風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

別れ

2018-06-13 | 風屋日記
ここのところ、花巻市内では立て続けに
老舗や有名店での訃報が相次いだ。
まずは人気イタリアンの店コッコロの奥様の急逝。
家人が幼稚園の保護者として知っており、
何度か夫婦で行った店だった。
また老舗ラーメン屋の高権さんのご主人も突然。
ここの名物「権メン(ごんめん)」は
花巻三大ラーメンのひとつと思っていたので
これまた残念で仕方ない。
ところが訃報はそれだけで終わらなかった。

かつてシンガーソングライターだった
森田童子さんが亡くなったとの報道を見た。
高校時代から大学時代にかけて
突くだけで破れてしまいそうなほど繊細な歌と声。
感性や匂いまで感じられるような独特のベールに包まれて
外の世界との間がカーテンで仕切られる思いをしながら
ひとりしんみりと聴く曲ばかりだった。
まだ若かった自分の柔らかい心に
森田さんの冷たい空気のような感性が流れ込んできて
ヒヤリと感じ、凍えた。
熱心なファンというにはあまりにもズボラだったけれど
少なくとも特別な存在のひとりであったことは確かだ。
どこか寂しい。
合掌。

そして昨日は新聞の慶弔欄で
若いころ、それこそ20代前半の就職したて
まだ何もわかっていないころに大変お世話になり、
ご迷惑もたくさんおかけした方の訃報が。
右も左も分からないくせにやたら生意気だったころは
ずいぶんぶつかったし、屁理屈も並べた。
それでも無謀な私をニコニコ後ろから見ていてくれた
懐の大きな方だった。
当時はぶつかっても簡単に跳ね返されるような
ずいぶん上の大人に見えていたけれど
享年を見ると私より10歳ほど上。
当時はまだ30代前半だったんだねぇ。
特別に目をかけていただいていたんだと今になって思う。
直接お世話になったのはほんの半年間だけ。
入社半年後に突然の抜擢で異動を申し渡された時には
「もう私は必要ないのか」と食ってかかったことを
35年経って苦笑いで思い出す。
その後もことあるごとに声をかけてくれていた。
30歳で転職してからも、会うたびに笑顔を接してくれたっけ。
あんな大人になりたいと思ったものだ。
最後にお目にかかってからもう20年以上になるだろうか。
当時は気づかなかったご恩をお返しできないまま
もうお会いできないかと思うと寂しい。
(当時の)須藤課長、ありがとうございました。
コメント (2)
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