風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「真説 日本の左翼史」

2021-07-29 | 読書

新聞の報告で見て購入。
初刷が今年6月20日、二刷が7月2日なのに
花巻市内の書店2店舗で見つけられず、3店舗目でようやく購入。
売れたのかな?それとも意図的に置いてないだけかな?

池上彰さんと佐藤優さんの対談だが、お2人の知識の豊富さに驚愕。
ここまで知ってないとジャーナリストは務まらないんだねぇ。
私もかなり知っている方だと思っていたけれど
(左翼に限らず、近代〜現代の政治史や思想史などについて)
知らない事実や誤解も多々あった。
現代の共産党をはじめとして、本来社会主義を標榜する政治組織は
あくまで「鉄の結束」が大原則で個人より組織の論理が優先。
だから巷間言われるような「左翼=リベラル(自由主義)」は間違い。
まるで正反対の概念だというのだ。
なるほど言われてみれば確かにそうだ。
どちらかというと自由主義は資本主義に通じる。
どうやら「左翼陣営の中でも比較的締め付けがゆるい旧社会党系」を
「(左翼の中では)リベラル」と呼んでいた由。
それなら理解できる。
だから内ゲバで自滅した新左翼の組織は
「鉄の結束」を強いられる共産党ではなく社会党系から派生とのこと。

また今の政権の薄路建と言われる日本会議は
右派社会党→民主社会党から生まれ出たという説にも驚き。
当時の右派社会党は今の自民党より右寄りだったというのだ。
ということは日本会議の元となった生長の家も?

スターリン路線、毛沢東路線を継承して
昭和20年代に武力革命を目指した共産党は、
どうやら今もそれを懐に持ち続けているという話も。
私は右、左に関わらず、全体主義的なものや
かつての新左翼のように目的のためなら手段を選ばないという
誰かを犠牲にして目的を達する考え方には与しないので
戦前の翼賛体制など全体主義的なものには距離をおきたいと考える。

イデオロギーは別として
組織的にはインテリが中心となり理論で物事を進めようとしていた
左派社会党みたいな組織を推したい。
残念ながら、以前から私が感じていたように
対談のお2人も労組の役員の上がり職としての議員が増え
それが原因で社会党が弱体化していったとの認識だった。
(それと選挙制度改革がとどめになったかな)

本書は日本の近、現代史の1側面として右の人たちにも読んでほしい。
こういう学びがないから「パヨク」や「反日」などという
およそ議論にもならない低俗な捨て台詞しか出てこない。
もちろん左の人たちも読むべきだ。
何が正しく、何が間違っているのか、歴史に学ぼう。

「真説 日本の左翼史」池上彰・佐藤優 講談社現代新書
コメント
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