因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

因幡屋10月のなにか

2011-09-30 | お知らせ

 ミナモザの『ホットパーティクル』のことを書くうちにわけのわからない状態になり(1,2)、といって引きこもっていてもただでさえ乏しい知識や教養や分析力や文章力はどうにもならない。
 みようかな?と思った芝居はどんどんみにいくことにした。現実逃避とも言うけれど。
Pカンパニー番外公演「その弐」 『岸田國士なるものをめぐって~3人の作家による新作短編集』
ろりえ『三鷹の化け物』 初ろりえ。上演が2時間45分というのはほんとうでしょうか?
スタジオソルト第16回公演『ヨコハマアパートメント』 (1,2,3,4,5,6,6`,7,8,9,10,11,12,13,14,15
プラチナネクスト第3回公演『岸田國士 森本薫短編集』
劇団文化座創立70周年記念『獅子』(1)
風琴工房code.30『Archives of Leviathan』 (1,2,3,4,5,6,7,89,10,11,12)
shelf volume12『構成・イプセン-Composition/Ibsen』 (1,2,3,4,5)
  開幕までに稽古場見学に行く予定。

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wonderlandクロスレヴュー・挑戦編 オイスターズ『雑音』

2011-09-29 | 舞台

 劇評サイトwonderlandクロスレヴュー・挑戦編に参加しました→こちら 
 今回のお題は、名古屋を拠点に活動する劇団オイスターズ第9回公演『雑音』
 作・演出の平塚直隆の作品は、3月の劇作家協会主宰の若手演出家コンクール2010でみた『続・トラックメロウ』以来ですが、そのときの感想と・・・あまり変わっていないようですね(笑)。
 山田マキオ演じる女性タクシー運転手、怪談のオチの台詞のあの言い方、絶妙なり。
 5回以上繰り返されたと記憶するが、何度聞いてもタクシーの乗客は本気で怯え、観客は笑える。言われる直前まであの台詞を忘れている。そのことにびっくりするのだ。どうしてなのだろう。
 

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因幡屋9月の覚え書き

2011-09-28 | 舞台

 辛抱の残暑がようやく過ぎたと思ったら今度は台風の連続襲来です。
 震災にくるしむ日本列島をこれでもかと痛めつけ、一気に秋が来ました。
 9月のいっぽんは、その台風の影響で首都圏の交通が麻痺して大混乱に陥った夜に開幕し、本格的な秋の訪れとともに終幕したミナモザ#12『ホットパーティクル』を挙げることにしました。自分にとってまさに嵐のような舞台であり、ブログ記事はおそらくこれまでで最大級の悲惨なもので(汗)、これをどうにかしないことには前へ進めないのであります。
 明らかに自分は平常心を失っており、精神状態がおかしい。
 それほどの何かがある舞台であり、とにかく「実際に書かないとダメだ/書いて、うまくいかず沈む。でも書く/書いて、書いている最中に制御が効かなくなったら、そこで怖がって止めずにそのまま書き続ける。また、書く/それを続けるしかない」(堀井憲一郎『いますぐ書け、の文章法』/ちくま新書)状態なのであります。

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荒川チョモランマ 晩夏の番外公演『◎の魔法』

2011-09-24 | 舞台

*長田莉奈脚本・演出 公式サイトはこちら 恵比寿siteギャラリー 25日で終了
 題名は「にじゅうまるのまほう」と読む。これが劇団初見。舞台中央に向こうむきにベンチが置かれ、誰かが寝ている。上手と下手には緋色の幕が下がり、その下にパソコンなど音響や照明等の機材があって、スタッフは客席にみえるまま操作をする。

 早朝の駅のホーム。いとこの披露宴でしたたかに酔った姉を妹が介抱しているが、姉は衝動的にホームへ飛び降りる。そこからはじまる彼女の過去といまとこれからが描かれる90分だ。

