西部劇「男の出発(たびだち)」
1972(昭和47)年 20世紀Fox映画 監督ディック・リチャード
1972(昭和47)年公開の、この映画ももう50年以上前の作品になるんだ……ニューシネマ(当時の表現で)といえる西部劇だった。私は直接映画館では見なかった( 自分のこれから先の進路について悩み、苦闘していた時代だったのが大きい🤣)、ビデオで発売されて初めて見て感激して映画館で見なかったことを後悔した。その後DVDにもなってからもう一回見た。久しぶりに見るととても良い作品だと再認識したものだ。パンフレットは後年になって Book Off で100円で買った。
ビデオ版(下の左写真、右はチラシ)の解説をかりると「南北戦争が終わった直後のテキサスのある村、16才の少年ベン(ゲーリー・グライムス)はカウボーイに憧れてフランク・カルペッパー(ビリー”グリーン”ブッシュ)をボスとするカウボーイの一団とテキサスからコロラドまでの牛輸送の旅に出た、役割はコックの見習い。苦難の旅の中で冷徹なカウボーイ達が垣間見せる優しさと勇気に触れながら少年は男の世界を身をもって体験してゆく・・・夕陽に映える西部の大地、牛の暴走、家畜泥棒達や邪悪な土地所有者との壮絶なガン・プレイと西部劇の醍醐味を描くにとどまらず、力と力の対決の虚しさ、現実の大人の世界の厳しさを多感な少年の目を通して描いた叙情的なニューウェスタン」……ということになります。
アメリカ西部で生きていくことの厳しさが現実味を帯びた徹底したリアリズムで描写されており、最後に見せるベン少年の涙にはジーンとさせられる感動があります。従来からの西部劇とは一味も二味も違う感覚を味わいました。私が知っている俳優さんはほとんどいませんでしたが皆んないい味を出しています。とてもいい映画だ、私はとても気に入っています。超秀作だと思う。
*コック(レイモンド・ガス)はベンにカウボーイなんかになるもんじゃないぞ・・・と忠告をします。それでもついていくベン。
*ベンはキャトル・ドライブの間に身をもってカウボーイ達の仕事のハードさ、安い給料にまずい食事、牛泥棒や馬泥棒との対決で死んでいく仲間たち、そして自らも追いはぎに遭遇して銃も馬も奪われる・・・といった経験をする。
*最後には現実の厳しさにカウボーイ生活への夢が虚しく潰え去り涙と共に故郷へと帰っていくベン😢
私的には多くの人に是非見てほしい西部劇……場合によっては西部劇映画への見方そのものが変わるかも知れない
4/29の記事につきしばらくしたら元に戻す予定です
冒頭、主人公がカウボーイたちのもとへいったとき、何かにつまずきます。義足でした。この義足のカウボーイを演じたのがボブ・モーガン。この人、古くからのスタント・マン兼俳優。「西部開拓史」での列車強盗のエピソードで、片足を無くす大怪我をしたのですが見事にカムバックしました。馬にも乗っていたのでした!
そうなんですね、義足のカウボーイが出て来るのも驚きですが、ハードな仕事なのであり得ない話ではないですね。スタンピードで亡くなりますが、牛の暴走は相当危険なものでカウボーイ達が恐れた事態だったようです。”赤い河” の中でも女房に赤い靴を買ってやるんだ・・・と自慢していたカウボーイが牛の暴走で死ぬエピソードがありましたね。