因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

2022年因幡屋演劇賞

2022-12-26 | お知らせ
 いつになく早い年末の訪れに寄せて、以下感謝と喜びを以て発表いたします。タイトルには観劇後のblog記事をリンクしておりますので、よろしかったらご参考までに。

☆演劇集団円公演 マーティン・マクドナー作 小川絵梨子訳 寺十吾演出『ピローマン』@俳優座劇場・・・こんなに陰鬱で残虐な物語なのに、待った甲斐があったと晴れやかな気持ちで帰路に着く。自分を変にしてくれる芝居が好きだ。
朱の回第5回公演 藤沢周平作 神由紀子構成・演出『朝焼け』@野方・Book Trade Caféどうひん・・・節目の5回公演で、本ユニットのひとつの達成点を示す舞台。11月には早々のアンコール公演、先日の小公演Vol.2「太宰治特集」も盛況に終わり、着実な歩みを示した。
☆六月大歌舞伎 有吉佐和子作 齋藤雅文演出/坂東玉三郎演出『ふるあめりかに袖はぬらさじ』@歌舞伎座・・・歌舞伎と新派が総力を挙げて素晴らしい舞台成果に。原作である短編小説『亀遊の死』も何らかの形で上演が叶わないだろうか・・・という妄想を「因幡屋通信72号」に記しました。
☆オフィス・コットーネプロデュース フリードリヒ・デュレンマット作 増本浩子翻訳 稲葉賀恵演出『加担者』@下北沢・駅前劇場・・・戯曲と演出と俳優の佳き出会いは奇跡であり、その様相を客席で目の当たりにできるのは僥倖。それだけに、数々の舞台を企画し、出会いを作り続けたプロデューサー綿貫凛氏の急逝に言葉を失う。どなたかが継承してくださいますように。
☆内藤裕子作・演出による舞台 『ソハ、福ノヨルトコロ』(演劇集団円公演)、『カタブイ、1972』(名取事務所)・・・内藤は前者で紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した。外部での仕事が多い内藤だが、所属劇団での仕事が認められたことはひとしおの喜びだろう。因幡屋はもうひとつ名取事務所公演も加えて、「内藤裕子」の仕事を祝福したい。

 マスクと消毒、換気の生活が続きます。今年も感染者が出たために公演の延期や中止がいくつもあり、演劇創作の現場の方々のご苦労はいかばかりかとお察しします。そして敬愛する演劇評論家・江森盛夫さん、新宿タイニイアリスのオーナーで演劇研究者の西村博子さんはじめ、「会える」と信じて疑わなかった方々の旅立ちが悲しくてなりません。もっとお話が聞きたかった。さらに今月なかばには演劇現場でのハラスメント行為をめぐって早々の公演中止、激烈な言葉のやりとり等々が否応なく目に飛び込んできます。自分が憧れ、これ無しの人生は考えられないほど大切な演劇の世界で、多くの人が悩み苦しんでいる現実にやりきれない思いです。今年はわたくし自身が健康を損ねたこともあり、やや疲弊しています。それでも来年の新春浅草花形歌舞伎の復活、2月の唐組若手公演『赤い靴』や、3月の一糸座の『少女仮面』などの情報を知ると、わくわくと元気がでてくるのです。

 因幡屋ぶろぐを訪れてくださった方々、因幡屋通信を手に取ってくださった方々に心より御礼申し上げるとともに、来る2023年は、世界で起こっている戦争が一刻も早く終わること、傷つく人、傷つける人がこれ以上増えないこと、演劇を安心して創り、楽しむことができるよう願ってやみません。
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