西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

ブルーグラス 4 ( ビル・モンロー 1 )

2011年05月16日 | ブルーグラス音楽
 Bill Monroe (1)
日本盤 ビクター MCA-6053 Bluegrass Ramble / Bill Monroe And His Blue Grass Boys (原盤は米 Decca Records)


(1)Little Maggie (2)Bugle Call Rag (3)Toy Heart (4)I'm Going Back To Old Kentucky (5)Live And Let Live (6)Nine Pound Hammer (7)Cotton Fields (8)John Hardy (9)Shady Grove (10)Danny Boy (11)Journey's End (12)Old Joe Clark


私はブルーグラスも好きで時々聴きます・・・・・それも第1~2世代といわれる人達くらいまでが主で、持っているレコードもほとんどがそこまで・・・それ以降はどれも同じという印象なのでほとんど持っていません。第2世代(Country Gentlemen など)くらいまではサウンドに緊迫感とか必死さみたいな趣きがあってそれがブルーグラスのよさにつながっている感じを受けるのです。現在この世代の昔のTVショウなどの残された映像( 特に Lester Flatt & Earl Scruggs with The Foggy Mountain Boys )を見ると もうそこにとどめを刺す・・・・・みたいなところをいっそう強く感じます。

今日のビル・モンロー( 1911~1996年ケンタッキー州出身 )はフラット&スクラッグスの師匠にあたる人ですからもう言わずと知れた ”ブルーグラスの父 ” ですね・・・・・今回は Bill Monroe の数あるアルバムの中で私が個人的に一番好きなジャケットだ-ということで採りあげました(中身はまた別ですけど)。 どうでしょうこのジャケット、色合いのセンスのよさに flat mandolin (クラッシックで使うマンドリンは底が丸いですがカントリー&ブルーグラスでは立って演奏できるように底が平ら=flat なんですね)を抱えてスーツでビシッときめたビルの雄姿・・・・・ビル・モンローは服装にとてもこだわりますね、決してラフな格好ではステージに立たなかったですし バンドのメンバーにもそれを求めていました。こうしたことはブルーグラスの第1世代(昔のカントリー歌手もそうですけど)に共通のことで、プロフェッショナルとして昔はビジュアル面でも厳しかったというべきなんでしょうね。ヒルビリーミュージックの流れになるので 「 Hillbilly という言葉にはややさげすみの意味も含まれているので、昔はその畑の人達は馬鹿にされないように服装をきちっとして演奏するようにしたものです 」・・・・とミュージシャン自身が語っていたのを何かの本で読んだことがあります。今はスーツにネクタイ姿のプロのプレーヤー(カントリー歌手なんか特に)なんかゼロに等しいですから進歩した(??)といっていいんでしょうか・・・・よく分かりません?

さてこのレコードにはけっこう有名な曲が入っていて ビルがどんな風に演っているのか興味深々というところがあります。(6)”9ポンドのハンマー”は 「懐かしのカントリー 」 ではマール・トラヴィスとかテックス・ウィリアムスの歌で、(7)”コットン・フィールズ ”はポーター・ワゴナーやバック・オウエンズで・・・・・といった具合に往年のカントリー歌手の歌で聞き覚えが多いのですが、2曲とも古くからの曲なのでジャンルを問わず多くの歌手やグループにカバーされているようです。 ここで何といっても珍しいのは ビルがかの名曲 ”ダニー・ボーイ ”を歌っていることでしょう・・・・・エルビス・プレスリーの歌の他 カントリー畑では正調カントリーの雄だったレイ・プライスがポップスへのイメージ・チェンジをはかったきっかけの曲としても認識されていました。” Oh Danny Boy ,the pipes the pipes are calling~ ” と坦々と歌うビルの歌は決して上手いとはいえませんが ブルーグラスという究極の Country Style で聴くと(特に何回も聴いてみると)ビルの唄がなんだか微笑ましい気分にもなってきます。 まさかエルビス・プレスリーの歌う ”Danny Boy ” に刺激されて採りあげた・・・・・なんてことはないんでしょうけど、でも分かりません・・・・ビルの名曲 ”Blue Moon Of Kentucky(ケンタッキーの青い月)” をプレスリーが独自のロカビリースタイルで歌ったものを聴いたからか知りませんが ビル自身その曲を再録音の時に後半をアップテンポにしたのなんかはやはり当時の風雲児(プレスリーのこと)の影響をしっかりと受けた・・・・とみていいのかな(?)と思います。