 小学生の夏の思い出。母は小さな妹の世話にかかりきりで、家族揃って出かけられないから父とふたりで海にいく。自分は嫌々、父は嬉しそうだ。優しいが頼りなげな父。両親のあいだの不協和音を敏感に感じとる姉むすめ。
 学校の友だちとのあれこれ。冴えない子を無意識に苛めてしまったり、得意な折り紙で意気投合したり、やがて就職、同世代のいとこは早々と良縁をつかみ、自分の彼氏はバンドに夢中のフリーター。

 すでに遠い記憶であるが(苦笑)、学校を卒業してから二十代なかば過ぎまで、恋愛と結婚は女子にとって非常に悩ましい問題であった。つぎは誰が結婚するのか、やれ先を越された、やれ最後に残るのは誰か云々。まるで出来の悪いドラマのようなじたばたであった。

 姉の子ども時代を小柄な女優さんが演じるのはわかるが、後半から突如男性俳優が演じることになり、男のからだになった本人も仰天、困惑していたが、こちらも困った。しかもその意図や意味は最後までわからず、落としどころがない。またホームから飛び降りた姉は助かって(始発電車が来ない時間帯だったのだ)病院に運ばれるが、同室の女性が声が出なくなったミュージカル女優という設定で、回復した彼女が『アニー』の有名ナンバー『トゥモロー』を熱唱、促されて姉(男性が演じている)が彼氏と尾崎豊を熱烈に歌う等々、展開や描写も混乱、迷走ぎみだ。
 しかし姉を演じる男優さんが妻夫木聡似で大変可愛らしかったり、ミュージカルナンバーの歌い方が微妙なへたうまでおもしろかったり、何役も演じるバニーガールが最終的にお母さんだったり、客席と近いために引き気味に見ながらも、結構本気で笑えたりもする。

 いまの自分を持て余す女の子が過去の自分に再会し、そのときは知らなかった、わからなかった周囲の人々の思いを受けとめて、これからの人生を生きる勇気を与えられるという展開は特に珍しいものではない。西原理恵子原作の映画『女の子ものがたり』が思い出されるし、演劇なら、たとえばKAKUTAの桑原裕子であったら、恵比寿siteの空間を活かし、同じ題材をもっと洗練された技法で描くことができるだろう。

 今回はまず、若い劇団の「いま」、元気な演劇女子たちとの出会いを素直に感じとりたい。
 前述の「結構本気で笑えた」場面の数々は偶発的なものではなく、こちらからはうかがい知れない周到でしたたかな劇作から生まれ出たものかもしれず、これから大化けする可能性を秘めていると思われるのである。

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ミナモザ#12『ホットパーティクル』

2011-09-23 | 舞台

*瀬戸山美咲 作・演出 公式サイトはこちら SPACE雑遊 27日まで (1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12)
 道路のまんなかにすっくと立つ作家の瀬戸山美咲。その両脇には「立入禁止 福島県」の看板が。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で創作の姿勢や意欲を打ち砕かれた劇作家が、その根源である原発を目指して車を走らせる。
 劇の主人公は瀬戸山美咲その人自身。
 ミナモザの最新作はフィクションを放棄し、「すべて実話」のドキュメンタリー演劇であるとのこと。前述の写真も裏面の文章にも大変な気合いが漲っている。

 演技エリアを挟んで、客席は対面式に作られている。
 会場入口から見て右奥に自動車の内部らしき装置と白い幕があり、幕にはその日の日付が映し出されている。仲間を募って東京から福島原発へ向かう「私」(佐藤みゆき)の、劇作だけでなく私生活も含めた混乱、煩悶の様相を曝けだされてゆく2時間弱の物語である。

 まだ自分の心が混乱している。
 あまりと言えばあまりな言い方になるが、よくも悪くもこれまでみてきたミナモザの舞台は何だったのだろうかと思う。それくらい斬新であり破壊的でもあり、本作を肯定的にみるか、その反対にとらえるかさえわからないのだ。
 もう少し悩み、もっと考えます。時間をください。

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