吉澤兄一のブログ

お江戸のど真ん中、平河町から、市井のトピックスを日記風につづりたいと思います。

日本の食料自給率問題は、世界の食糧問題。

2010年07月25日 | Weblog
 日本の食料自給率40%(エネルギー・ベース)への警鐘を聞く。穀物量ベースにすると30%を切るほどの事態なのだから確かに”危機”だが、自国の自給率を上げることこそが、問題の解決処方ではなさそうだ。世界の0.3%にしかならない日本の農業耕作地面積に世界人口の2%が住んでいる現実を考えなければならない。

 すでに韓国や中国などが、アフリカやオーストラリアなど広大な土地に契約農耕地確保戦略に出ていることをあげて、日本のオクレや無政策を指摘する声もきこえるが、自国民の食糧の確保を戦略にした競争に走る傾向こそ”無策”なのではあるまいか。ただいま65億人とも69億人ともいわれている世界人口だが、2050年には90億人を超えそうだという現実を直視しなければならない。

 いまでも日々の食事にすらありつけていない貧困国の人口は、10億とも20億人とも言われている。農業や食糧の生産すら不十分なこれらの国や土地で、”わが国”の農産物や食糧づくりを確保しようとする施策などとるに足らない。まずは、十分な農業生産技術もなく貧困国にいるこれらの国も含めた世界の食糧問題を、どのように解決していくかということに注力すべきだろう。

 とはいえ、わが国の米以外の小麦、トウモロコシ、大豆などの穀物はそのほとんどが外国からの輸入だということを自覚しなければならない。そして、これらの穀物のほとんどが日本人には受容されない遺伝子組み換え(GM)農産物なのだ。低農業生産技術のアフリカやアジアの途上国の生産力向上のために、GM種子メジャーのかかわりは避けられそうにないのが現実。GM大豆やGM農産物は決して食べていないと思っている人々も、GMトウモロコシやGM大豆の飼料で育った牛肉や豚肉を食べているのが実情なのだ。

 狭小な国土の日本は、さらに年々農業に携わる人口も耕作農地も減っている。ただいまのハウスや水耕栽培の何倍もの生産ができる高層農業(農地)ビルをつくったりしての新しい農業を革新しなければ”自給”はできまい。政治と企業経済の人々の協議が急がれる農業食糧問題なのだ。50階建ての高層ビルのどこかで生産されたお米やほうれんそうを食べてみたいとは思わない自分だ。
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