(3)Toy Heart と(4)I'm Going Back To Old Kentucky はこれ以前に Columbia Records 時代に録音したものがあって個人的にはそちらの方がずっといいと思っています(雰囲気という点で優れていると思う)。 往年のカントリー歌手のカール・スミスが歌った(5)”Live And Let Live ”やアーネスト・タブが歌った ”Journey's End ”は私的には雰囲気という点でカントリーの方に軍配・・・・・(私の個人的意見ですが)Bill Monroe は歌唱力がある方とはいえないし、声のキーが高くてとても無理して歌っている感じがして聴いていて疲れる-というのが正直のところです。

(2)Bugle Call Rag、(8)John Hardy、(12)Old Joe Clark の3曲はアップテンポのインスト(楽器演奏だけの曲)で まあすごいことすごいこと-玉を転がすようなバンジョーに 火の出るようなビルのマンドリンの早弾きと切れ込みの鋭いフィドル(カントリースタイルのバイオリン)で圧倒的な迫力です。 ブルーグラスでは楽器演奏テクニックが優れていることは当たり前のこととみなされているのでこんなのは朝めし前なんでしょうね・・・・・というわけで久し振りに全曲通しで聴いてみたこのアルバムの印象は 「 素晴しいけれど全体にせわしくて疲れる 」・・・・・でした。
でも ”ダニー・ボーイ ”はよかった、それにやはりレコードジャケットがいいな-・・・・・ビル・モンローさんすみません

単品のCDになっているかは判りません。
ビル・モンローは1970(昭和45)年に Country Music Hall Of Fame に選ばれています。
コメント (2)
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西部劇の本 ( 西部劇の大地を往く )

2011年05月07日 | 西部劇の本
  
アリゾナ、ユタ 西部劇の大地を往く 

著者:原川順男  市田印刷出版 2011(平成23)年3月30日 発行 1905円(週刊誌サイズ)
 

西部劇の好きな人や往年の西部劇映画の名作をたくさん作ったジョン・フォード監督について興味を持っている人にとってはとても嬉しい本が出版されました。 この本はすごい!!・・・・・過去に西部劇に関する本はたくさん出されていましたが この本のすごいところは著者の原川さんとその友人の方達がかつての名作西部劇が撮影されたロケ地を数回にわたって実際に訪れて 現在そこがどうなっているかを間近に見て映画のシーンとそっくり同じシーンの今をカメラに収めたものが対比して載っているということです( ロケ地リサーチ・・・という形で掲載されている )。 例えば「荒野の決闘」のラストシーン(写真)・・・・・柵の横に佇むクレメンタイン(キャシー・ダウンズ)にワイアット・アープ(ヘンリー・フォンダ)が ”クレメンタインという名前が好きです ” と言って別れを告げて荒野の彼方の1本道を去っていく印象的なシーンがありますが、その場面の今の風景写真が載っているという訳です・・・・・こんなシーンが他の西部劇についても満載されています。西部劇に出ていた風景を訪ね求めて同じアングルで写真に撮る-というのですから大変な労力と費用がかかっているはずで、著者の原川さんの西部劇に対する並々ならぬ情熱が伝わってくるものになっています。
 
実はこの本、原川さんが2010(平成22)年11月に一度自費出版( 500部ほど )されているんですね(右の写真)、これが好評で あっという間になくなったとのことで今回より多くの人に見てもらえるようにきれいなカバーと帯をつけて大手書店( ジュンク堂、丸善ほか )で買えるような形で再出版されたんだそうです。  目次から

・Part 1 モニュメント・ヴァレー(アリゾナ&ユタ州)・・・・・「駅馬車」「荒野の決闘」「アパッチ砦」「黄色いリボン」「捜索者」「バッファロー大隊」「シャイアン」
・Part 2 モアブ(ユタ州)・・・・・「幌馬車」「リオ・グランデの砦」「シャイアン」「コマンチェロ」「アパッチの怒り」「血と怒りの河」
・Part 3 セドナ&プレスコット(アリゾナ州)・・・・・「折れた矢」「襲われた幌馬車」「銅の谷」「高原児」「ジュニア・ボナー」
・Part 4 ケイン・カウンティ(ユタ州)・・・・・ 「荒野の3軍曹」「西部の王者」「マッケンナの黄金」「女群西部へ」「ミズーリ大平原」「アウトロー」
・巻末特集ジョン・フォードの足跡をたどる
Tale 1 フォード一家は酒飲み揃い
Tale 2 フォード映画かく作られき
Tale 3 フォードかく語り、語られき
Tale 4 フォード、AFI功労賞に輝く
Tale 5 フォード最後の日々
Tale 6 ドキュメンタリーで甦るフォード 

