風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「父よ、ロンググッドバイ」

2016-04-05 | 読書

小説だった中島京子さんの「長いお別れ」とは違い
こちらは作家盛田隆二さんが体験したノンフィクション。
しかもお母様が亡くなった後、
ひとりになった認知症のお父様を介護した壮絶な体験を綴る。
本書をお読みいただくとわかるが
実は盛田さんに降りかかるのはお父様の病気だけではない。
次々に襲いかかってくる大変な状況は
ついに盛田さん自身の神経までむしばんでいってしまう。
ページをめくるのが辛い、が読むのを止められない。
重松さんの帯文が内容をよく物語っている。

がしかし、本書のテーマの一つは父と息子。
過酷な状況と戦いながらも、
心の底辺で父と息子の見えない絆が繋がっている。
それまでの内容が過酷であっただけに
そんな繋がりが感じられるエピローグがとても美しい。
現在の介護制度や老人医療に対する問題点も
私たちが今真剣に考えなければいけないことと思う。

4月20日発売。
AMAZONで予約販売が始まっている。

「父よ、ロンググッドバイ」盛田隆二:著 双葉社
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