銚子・角巳之・三代目

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秋の夜長にて

2007年11月10日 | 日記・エッセイ・コラム

Img_1927_2 風の強い日が多いです。ススキの穂が揺れながら、しかしそれでも踏ん張っているように見える。疾風に勁草を知る。無風状態では何も分からないけれど、強い風が吹けば本質が見える。強風、逆風も視点を変えれば、そんな発見に満ちております。人の強さ、弱さ、その表裏一体を大いに考える1週間でありました。こんな精神状態で藤沢周平さんあたりの歴史小説を読むと心に染みて参ります。秋(初冬)の夜長、全国の銘酒が揃う銚子のT酒店で購入した芋焼酎を飲みながら、机に向かうと、かつて見たり、聞いたり、感じたりした事が、歴史小説の舞台と勝手にダブって見えてくる。自分の勝手な想像ながら、イメージはどんどん膨らんで、また新たな活力が湧いて参ります。結局人間は、何かを演じながら日常を過ごす....。何処までが演技で、どこまでが本心か。上手く演じようと思ったところが、どこかでボロが出てくるけれど、それが故に人間なのよ。とどこかから声が聞こえて参ります。まあ、柄にも無い事ですが、これまた“秋(暦では初冬ですが)”という季節がそう思わせるんでしょう...。さて、北方水滸伝を全巻読破したのですが、数ヶ月経た後、いまだその余韻から醒めません。志を立て、中国全土から108人の“つわもの”が集って来ます。恐ろしく強い面々なのに、情け無いほど弱い一面を併せ持つ。強さと弱さの表裏一体。そのアンバランスの中に、人間臭さを感じます。故に感情移入が甚だしく、読み始めると止まらなくなる...。現代はむしろ人間性を排除して、パソコンだ、携帯だ、メールだと、人間臭い側面がややもすれば排除されかねないような時代なのかもしれません。大きく、広く、浅く、薄く....生きていた方が賢いのかも。ただその“反作用”が起きていることも事実。小さく、狭く、深く、濃く、...。写真は犬吠埼の崖に群生するススキ...。見渡せば・花も紅葉もなかりけり・浦のとまやの・秋の夕暮れ(藤原定家)。漁師小屋の海岸の風景を眺めると、そこには花も紅葉もないけれど、しみじみと秋を感じる...。ふとそんな詩が頭を過ぎります....。