけで解説もなし・・・・・・でもしっかりとアメリカの Country & Western の匂いがするんですね、ジャケットもそれらしくて( smile )。
日本はレコードは貴重品だけど、アメリカは消耗品と考えているんだな・・・・と感じたのもこの頃です。 いずれにしろどれも思い出の詰まったものなのでCDの時代になってもとても手放す気になれないでいます・・・・レコードが好きだからきっとこれからも。