2005AAEPでのG.A.Perkinsの講演は、「重症馬に」ということになっているのだが、
では、どうやって脱水を評価するか。
-
体重は体重算出用のテープか体重計で調べることができる。
脱水は、皮膚テント、粘膜の湿潤度、毛細血管再充満時間(CRT)、心拍、拝尿、頚静脈充満、眼球陥没などで評価する。
皮膚テント(秒) 粘膜 CRT(秒) 心拍 その他
5% 1-3 少し粘 <2 正常 排尿減少
8% 3-5 粘 2-3 40-60 動脈圧低下
10-12% >5 乾燥 >4 >60 頚静脈充満低下・眼球陥没
検査室データでは、
PCV、血清蛋白値、尿比重、BUN、クレアチニン、乳酸などを脱水の評価に使う。
(参考引用おわり)
-
皮膚テントは、エンデュランスの獣医委員をしていると、
「頚じゃなくて肩先でみてください」
とライダーに言われたりする。
頚の皮膚は汗の具合や頚の位置でたるんだりするからだ。
-
口粘膜は正常では濡れてピカピカ光り、きれいなピンク色をしている(馬によって色素がついているのがいるので注意)が、脱水すると唾液が粘り強くなり、乾いて泡立ったりする。
-
口粘膜を指で押して、白くなったところが元に戻るまでの秒数がCRT。
この表はかなり厳しく計っている。
おまけに表示の仕方がヘンだ。(3-4秒だったらどうなの?;笑)
-
心拍は脱水だけの指標ではない。
-
検査データではPCVが汎用される。
しかし、貧血があると間違いの元だし、
馬の種類、性別、季節によって正常値が異なる。
だから、血清蛋白値その他も参考にすべきだ。
乳酸値は疝痛馬では脱水というより痛みと腸管の絞扼部の有無に影響される。
---
さて、どうでしょう。
5%程度の脱水の馬にはしょっちゅうお目にかかるのではないでしょうか??
その欠乏量は(維持量や予想欠乏量は別にしても)500kgの馬なら25?なのです。
(つづく)
//////////
3週間ほど蹄球部の化膿が治まらない1歳馬。
木片にしてはあまりに丸くて滑らかで大きい。
軟骨か?
骨片か?
切開して取り出したら・・・丸くて長い枝だった。
-
鼻涙管が鼻側開口部近くで狭窄している。
というか途中で傷がついてそこから漏れてくる。
全身麻酔して、眼の方から管を入れて、本来の開口部ではないところを切開して管を引っ張り出した。
このまま管を残しておけば、あらたな開口部が作られる。
-
どちらも吸入麻酔までは必要ないが、立位でやろうとするのはちょっと難しくて危険。
---
脚を投げ出して昼寝していた。
物音に気づいておきたけど
寝ぼけている。
そんな顔でショ?
・・・お忙しいのに、すみません☆
AAEPの講演要旨には参考文献が示されているのが多いです。この部分の参考文献は教科書的な記述です。
PubMedで検索すると、「馬」「脱水」でヒットする文献だけでも200近くあります。しっかりデータが出ているのはやはり実験的研究で、水、あるいは餌も与えないで脱水を起こさせたとか、フロセミドを使ったとか、ヒマシ油で腸炎をおこさせたとか、いろいろな脱水作出方法がおこなわれています。
この10年くらいはエンデュランスでの調査が多いです。エンデュランスでも計画的に調査すれば出走前の体重を含めた各種パラメーターが手に入るのでかなり正確に水分喪失量を算出できます。臨床的パラメーターだけでなくアルドステロンやバソプレッシン、あるいは血液の浸透圧を測定している報告もあります。
10-20リットルの胃液を回収したり、腸液を捨てたりという馬外科医の経験は実験成績と臨床例が大きくは異ならないことを裏打ちします。はっきりとした脱水がある患馬には、腎臓が働けて、一般状態に回復傾向が見えるまで相当な量と時間の輸液が必要です。
10Gのカテーテルって痛そうですよね;笑。成馬だと頚静脈に針を刺しにくくなるのはPCVが60%を超えてからでしょうか。ふつうの採血針や注射針の経験ですけど。
ゴールデンの耳もよく動くのですね。子犬のときよりよく動かすようになったと思います。
異物が傷に残っていることはときどきあります。x線画像に写らない異物は、いつまでも化膿が続くことで疑って探って取り出すことも多いです。
勉強になります、ありがとうございます☆
質問というほどではないのですが、脱水の指標について、そもそもの5%、8%、10%というのが、何から割り出された数値なのか、という、もやもやがあります。
運動や暑熱時に、発汗によって、平常時より、体重が何%減ったか、ということから出された数値なのでしょうか。
それとも、実験的に、体重の何%の血液を抜いて、馬の変化を見たのでしょうか。。
あるいは、利尿剤による強制排尿によってか。。
または、下痢症の観察か。。
変位疝痛などで脱水が起こる場合には、隔離された腸管内に腸液がたまるでしょうから、体重はあまり変わらず体重は何%水分が失われたかの指標にならないのではないかとおもいますし、
また、出て行った水分の種類が、汗か、血液か、尿か、腸液かによって、身体のダメージの重大さも変わってくるでしょうから、脱水の指標とされる身体の反応も変わるのではないだろうか、など、この理論について、基本的な部分になんとなく疑問があります、
なにか、私の誤解や無知があるのでしょうか。。。
臨床のツールとしてはそこまで気にすることはないとおもいますが^^;
また重箱の隅をつついてと言われそうですね☆
腸捻転などのばあい、その脱水分の25L~の水分は、腸液として腸管内に貯留しているということでしょうか…? 苦しいはずですねーー;
おんまさんが顔を柵などにこすってるときがありますが、鼻涙管の詰まりは頻度は高いのでしょうか?
はとぽっけは、ゴールデンが耳をそばだてて前方に注意を向けているこういう顔が好きです。たとえ寝ぼけていても(*^_^*)
怖いと思いました。
オラ君には、春眠の季節が訪れたようですね。