風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

不定期連載 風屋の「正しい岩手弁講座」10回記念

2008-04-09 | 風屋日記
前回前々回に引き続き、
記念すべき第10回を数えるこのシリーズ。
今回はピンポイントで重要な表現を紹介したい。

●~さる
動詞を形容詞的に使う場合の表現であり「可能」を表すが、
その中でも特に「状態」に限定して使う。
書かさる=書くことができる
食べらさる=食が進む
言わさる=つい言ってしまう
恐らく「書かす」「食べさす」「言わす」という使役動詞を
逆に受動的に使った表現であると思われる。
「~さる」の~の部分には動詞がつくことになるが、
「さる」の前の音は必ず母音が「ア」になる。
だから「書く」は「書かさる」と活用することになる。

この言葉は大変便利な言葉で、
例えば「書かさる」を標準語で簡単に言うと「書ける」になるが
これは2つの意味を持ち、「I can」なのか「It can」なのか不明。
ところが岩手人は「書ける(I can)」と「書かさる(It can)」を
きちんと使い分けることができるのだ。
また、標準語の「つい言ってしまう」を「言わさる」と
たったの一言で済ますことができる便利さは捨て難い。
この「~さる」は色んな動詞に使える。
「寝らさる」「買わさる」「出ささる」「払わさる」
「つまずかさる」「関わらさる」・・・
何でもOK(笑)

実は岩手出身者が大学に入学のため上京し、
ます最初にぶちあたる壁がこの表現と言われている。
「あれ!? このボールペン書かさらねーな」
「かか・・・何それ」
「えー!? 書かさるって言わない? 標準語だよねぇ」
「聞いたことねーし。訛ってんじゃねーの」
「マジ!!?? これって方言なのか?」
という会話が岩手出身者が散っていった各地で、
古今東西繰り返されてきた(笑)

でもね。
ホントに便利な表現なので、つい使わさるのよ(^^;
気をつけてても言わさるんだなぁ。
標準語にしちゃわない?(笑)
コメント (7)
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