風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「緋の河」

2024-06-04 | 読書

桜木紫乃さんの作品は作家買いしてきた。
「情念の作家」と言われるけれど、実はハードボイルドだと思う。
クールで、極めて冷酷に登場人物の心情を描く。
それでいて底辺には温かい目を持つ。
不思議な作家。

本書を買ったのは作家買いということと帯のコピーによる。
実は全く内容について知らずに読み始めた。
実は世に出たトランスジェンダーのはしりとして知られる
カルーセル麻紀の人生を小説化した物語だった。
子ども時代から世に知られるまでの壮絶な人生の中で
徐々に感じられていく母親の慈愛。
彼女の評伝というより、家族の物語なんだなぁ。
語るべき言葉もなく読み終えた後は
心の中に温かいものを感じた。

「緋の河」桜木紫乃:著 新潮文庫

 
コメント
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