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Fanshawe (tr.), Horace, Ode 1.9

リチャード・ファンショー (1608-1666) (訳)
ホラティウス、オード 1巻9番

雪で砂糖づけのようになった丘が見えるだろう。
雪の重さに耐えられず、木々が苦しげにうめいている。
野原を小枝のように、あるいは血管のように
走る川も、凍って固まっている。
暖炉の炉棚に届くほど薪を積んで、
霜を溶かそう。大きなカップに、
さらに大きな水門から、
命のワインを注ぎこもう。
他のことはゼウスにまかせておこう。彼が
海の上、風たちの戦争をやめさせたときに、
糸杉は槍のような頭をふりまわすのをやめ、
老いた楡(にれ)の木のふるえも止まる。
明日のことを考えるのはやめよう。
本当に明日が来るかどうか、明日にならなければわからないのだから。
それから、若いのに、ダンスや
恋の楽しみを軽んじるのはやめよう。
年をとってイライラしがちになって、雪が降ったように頭の
髪が白くなるまでは、仮面劇やその他の舞台を逃してはいけない。
女の子がそっとささやく、
夜、約束した時間に--
隠れていて、
くすくす笑いながら出てくる--
ブレスレットか何かをとりあげてからかってみる、
恥ずかしげだけど積極的な子を--そんなことを、今、楽しもう。

* * *
Richard Fanshawe (tr.)
Horace, Ode 1.9

Thou seest the Hills candied with Snow
Which groaning Woods scarce undergo,
And a stiff Ice those Veins
Congeals which Branch the Plains.
Dissolve the Frost with Logs pil'd up
To th' Mantle-Tree; let the great Cup
Out of a larger Sluice
Pour the reviving Juice.
Trust Iove with other things; when he
The fighting Winds takes up at Sea,
Nor speared Cypress shakes,
Nor aged Elm-Tree quakes.
Upon to Morrow reckon not,
Then if it comes 'tis clearly got:
Nor being young despise
Or Dancings, or Loves Joyes.
Till testy Age gray Hairs shall snow
Upon thy Head, lose Mask, nor Show:
Soft whispers now delight
At a set hour by Night:
And Maids that gigle to discover
Where they are hidden to a Lover;
And Bracelets or some toy
Snatcht from the willing Coy.

* * *
英語テクストは、The poems of Horace consisting
of odes, satyres, and epistles (1666) より。

* * *
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From Heywood, J (tr.), Thyestes, act 2

ジャスパー・ヘイウッド (1535-1598) (訳)
セネカ 『テュエステス』 2幕より

偉大な王になって国を治めたい者は、
都の頂点に立って、危なっかしく落っこちそうになっていればいい。
わたしは、心地よく、安らかに生きたい。
誰も知らないところで、低い身分で、
穏やかに、楽しく、くらしたい。
高貴な人々の知らないところで、
静かに、ひっそり、生きていきたい。
こうして、日々を最後まで生きていき、
面倒な騒ぎなどいっさいなく生涯をすごし、
年老いて、この世を去っていきたい。
低い身分のまま、しかし心から満足して、死んでいきたい。
死とは悲しいものだろう、
名声が遠くまで広まり、
人々に知られすぎなほど知られているのに、
自分が何者か、わからなくなってしまった人々にとっては。

* * *
Jasper Heywood (tr.)
From Seneca, Thyestes

Let who so lyst with myghtie mace to raygne,
In tyckle toppe of court delyght to stande.
Let me the sweete and quiet rest obtayne.
So sette in place obscure and lowe degree,
Of pleasaunt rest I shall the sweetnes knoe.
My lyfe vnknowne to them that noble be,
Shall in the steppe of secret sylence goe.
Thus when my daies at length are ouerpast,
And tyme without all troublous tumulte spent,
An aged man I shall departe at last,
In meane estate, to dye full well content.
But greuous is to him the deathe, that when
So farre abrode the bruyte of him is blowne,
That knowne he is to muche to other men:
Departeth yet vnto him selfe vnknowne.
(1459-73)

* * *
1 (上の抜粋中の行数)
whoso lyst to raygne

1-2
Let whoso lyst . . . delight to stande

9
And [when] tyme [is] spent without all troublous tumulte

12-15
the deathe is greuous to him that Departeth
unknowne vnto him selfe [i.e., not knowing who he is]

12-14
when the bruyte of him is blowne So farre abrode
That he is knowne to muche to other men

* * *
劇中のコーラスの言葉。劇全体は未読。

* * *
英語テクストは次のページより。
https://archive.org/details/jasperheywood00seneuoft

* * *
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