Moon Mullican (1)
米国盤 Hilltop Records JS-6033 Good Times Gonna Roll Again
(11)Good Times Gonna Roll Again (2)Louisian (3)Bottom Of The Glass (4)Maple Leaf Rag (5)Sweeter Than The Flowers (6)Jole Blon (7)Farewell (8)Ain't Nothin' Like Lovin' (9)Wabash Cannonball (10)I'll Sail My Ship Alone
" The King Of The Hillbilly Piano Players " として知られたムーン・マリカン(1909~1967年テキサス州出身 )をはじめて聴いたのは何かの深夜ラジオ番組で「 Wabash Cannonball 」という曲でした。鼻に抜けるようなややハスキーな声でピアノを弾きながら軽快に歌う心地よい曲は典型的な昔のカントリーです( ラジオの深夜放送をよく聴いていた1972=昭和47年頃にそう感じたので今では大昔ということになりそうですが・・・)。あまりクセのない耳に心地よく入ってくるムーンの唄はしっかりと記憶に残って後年アメリカ盤レコードを買うきっかけになったのでした。
これは Hilltop というレーベルの廉価盤で2ドルくらいで買った中古レコードですが、ムーンの特徴がよく出ているものです。補足を加えながら裏の解説を少し訳してみると・・・
「 ムーン・マリカンはテキサスに生まれ育ち、子供の頃に農場で働く黒人小作人たちがギターを爪弾きながら歌う Blues を聴きながら音楽に傾倒していった。8才の時に父親が買ってきたオルガンを習い覚えてムーン独自の two-finger right hand style と呼ばれる奏法に発展させていったのでした。初めの頃は小さな教会などで弾いていましたが、やがてブルースを弾いたりダンスの伴奏をつけたりするようになり、さらには音楽的に色々な試み( ウェスタン・スイングなど )をするように成長していったのでした。16才の時にテキサス州ヒューストンに出てオールナイトのピアノ奏者として経験を積んでいきましたが、すぐに独自のムーン・マリカン スタイルを確立していったのでした。
ここに聴かれるような ” Jole Blon ”、” I'll Sail My Ship Alone ”、” Sweeter Than The Flower ”等のヒットによって全国に知られるようになり、やがては Grand Ole Opry (テネシー州のナッシュヴィルで古くからある Country Music Show )のレギュラーにもなったのです。色々なカントリー歌手に望まれてピアノ演奏、レコーディングにも参加しています・・・・pumping and driving ragtime style of piano で弾き語りをするムーン・マリカンの興奮とショウマンシップをお楽しみください・・・・」 みたいなことが書いてあります。
(3)Bottom Of The Glass、(5)Sweeter Than The Flowers、(6)Jole Blon、(9)Wabash Cannonball、(10)I'll Sail My Ship Alone はピアノ、フィドル、スティールギター、エレキギターが入れ替わり立ち代り活躍する典型的な昔スタイルのカントリーでムーンの歌声が柔らかいので嫌味なく楽しめます。フィドルは切れ目なく弾くケイジャン・スタイルが多くてこれがとてもムーンの曲にマッチしているように思います。
(2)Louisian、(4)Maple Leaf Rag、(7)Farewell がピアノ演奏を中心にしたインスト曲でスローだったりピンピコはねるようなホンキートンクピアノであったりでバラエティーに富んでいます。(8)Ain't Nothin' Like Lovin' は軽快なロカビリー風リズムに乗って弾き歌うムーン・・・ジェリー・リー・ルイスもこうしたスタイルに影響されたのかも知れない・・・と思わせる曲。
まあ昔のカントリー歌手はほんとに自分のスタイルをしっかり持っていましたね・・・と感じます。ムーンのCDは Boogie に焦点を合わせたような何だかマニアックなものが出ているようですが・・・僕はホッとして聴けるようなカントリー曲( ここで聴かれるのは Starday Records 社時代の録音と思います )がいいなあと思います