西部劇いまいずこ・・・あとがきに代えて

以上のような構成になっています。 各映画のロケ地写真のほか、ジョン・フォード一家銘銘録、日本公開時の映画ポスターもたくさん載っていて楽しいものになっています。 西部劇映画ファンにとっては 古くからの人にもこれからファンに-という若い人達にもぜひ薦めたい本です。
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つれづれに(バーボン・ウィスキー J.W. Dant)

2011年05月05日 | 味のある酒
       バーボン・ウィスキー J.W.ダント

生まれて初めて飲んだバーボン・ウィスキーが ”アーリータイムズ ” だったのでいまでも一番に飲むのはこれ。1987(昭和62)年頃に「ザ・バーボン」( 徳間書店発行 )という Mook 本があって Part1~5までシリーズで5巻出た。 色々な銘柄のバーボンウィスキーの紹介のほかジャズ、カントリー音楽やバーボンにまつわるアメリカの歴史( 酔いどれアメリカ史なんて記事があったりする )、映画、紀行やバーボンを飲ませてくれるお店など紹介のほか日本のいろんな分野で活躍する著名な人達のバーボン・ウィスキーをからめての談話( バーボン好きの女性もたくさん登場 )などが載った面白い企画本だった。今の時代にも ”こんな本あるといいな ”的で・・・・・第一線で活躍する人達を起用して出て欲しいな-と感じさせるものです。 バーボンの宣伝文句の中に ”今夜はどれを試そうかー ” とか ”アメリカはまだこんなバーボンを隠していた ” なんていうのがあったので折りにつけアーリータイムズだけでなくて他の銘柄を飲んでみる。先日行った酒屋さんにこの「 J.W.Dant 」があったのでアーリータイムズを買わずにこれにした・・・・・・・”Kentucky Straight Bourbon Whiskey / The original J.W. Dant brand, in use for over 135 years, is made from home grown grains, stored in white oak barrels, cut from the finest trees, and laid away to mature in racked warehouses, where time and sunshine are its only aids. ” とラベルに書いてある。アルコール分40%なのですきっ腹に飲むとすぐ酔いそうだ(肴はいつもメザシ)・・・・・アーリータイムズよりは少し辛めのよう( 隣は口直しによく飲む長崎県 壱岐島産の麦焼酎「壱岐」)。
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カウボーイソング 37(ジミー・ウェイクリー 3)

2011年05月01日 | カウボーイ・ソング
 Jimmy Wakely (3)
米国盤 Shasta Records-522  In Person / Jimmy Wakely The Singing Cowboy 


(1)I'm An Old Cowhand (2)Tumbling Tumbleweeds (さまよう枯れ葉) (3)Song Of The Sierras (4)Empty Saddles (5)Blue Shadows On The Trail (6)When The Bloom Is On The Sage (7)Lonely Is The Hunter (8)The Yellow Rose Of Texas (テキサスの黄色いバラ) (9)It's A Lonely Trail (10)There's A Goldmine In The Sky (11)The Last Roundup (12)Call Of The Canyon (13)Saddle Pals (14)Cowboy's Prayer


ジミー・ウェイクリー(1914~1982年 アーカンソー州出身 )はアメリカでは歌うカウボーイ(Singing Cowboy)として1930年代から有名だった人で、その後カントリー&ウェスタン歌手としても大成しました。このアルバムはジミー自身が設立したシャスタレコード社というところから出されたLPレコードで、昔ジミーが出演した B-Western 映画の中で歌われた(?)歌等を再録して収めた内容になっているものです。この ” Singing Cowboy ” という概念が日本では全くといっていいほどに欠落しているので 同じような出身の歌手であったジーン・オートリーやロイ・ロジャース、エディ・ディーンといった人達がかつてのアメリカでものすごい人気だったのに比べて日本ではほとんど話題にのぼらない-というところがあります。 

日本で西部劇映画が全盛だった頃でも B-Western というのはアメリカ本土でしか放映されないような映画だったようなので Gene Autry 、Roy Rogers 、Tex Ritter 等の人達がどんな西部劇に出てどんな唄を歌っていたのか・・・・・は(一部を除いて)今日に至るまでほとんど知られないままになっているんですね。 B-Western のイメージとしてはジョン・ウェインの「駅馬車」以前の西部劇・・・・・私のブログでも採りあげているジョン・ウェイン西部劇 「 ユタから来た男 」とか「 パラダイス・キャニオン 」、「 西部地獄街 」 などがそれに近いのではと思います。「ユタから来た男」では初めに馬上でギターを弾きながら歌うジョン・ウェインが登場します(写真)・・・・・ウェイン自身は Singing Cowboy はどうも嫌だったらしく歌は他の人の吹き替えらしいのですが。でも後年になってその時代が懐かしかったのか Singing Cowboy のアルバムに登場したりしています(以前載せたを参照してください)。
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