風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

中抜き

2011-10-16 | 世界・平和
短絡的・・・
最近の世論や風潮を見ていて感じること。
殺人事件が起これば
「犯人は死刑でいい」
隣国との間で何かしら齟齬が起きれば
「やられる前にやっちまえ」
政治家がひょいと何かを言えば
「こんな奴らはいらない」
他国との交渉に力を入れれば
「売国奴」
事件や事象の裏側を伝えるジャーナリズムには
「マスゴミにだまされるな」
などなど。

目に見えることに対して
(それすら本当に見えてはいない。
 彼らが嫌う『マスゴミ』を通して見てるだけ)
その裏側や相手の立場、心情、そこに至るプロセスを
すべて飛び越して一足飛びに結論を出したがる。
表層的な感情論と一面的なものの見方。
事象と結論を中抜きですぐに結びつけてしまう
その恐ろしさ。

すべての事柄には多面性があり
そこに至るプロセスがあり
人によって違う感情がある。
それを無視(気づかない?)し
一方的に自分の考え(感情?)をぶつける風潮は
一体何がきっかけで何を背景に生まれたものだろう。

人はみな大なり小なり祝福されて生まれ
自分なりに楽しいことも、嬉しいことも、辛いことも
そして悲しいこともそれなりに感じて生きていく。
ちょっとした歯車の食い違いが
例えば殺人事件の加害者を生み、被害者を生む。
その裏側にはいったい何があったのか
ちゃんと見極める必要があると思うのだが。

北野たけしさんが言ったという言葉を聞いた。
東日本大震災について言った言葉だという。
それは大事件やテロや戦争にもそのまま当てはまる
ある意味「真理」だと思った。
「数万人が死んだ大事件が1件起きたのではなく
 1人が死んだ大事件が数万件1度に起きたのだ」
ニュースなどでは「○人」の一言だが、
その一人ひとりに人生がある。
コメント
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