最近よくテレビで見かける芥川賞作家の
あえて受賞作じゃない作品を文庫で読んでみた。
なるほど心理描写がけっこうリアル。
ハラハラドキドキもする。
・・・がしかし、ふと我に帰ると
「なんで自分はこういうシチュエーションにハラハラしてるのだ?」
と(自分のことに置き換えると)ちょっとアホらしくなる。
そういう意味では笑いながら読んでも良い作品なのかもしれないし、
もしかしたら人によってはシリアスな話かもしれないという
なんとも不思議な物語。
発想は面白い。
誰しも陥る状況ではあるのかもしれないし
情報社会と言いながら
セキュリティが甘い意識に警鐘を鳴らしているのかもしれないが、
私としては、一つの情報に対して
受け取る本人の気持ちの持ちようにより
その情報の意味が全く正反対になる可能性が面白いと思った。
「いつでも相手の立場に立って気持ちを推し量ってたら、
何もできないし身動きとれなくなるよ」
「隠し事」羽田圭介:著 河出文庫